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竜達の愛娘  作者: ao
長めのプロローグ
8/108

突然の訪問③

すいません…④までいきます……

 思考している最中に大きな轟音が鳴り響いた。

ドン!ガラガラ!


「はっ! 人なんぞに現を抜かすからこんなことになんだよ!」


「先程の言葉をとりけせ! でなければ、北は南を生涯許さぬ!」


 ジオールの雄たけびと共に発せられた言葉を聞き、何があったのかとベルンをみれば直ぐに事件の仔細(しさい)が判明した。


 ベルンの話を端的にまとめれば、どうやら婚姻を了承しないシュベルに対して南の青に白の入ったアルティが我慢の限界だったらしく、「人なんぞ養うからそんな事になるんだ! 直ぐに殺せ! 北は腑抜けで何もできないのか!」などとのたまったらしい。


 それを聞いたジオールがウィリアの事を何も知らない癖にと怒り竜体へ戻り、取っ組み合いの喧嘩を始め、ウィリアの危険を察知した、アルミス他数頭のメスが直ぐに私の後ろにウィリアを抱かかえ危険がない様にその身で隠している。と言う状況のようだ。


 飽きれる感情を隠す事を止め、シュベルは一度溜息を吐きやるべき事を優先させる。


「まったく、血の気の多さは相変わらずかっ!! 皆、戦闘に巻き込まれるかもしれん一時私の後ろへ退避せよ!」


 ワラワラとジオール以外の竜達が、シュベルの後方へと集まる。辺りを見回し他に居ない事を確認し、自身を柱に結界魔法を使う。


 その作業を終え、対峙した二頭に視線をむけた。


「俺に勝てると思ってるのかぁ~じじぃ~! 雷の鎖(ライトニングチェイン)(雷でその身を縛り動けなくする魔法である)」


「小賢しいわ!風の狼(ウィンドウルフ)(風が狼の形になり相手に襲い掛かる魔法である)」


 両者が同時に魔法を放った、両者の魔法は激しくぶつかり合うも両者へと迫っている。雷の鎖を受けたジオールは、力を込め気合でそれを解除し風の狼を受けたアルティは数箇所に引っ掻き傷を負う纏わり付く、風の狼を尻尾ではたき落とした。


 リィハを守りながら、決闘を止めようとリュークが叫ぶ


「アルティ、やめろ! 北に迷惑をかける事は許される事ではないのだぞ!」


「うるせー! うちのリィハ嬢が折角嫁いでやるっつってんのに、いらねーっていう北が悪いんじゃねーか!」


「いいじゃない! アルティ頑張りなさい!」


「それでも、決闘はダメだ! リィハ様は黙って下さい!」


 必死にアルティを止めようとするリューク。だが……


「もうおせーよ、やっちまったからなぁ~」


 ニヤリと笑い、滞空したままのジオールへと突っ込むアルティ、そのスピードは凄まじく早い、瞬きを1度しただけで見失ってしまうだろうと思う――アルティの牙がジオールに突き刺さる刹那、ジオールの魔法が炸裂した。


鋼の鎖(スティールチェイン)(鋼の鎖で身体の自由を奪う。高等土魔法)」


 攻撃させる事で無防備になったアルティへ鋼の鎖が巻き付いた。


「ちぃっ!」


「フン、ワッパが――風の嵐(ウィンドトルネード)


 流石、戦いなれているだけあって上手い、大きな竜巻がいくつも出現し拘束されたアルティへと向かっていく。


 その風をまともに食らったアルティは、成す統べなく宴会場へと轟音を響かせ落下した。アルティの落下により会場は物が散乱し酷い有様となっている。


他愛無い(たあいない)ガキじゃて!! わしの孫を馬鹿にした罰じゃ!!」


 ジオールは会場に落ちたアルティを上空で見遣り、悪態を吐き捨てると地へ降りてくる。


 降り立ったジオールは、すぐさま魔法:擬人化を使い人の姿に戻った。まさかアルティが負けると思っていなかったリューク達は呆然とその光景を見守っていた。


 ニヒルな笑いを浮かべたジオールがシュベルの前で片膝を突きドヤ顔をする


「王よ、このジオールの勇姿御覧頂けましたかの? ふぉふぉふぉ」


「あぁ、見ていた……。見ていたが――これはマズイゾ、ジオール……」


 会場のある1点から視線を離すことなくシュベルは告げた。


 そう、これは非常にまずい事態なのだ……何がと言われれば……この会場の状態だ!ウィリアが丹精込めた料理がほぼ手も付けられずに、大量に散乱しゴミと化している……!!


 あれは……まだウィリアが食事を作り始めたばかりの頃、丹精込めて作った夕食を前に最後の1つをどちらが食べるかで竜二頭が乱闘騒ぎを起こしダメにした事があった、その際ウィリアは、終始無言で死んだ目をし無表情、その後1週間夕食は作らず、部屋にこもり誰とも口を利かなかった。


 今思い出しただけでも、ゾっとするあの1週間は、北の竜にとって緊急事態であり今回のこの惨状がその状況に酷似している……! 否!! 正にその状況だと言うべきか……


 ダラダラと冷や汗が、私の首筋を伝い、然ほど寒くもないのに悪寒がする。先程からウィリアの方に向けていた視線は……死んだ目に無表情!! のウィリアを捉えている……アっ、アウトデスネ……


 機嫌良さそうなジオールに緊急事態を伝える。


「ジオール……」


「なんですかな?」


「アウトダ……」


「は?」


「ダカラ、アウトダ」


「アウトとは?」


 理解しないジオールに焦れて、ジオールの顔を両手でひっ掴みウィリアの方へ向けた。


「アァ、アウトデスナァ……」


「アァ……」


 状況を理解したジオールと2人同時に、膝を突き項垂れる。ウィリアのあの顔は皆もトラウマのはず……。その表情をさせた、元凶に対しフツフツとした怒りが沸き上がってくる。


「アノバカガヨケイナコトサエイワナケレバ!」


「マッタクダ!! ワレマデマキコムナ……」


 当事者であるはずの、ジオールでさえ拳を握り締めアルティを睨み付けていた。


 戦闘に負け地に落ちた、アルティはリュークに鋼の鎖を解除してもらい起き上がっているところだった。


「痛て~あのクソジジ、加減って物を知らんのか!」


「今回は、お前が悪い。ご老体と言えど前王竜より全幅の信頼を得ていた方だ――我らでは格が違う」


「そうは言ってもよ~。もういい加減、衰えなきゃおかしいだろ~!」


「もう、アルティったら! ここで格好良いとこみせてほしかったわ」


「負けたもんは、しょうがねーだろ!」


「とにかく、謝罪をしなければ!」


 などと、話をしている。南の事情はどうであれ、北は大惨事だ!! ウィリアの死んだ目+無表情に皆が気付き慌てて慰めているがウィリアの瞳は何も映していない。


 項垂れる二人へ、リュークとリィハ、アルティが2歩近づき謝罪を口にする。アルティはシブシブと言う表情をしている。


「王竜シュベル様、アルティの言動のせいで折角ご用意頂いた、宴の宴席をこのようにしてしまい。また、ジオール様への決闘の際の言動についても謝罪させていただきます。誠に申し訳ございません」


「シュベル様、南の者として私からも謝罪いたしますわ。申し訳ございませんでした」


「申し訳ありませんでした」


「……」


 項垂れたまま動かない、シュベルとジオールに聞こえてないのかと今一度謝罪を述べようとした


「王竜シュベル、このt「……サン」」


「申し訳ありません、よく聞こえませんでしたわ」


 ガバと顔を上げたシュベルはいつもの、できる王の顔ではなく生気が感じられぬ程色が無く無表情だった。


「だ……、ゆ……さんと……」


「……る……さ……」


「ぇ?」


 再度聞き返され、聞き返した三頭を睨み付けたシュベルとジオールは、今度はハッキリとした声音でほぼ同時に「だから、許さん!と言っている(んじゃ!)聞こえなかったか(のか)?」そう告げた。


 そのまま、(きびす)を返しノロノロとウィリアの元へ赴くシュベル、に対し、その場で項垂れるジオール……


 自分達に非がある事を認め謝罪しても受け入れて貰えなかった三頭は理由を知るべく、近くに居た北の竜数名へ声をかけた。


「すまない、少し話がしたいんだが……」


「あ~、あんた達と話すことはないよ!! はぁ……」


「ウィリア様のあの状態は……アウトだなぁ」


「ベルシュ様荒れそうだなぁ……」


「今回は、ジオール様もいるぞ……」


「「「はぁ~~~~」」」


 リュークが声をかけた近くに居た者達では、会話もしてもらえず、理由を知る為ベルンを探す。辺りを見回すとベルンは避難した竜達の中に居た。ベルン殿と声をかけたリュークにベルンだけは変わらずの無表情で会釈をする。


「すまない、少し聞きたい事があるのだが?」


「まぁ、聞いても多分あなた方では理解できないと思いますが、何でしょうか?」


 突き放すように言うベルンに少しだけ、怒りを覚えるも南と北が仲違いをしないよう、理由を知らなければと自制する。


「こちらは、誠心誠意謝罪をしたのに何故お受けいただけなかったのだろうか?」


 (おもむろ)に溜息を吐き指を2本立てて口を開く


「はぁ、あなた方は、謝罪さえすればいいと思っているのではないですか? こちらは最初に申し上げましたよね? 覚えていらっしゃいませんか? 「1.ウィリア様に対し見下すような事はしないように、2.()()()()()()()()()()()()()()()!特に2個目だけは決してなさらないでください」と申し上げましたが?」


「そんな事は思っていない! 約束事はキチンと覚えている。特になにもして…!!!!」


 いないと言いかけ、リュークの顔が青くなって行く……


「気付かれましたか??? あなた方は取り返しの付かない失態を犯したのですよ!! 王竜の御前で!」


 それ以上話す気はないと言わんばかりに、ベルンは会話を終わらせジオールの元へ向かう、ジオールを支えるように立たせるとシュベルの方へとジオールを引き摺り連れて行った。


 リュークとベルンの会話の意図が判らない様子の2人がリュークに問いかける


《なんだ? どう言う事だ? 何怒ってんだよあいつら意味わかんねーよ》


《アルティに同意ですわ。私も良く分かりません? リュークはわかる?》


《はぁ~。アルティもリィハ様も……。本当に2人共分らないのですか?》


《あぁ、わからね~。何がまずいのかさっぱりだ!》


《醜態って何もしてないわよ?》


《判りやすく言いましょう、アルティが喧嘩を吹っかけジオール殿に負けたとき、あなたはどこに落ちましたか?》


《あぁ、宴の会場だな。それがどうしたってんだよ。リューク!》


《宴の会場には、何がありましたか?》


《そりゃ~酒とか餌とかだろ! 宴だしなぁ、しかしあの餌旨そうだったなぁ~! 食えなかったけど……》


《では、答え合わせと行きましょう――先程ベルン様はこう言われました! 「1.ウィリア様に対し見下すような事はしないように 2.出された食べ物を無駄にしない事! 特に2個目だけは決してなさらないでください」とふたつめに該当するものはなんですか?》


《餌だな――ぁ!!》


《そう言う事です…これはもう我々だけでは決して許してはいただけないでしょう。デイハ様にお越しいただかない限り王竜シュベル様はきっと我らを許しません》


《ちょっと待ってよ、じゃぁ私の輿入れはどうなのです!?》


《今のところ…難しいとしか言えませんね…》


《ちょっと!! ふざけないでよ!! 宴の食べ物が散乱しただけでしょ? なのに何で輿入れまで難しくなるのよ!》


《はぁ取り敢えず、デイハ様にお越しいただけるようシンクアを南に向かわせましょう……》


 リュークは、シンクアに視線を向け、直ぐに飛んでくれるよう伝えた。そのまま、シンクアは空に上がり南へと飛び立っていった。その後、宴はお開きとなり南の竜達はその場に残り北の竜達は自分達の塒へと帰っていった。

訂正:文字抜けと……ルビ抜けと……色々やらかしてました。

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