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竜達の愛娘  作者: ao
第三章 ―冒険者ギルド・決着編―
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罠②

 お読みいただきありがとうございます。評価・ブックマークを頂きありがとうございます。まだの方もお時間ある時にでも、感想・評価・ブクマークをいただければ嬉しいです。

/シュベル


「それは、間違いないのだな?」


「はい。間違いありません」


 はっきりと、言い切ったマギはその瞳を真っ直ぐ私へ向けていた。


 あの日、デュセイの冒険者ギルドであの紙を見た時から、ずっとグリンヒルデが関与しているのではないかと考えていた。それが今、マギの発言により確信へと変わる。

 なんとも言えない思いを抱え、深く息を吸い吐き出すと、マギへと目を向けた。


「教えて貰えて助かった」


「はい」


 頷く私に、マギは返事を返し軽く会釈すると、国王へ羊皮紙を渡していた。


「これがお役に立てば良いのですが……」


 声音は優しげだが、その表情は厳しかった。羊皮紙を受け取るとその内容を確認していた国王は深い溜息を吐き出す。羊皮紙を閉じながら、ニヤリと笑いを浮かべ


「良いものだ」


 そう、一言だけ言うと次の者へ視線を向けた。


「彼女はニーヤです。カレラとその父が住む地区の管理者というべきでしょう。

 これまで、ヒルデスたちの悪行の尻拭いとして連れて来られた者のほとんどが、スラムの住人です。

 奴らは、犯人として名乗り出る代わりに金を渡すと取引を持ちかけ、それを拒否した場合、家族や恋人を人質に脅したり、名乗り出たにも関わらずその金を払わないということを繰り返しているのです!!

 ニーヤはその住民たちに変わり、ヒルデスと協議する顔役をこなしていた人物です。今回、またスラムの者が関わると知ったからこそ自らここにいます」


 そこまでのことを奴らはやっていたのか……。もう、ここまでくれば怒りを通り越して呆れとなるのだ。


「……なるほど。余程……」


 そこで、私は言葉を止めた。騎士がカレラを連れて来たからだ。昨日も思ったことだが、本当に病だったのが嘘のように、顔色が良くなっている。


「調子は、どうだ?」


 そう聞いた私に、笑顔で元気にジャンプしてみせたカレラを撫でてやった。国王たちも声をかけ、彼女と騎士、竜たちの内、リューク・カシ・アルティと宰相ノービスは共に、王座の後ろにある小部屋へと移動していった。


 リューク・カシ・アルティは、カレラたち協力者の護衛のためその場に留まるよう伝え、宰相ノービスには、カレラへの口止めが済み次第、戻ってくるよう伝えた。


 見送っていた私に、ニーヤは改めて礼を口にする。

「竜大公様、この度はあの子の病を治していただきましたこと、あの子の父親に代り心よりお礼申し上げます」


 腰を深く折って、頭を下げる。彼女の肩に手を置き、ポンポンと叩き気にしないでいいと伝えた。それを見守っていた、国王が、満足げに頷くのを見遣り彼に頼みごとをするため言葉を口にする。


「国王、頼みがあるのだ。そなたがもっとも信頼するの騎士4名と魔術師を1名貸してもらいたい」


 訝しげな顔をした国王に、私はある物を見せるのだが、それを見た彼は更に首をかしげていたが、何も聞かずにハロウを呼び寄せると、何名かの名前を告げつれてくるよう指示を出した。


 私が見せたのは、昨夜作った5つの魔道具だ。魔法:万物知識創造で作り出した、魔法:有効範囲(エフェティーレン)と魔法:範囲制約(スピア・リミーション)その効果は――


 魔法:有効範囲(エフェティーレン)の魔法を込めた4つの魔道具をそれぞれ1人が持ち、範囲内に収めたいものを囲む。4つの魔道具を中継点とし、離れた場所から魔法:範囲制約(スピア・リミーション)を込めた魔道具をを起動させることで、制約が発動する。


 制約の内容は、嘘、偽りを言えないこと。その範囲にさえ入ってしまえば、自分の意思に反してその口は真実しか語れなくなるのだ。前回のヒルデスの態度、対応。カレラの父のことなどを踏まえ作り出した!

 これを使い、積もりに積もったツケをキッチリ払ってもらう……。散々我らをバカにしたのだ、当然簡単に許すつもりはない!!


 ハロウが騎士4名と魔術師1名を連れて戻ってきた。国王が信頼する者たちなのだそうだ。その言葉を聞き、彼らに魔道具の使い方とその内容を説明する。

 見せた物が魔道具だと理解した国王は、その目をキラキラさせ食い気味に質問してくる。


「それでは、これの効果は嘘、偽りを言えないということなのですね?」


「あぁ。そうだ」


 手に持った魔道具を渡してやれば、色々な方向から魔道具を見つめては頷いていた。


「これは、どのようにして手に入れられたのですか? 是非! お教え願えませんでしょうか?」


 国王の顔が10センチと離れていない場所まで近付いている……。彼の肩を掴み後へ押し戻す作業を終え、質問に答える。


「……近い!! それは、私が作ったものだ。他では手に入らない」


 押し戻された国王は驚いたような顔を見せた。


「申し訳ありません。つい興奮したもので……。自ら御作りになったのですか!!」


「そうだ」


 眉を下げ瞳を煌かせ魔道具に視線を向け暫く見つめると、私へ視線を移し、頬を赤らめ見つめてくる……。コテンと首を傾げられるが、まったくもって可愛くは無い!! いい大人の男が、小動物のような仕草をみせたところで……ただ。気持ち悪い。


 寒気を感じ、身体がゾクリとする。あまりの気持ち悪いさに、国王から少し距離をとった。そう感じたことに気づいたらしい彼は、衝撃を受けたように目を見開き、悲しそうな顔をする。


 その場が沈黙し微妙な雰囲気になった。何やら私が悪いことをした気になってしまい。


「あー。なんと言うか……。すまん」


「いいえ……」


 国王は首を振って答えるも悲しそうに潤んだ瞳をこちらに向けるだけで何も言わない……。

 何をどうして欲しいのだ? 何故、言葉を使わないのだ! はっきりと言わないことに、少々苛々しはじめた、私はさっさと、この茶番を終わらせるため、理由を問いただす。


「なんなのだ? 先程から……、何か言いたいことがあるならはっきりと言わぬか!」


 つい、口調がキツクなってしまったが苛々させられていたので仕方が無い。

 暫くまっては見たが、モジモジするだけで、国王は何も言わなかった。


 話すつもりが無い者を相手にする時間が勿体無い!! 残りの魔道具を魔法:個人箱から取り出し、騎士と魔導師にそれぞれ渡す。国王が持っている魔道具を回収し渡すため手を差し出すも返す素振りどころか、ギューっと握り締めている。


「さっさと渡せ!」


「……」


 本当に、こいつは何がしたいのだ? 理解ができない行動に私は困惑の色を濃くする。


「時間がないのだろう? 早くそれを渡すのだ!!」


 怒気を込めた言葉で伝えれば、国王は悔しそうな顔を見せ渋々と魔道具を返してきた。

 

 受け取った魔道具を直ぐに、騎士に渡して合図するまで決して起動しないよう伝えた。

 宰相ノービスが、後ろから私へ声をかける。


「シュベル様、どうかなさいましたか? 先程少し大きな声がしたようですが……」


「宰相か……。いやなに、国王の行動の意味が全くわからなくてな……。苛々していただけだ」


 呆れた顔で話せば、宰相は詳細を聞いてきた。全てを話し終えると小さな声で「あぁ」と何か分ったらしい呟きを漏らし、私へ国王の行動の意味を教えてくれた。


「国王陛下は、大の魔道具収集家でいらっしゃいます。きっと、シュベル様が御作りになられた珍しい魔道具を欲しいと思われたのでしょう。ですが、自分から欲しいとは言えず、シュベル様から言い出すのを待っておられたのではないでしょうか?」


 実に馬鹿馬鹿しい理由だった……。


「欲しいなら欲しいと言えばいいではないか……。何故言わんのだ!」


 宰相は思案顔になり、頷くとこれはあくまでも私の個人的見解ですが……と前置きする。


「国王陛下は、魔道具の希少性を考え、渡せる対価を決めかねられていたのではないでしょうか? 竜種に、金貨を差し出したところで意味はありませんし、他のものと言っても中々直ぐには思いつかないでしょう……。それに、人族の価値観をシュベル様たちに押し付ける結果になります。ですから言い出せなかったのでしょう? 違いますか?」


 宰相は、国王へ視線を向け聞いていた。国王は罰の悪そうな顔で頭をガシガシ掻くと頷いていた。


「なるほどな……。こんなものを集めてどうするのだ?」


 その使い道に疑問を感じ、軽い気持ちで問えば、彼は勢い良く話はじめる。魔道具の素晴らしさ、その可能性について――。


 まだまだ語り足りないと言う国王を準備が整ったからとハロウが王座へ連行していった。その間際、国王とハロウそれから、魔道具をもつ魔術師・騎士、宰相ノービスへ小さな魔石を投げて渡した。


「それには、魔法:応答が籠められている。魔石の大きさから、今回使えば直ぐに役に立たなくなるだろうが……。使い方は、言葉を伝えたい相手を思うだけでいい」


 そう言葉にすれば、収集家である国王は魔石を色んな角度から煌いた視線で眺め、頬擦りをしていた。

 収集家とは、実に恐ろしいものだ……。

 既に、ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが……。現在、試験的企画として、【お前なんかに、王太子妃ができるわけがない!!】の第1話と第2話を短編に編集した状態で掲載しております。ご興味がある方はよろしくお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n6789ft/

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