表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜達の愛娘  作者: ao
第三章 ―冒険者ギルド・決着編―
68/108

ヒルデスとバーリン

 お読みいただきありがとうございます。評価・ブックマークを頂きありがとうございます。お時間ある時にでも、感想をいただければ嬉しいです。


※≪≫ で囲まれた部分は、真実の魔道具を使った時、囲まれた者が言おうとしていた内容だと思ってください。


「それはおかしいですよ、ギルド長? 私は何度もその件について取り下げるよう言ったではありませんか、それを聞き入れなかったのはあなた本人でしょう? それが何故、バーリンとコニーの仕業になっているのですか?」


 台座の側に控えるローブを着た魔術師が、そのローブを脱ぎならが宰相ノービスの側へ歩き寄る。見えた顔に、ヒルデスが呟くようにその名を呼ぶ。


「マギ……!! 貴様……」


 国王へ顔を向け恭しく礼をし終えると、マギはヒルデスへと視線を向け続きを語る。


「ギルド長、ギルドはあなたの私物ではありません!! と何度も申したはずです。国王様にまでご迷惑をかけるような事件を引き起こすなど……」


 厳しい顔で語るマギは、目を剥き威嚇するヒルデスを物ともせず、言葉を続ける。


「ギルドとは、本部・支部に関わりなくその拠点を置く地域の者たちの暮らしを守ること。金銭を受託する代わりに命をかけ獣魔を狩ることが目的で創設されたギルドです。

 ……人を襲うことがないと言われている竜族に、住民を襲ったと言う濡れ衣を着せたばかりか、その命を奪うよう指示書をかくなど……!」


「黙れ!」


 拳を握り締め、憎悪の色を隠すことも忘れヒルデスが喚く。気が緩んでいたらしい国王がビクっと身体を揺すり座りなおす。


「どうなさったのですが? そのように声を大きくされて……? あなたがいつも言っていたことではありませんか……。こういう時こそ()()()()()()()()()()()()ではないのですか?」


 あえて遅れて登場したキリクが、ヒルデスに向い歩きながら彼の口癖らしきものを強調するように言う。その言葉に、ヒルデスはついにその顔を醜く歪める。


「違う! 竜は本当に村人を襲った、だから私は……っ、お前は、私が憎いのだろう? だから、有りもしない罪を擦り付けようとするのだ! お前たちがこの2人に指示をした犯人だろう!」


 自分が指示書を書いたと言いそうになり、ハッとした顔を見せたヒルデスは、マギたちが罪を着せようとしたと更に大きな声で唾を飛ばし吐き捨てるように言うとマギとキリクを交互に指差し国王へ訴える。


「陛下。この者たちは私の持つギルド長という地位が欲しいのです! 長年その席に座っている私が憎いのです。私への復讐のために嘘を申しております! どうか、直ぐにこの者たちを捕らえ牢へ繋いで下さるよう御命令下さい!」


 プルプルと震える指先を辿りマギとキリクへ視線を向けた国王は、静かに立ち上がるとゆっくりゆっくりとヒルデスへ歩みを進める。

 

「マギ、キリク、もうよい」


 国王の言葉に、マギたちは一礼すると国王の進行を邪魔しないよう左後方へと下がった。その様子にヒルデスは腕を降ろし薄ら笑いを浮かべる。

 ひと一人分ほどの距離まで移動した国王はヒルデスへと話しかける。


「お前の先程の言葉だが、マギたちと他2名がお前の地位を狙ってグリンヒルデと取引をしたと言ったな?」


 国王の問いに、大きく頷くとマギたちを其々指差す。


「間違いございません! この者達がグリンヒルデと取引したのです!」


 目を眇めその様を見ていた国王は、そうかそうかと言葉を漏らすと自身の腰へ手を差し入れ羊皮紙を取り出すと、ヒルデスの眼前に突き出すように広げる。


「ならば、この書類を見るが良い。これは、お前が牢に繋げと願ったマギにより提出されたものだ。

 内容は、竜討伐に関する取り決めや分配、金銭の割合なども記されているな……。

 更に、下部にはお前とグリンヒルデの第3王子である、アルスティ・ハイド・フォン・グリンヒルデの直筆の署名が入っているだろう? これも偽造されたもの……なのか?」


 笑っているのにヒルデスがビクッと震えるほどの威圧を込め、国王は詰め寄っている。

第3王子だと国王は言っていた、アルスティ……と言う名に覚えがあったはず……。はて? どこでその名を聞いたのかはたまた見たのか……? 思考するも判らず、考えることを止めた。


「そっ――」


 証拠を目の前に突きつけられようと、彼は足掻くように言葉を紡ごうとした。

 そんな彼の言葉を遮るように国王の横から1歩、前へ歩み出るローブ姿の人物たちがそのローブを脱ぎ声をあげる。

 

「ヒルデス……。お前はやり過ぎたさ! 人の理の範疇をこえちまったのさ」


 言葉遣いは荒いが、諭すように呟いた。


「なっ!! ……ニーヤがなぜ……」


「ヒルデスさん!! 俺が聞いてた話と違うじゃねーか! あんたは俺に、冒険者がミスしちまって国王様に弁解するためなんだろ? なのに……、殴ったり蹴ったり! あんたたちは俺を殺すつもりだったんじゃねーのか?」


 巫女の治療を受け回復したロートもまた、ヒルデスたちに自身が持ちかけられた取引の違いを訴える。2人に詰め寄られ、言い逃れが出来なくなった彼らはまだ、諦めていないのか視線を彷徨わせている。だが、ヒルデスだけはその視線をキッとある方へむけている。


「私は嵌められたのです! ニーヤもロートもきっとグルに違いありません!」


 ヒルデスがこういえば、バーリンも反論する。


「ギルド長、それはあんまりではありませんか!? 私はあなたの指示に従っただけではありませんか? 嵌めるなどとんでもありません!」


「ふざけるな! 私が指示した? そんな指示をした覚えない!」


「なっ……それは酷すぎませんか?」


 そうしてはじまるのは、罪の押し付け合いだ。

 どんなに言い合いをしたとしても所詮は、水掛け論でしかない……。


 聞くに堪えない言い分を繰り返す2人に呆れ、魔術師へ思念を飛ばそうと思ったが、国王たちが側にいるため魔道具を発動するのはマズイと考え、先に国王たちへ思念を送った。


《魔道具を発動させる。下がってくれ》


 思念を返すより早く、4人はその場から距離を取るように後へ下がる。準備が整い、指示通り魔術師が魔道具を発動させた。


 冒険者ギルドの3人の周りを緑色の光が丸く包み込むように輝いた。興奮して周りが見えなくなっているらしい2人は、光には目もくれず互いに罵り合っている。

 冷静であれば直ぐに反応できだろうに……。


「バーリン! 竜討伐に関与していないだと? その場にはお前も居たではないか!」

 ※≪陛下! 私は、竜討伐の署名を、バーリンにさせられただけなのです!≫


 憤慨し、興奮しているヒルデスは気付かぬままバーリンを罵しっている。

 

「仕方ないでしょう? 上手く立ち回れないあなたの短慮な行動の失敗を補うために何度も、尻拭いをしてさ……!! なっ……」

 ※≪誤解なさらないで下さい! 全て仕組んだのはギルド長なのです! 脅され……!!≫ 


 反論していたバーリンが、言葉を止めた。

 魔法の効果に気付いたらしい。動きすら止め視線を彷徨わせている。


 彼が言葉を呑んだことに気づいたヒルデスは、好機とばかりに先程より更に大きな声で、脅されたと(真実)を告げる。


「バーリンお前、竜は良い金になる! そう言ってただろ? アルスティ王子が持ちかけた話に乗り気だっただろう! 討伐隊を編成する時だって、分け前半分も取りやがって! ノリノリでやってただろう!」

※≪バーリンが竜討伐は、住民を守るため必要だと騙したのです! グリンヒルデ王国の使者を連れてきたのも、冒険者を派遣したのも、全て彼の指示なのです!≫


 何かがおかしいと気付いたらしい、暴露した男が、口をパクパク開け閉めしつつヒルデスの後ろにいる国王を指差している。

 更に追い詰めようと、バーリンを睨みつけていたヒルデスの視界に入ったであろうその男の姿を、不審に思った彼は、そこで漸く周囲の様子を伺うことを思い出したのかキョロキョロと首を左右に振った。


 国王で視線を止めたヒルデスは、分りやすいほど顔色が赤から白へと変化していった。


「なるほど、金のためか……。

 冒険者ギルド総本部・本部長・ヒルデス、そして、執行官・バーリン・ロルトル。お前たちよくも、よくも、ここまで私を謀り、愚弄したものだ。

 グリンヒルデ王国と繋がりを持ったこともきっちりと拷問して吐かせてやるから安心しろ!

 簡単に極刑などにはせん……そうだな、お前たちのその命尽きるまで、犯罪奴隷として鉱山で忠誠を示して貰おう」


 言い終わるや国王が片手をあげると同時に、騎士達が動き3人は拘束された。引き摺り連れて行かれながら、何度も「事実ではないのです! 陛下!」と訴え続けるヒルデスの声が謁見の間に響いていた。


 扉が閉まり、国王たちの元へ歩を進めていると、椅子の側から次々と関係者が姿を現した。

 カレラが小さな足を懸命に動かし、父へ駆けよる。


「お父さん!」


 呼ばれ振り向いたロートの足に飛びつくように抱きついた彼女を、優しい微笑んだ顔でロートが抱きあげる。


「カレラ……。ごめんな……。お前を神殿に連れて行ってやれなくなってしまった……」


 首筋にギューと抱きついたカレラは、激しく首を振った。


「神殿なんかいけなくていい! お父さんと居られたらそれでいいの」


 カレラ……。と名を呟くと彼女をきつく抱きしめている。これでもかと摺り寄せたカレラの顔を見れば、大きな瞳に蓄えられた涙が決壊したように流れ落ちた。

 既に、ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが……。現在、試験的企画として、【お前なんかに、王太子妃ができるわけがない!!】の第1話と第2話を短編に編集した状態で掲載しております。ご興味がある方はよろしくお願いします。


https://ncode.syosetu.com/n6789ft/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ