表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜達の愛娘  作者: ao
第三章 ―冒険者ギルド・決着編―
58/108

予期せぬ、歓迎……

 お読みいただきありがとうございます。評価・ブックマークを頂きありがとうございます。お時間ある時にでも、感想をいただければ嬉しいです。

/シュベル


 アルシッドク皇国・宰相を連れてやって来た、セルスティア王国で国王に会うため謁見の間へ向っていた私たちは、そのまま謁見準備を待つため、またもや控え室に案内された……。

 

 前にも似たようなことがあった気がするのだが、う~~~ん!! ウィリアの事が絡まない限り忘れっぽい私には、いつの事だか思い出せない……まぁ、たいしたことではないだろう、重要なことならそのうち思い出すはずだ! そう考えた私は、そこで思考を打ち切ることにした。


 ウィリアのお手製のお菓子や料理が、机の上に所狭しと並ぶ。そのお菓子や料理を、各々好きに摘み食べながら呼ばれるのを待っていると、ドアがノックされ侍女がカートを押して入って来た。否、正確には入ってこよう1歩踏み出し、こちらを見て固まった。と言うべきだろう。

 

 それでも、数瞬のうちに立ち直った侍女は、私たちの側近くまで移動すると「失礼いたします」と言い頭を下げ、引き攣った笑顔を見せ、紅茶の入ったカップをテーブルへと人数分配った。それを終えた侍女は、そのまま退室すると私たちは、ウィリアの絶品料理の数々に舌鼓を打った。


 食欲が満たされると、今度は睡眠を欲するのが生き物だろう。長い時間待たされ、私もうつら、うつらと船を漕ぎ始めた頃、またドアがノックされる。

 

 眠い目を擦り入室の許可を与えれば、漸く準備が整ったと、文官が迎えに来ていた。窓の外を見れば、既に日が傾きかけ橙色に近い色合いをしている。


「うーん」

 背を伸ばし、肩や首を解す私の隣で、可愛い欠伸をして見せた微笑ましい様子のウィリアに顔が緩むのを感じた。

 

 私たちが立ち上がり、移動する準備が整ったのを見届けた、文官は「ご案内します」そう、硬い声音で告げると、扉を開き廊下へと進んだ。廊下で一度待つように立ち止まり、全員居る事を確認した文官は、私たちに歩調を合わせるように歩く。200メートルほど左へ進むと「こちらで、お待ちください」との言葉を残し、彼はその場を後にする。


 扉の両側には、直立不動の騎士が2名立っている。内側から、数回ノックのような音がなると騎士たちは、それぞれに扉の前へ移動すると各々手で扉の取っ手を握り締め、奥へと押すように開いた。


 扉が開きはじめると、高位の文官と思わしき男が、大きな声を張り上げ


「アルシッドク皇国・宰相。ノービス・ニケ・バルフォン殿、御入室~!!」


 文官が、入室者の名前を叫べば、室内に居た者達が拍手で歓迎を示してくれている……。


 室内に入るたびに、これをやるのか? なんと……恥ずかしいっ! これがこの国の当たり前なのだろうか? ある意味拷問に近いのではないか? などと軽く死んだ目をした私が考えていると「続きまして」と言葉を発し高位の文官が、先程と同じ声量で


「竜大公。シュベル・クリム・ハーナス様、御入室~!!」


 つ……げ……た……それに続くように、謁見の間に拍手の音が鳴り響く……。


 私は、あまりの羞恥心に後ろを振り返った。私の顔を見た、ジオール・カシ・アルミス・ルリア・アルティ・リュークがほぼ同時に噴出し肩を震わせ、身を捩り笑っていた。そんなに、私の顔はひどいのか……? 


 私がそんなことを考えている間にも、ウィリアやジオールたちの名前が呼ばれていく。笑っていたはずの彼らの顔が瞬時に真顔になり、半目になると赤くなって行く様を望まずして私は見てしまった……。


「シュベル様? 参りましょう」

 

 いつも通りの声音で私に声をかける宰相へ顔を向ける。彼の顔は、いたって普通だった……。ナゼフツウニ、デキルノダ?


「あっ、あぁ……」


 未だ、羞恥心を拭いきれないまま、私は宰相と共に1歩を踏み出した。王が座る椅子の数メートル先で、足を止めた私と宰相に国王は立ち上がると、まるで劇の主役が如き動作で両手を広げる。


「よくぞ! よくぞ! 来てくれた! 歓迎しようではないか!」


 国王は言葉を言い終わると共に、白い歯を見せ笑顔で私たちを歓迎してくれた。彼の口調も劇の主役のそれだった。頭が痛い……。


 国王の見た目は、20代後半、色白の細い身体に銀の髪を肩口で一纏めに左へ流し、翡翠色の瞳を持っている。そして、動作も口調も演劇の主役そのものだ。


 だが! 宰相はそれにも動揺した様子を見せることなく、片膝を着き頭を垂れると発言する。


「陛下に拝謁叶い、そのご尊顔拝することを心より感謝申し上げます。この度セルスティア王国への来訪につきましては、こちらを、アルシッドク皇国・皇王様より御預かりしております。どうぞお納め頂きお目を通していただけますれば幸いでございます」


 堅苦しい言葉と共に、皇王からの手紙を両手で差し出した宰相に、国王は言葉をかけた。


「私も、そなたと再会できたこと嬉しく思う」

 そう言って、右手を振ると近くに控えた文官が、宰相の手から手紙を受け取り国王へと差し出した。


 手紙を受け取った国王は、その場でそれを開き目を通していく。

 1枚目、2枚目、3枚目と読み進めるうち、眉根にしわがよりその目に怒りを湛えはじめ、顔は赤く紅潮している。プルプルと震えていた手紙を持つ手がついに、グシャリと手紙ごと拳に変わったと思えば


「この内容は……事実なのか?」

 

 国王は、震える声で尋ねる。それに答えるように宰相は、真っ直ぐに顔をあげ国王を見据えると静かに頷いている。

 

 その様子に、目を閉じた国王は直ぐに瞼をあげ大きな声で指示を出す。


「今すぐ! ここにギルド総本部・代表、ヒルデスを連れてこい!」


 まるで、恫喝するような言い方ではあったが、彼の憤りを表すには十分だった。彼の言葉に近くに居た騎士達が、慌しく動き扉を出て行った。

 国王は、ふぅーと留意を下げるように息を吐くと


「まさか、こんなことになっていようとはな……」


 呟くように言うと、私たちへ視線を向けると昔の話だと前置きした上で語りはじめた。


「この国もまた、アルシッドク皇国と同じように神話が残されている。竜を目にしたのは今回がはじめてだが、実在することは知っていた。我国でも、竜を狩ることは法で禁じている。それを犯せば死あるのみだと、国民はわかっているはずだ……。なのに、この国に総本部を置く、冒険者ギルドがその斡旋をしていたとは……。私の国王としての監督不行き届きだった。謝罪で済む話では無いことは十分承知の上だが……。すまなかった」


 数段高い場所から、私の前へ移動した国王は、その目を閉じて頭を下げた。その姿に周りの居たセルスティア王国の臣下たちが、次々頭を下げる。


「ひとつ、聞きたい……」


 私のその声に、顔を上げた国王は真摯に瞳を向けると、頷いて私の言葉を待っている。


「グリンヒルデ王国が今回の件に関わっていると、お前たちは思うか?」


 私の問いに、国王の顔が何故知っているのかと言わんばかりの顔に変わる。私が目を眇め、国王を見詰めると諦めたような表情を見せ話はじめた。


「私が持つ情報は、数年前になりますが、グリンヒルデ王国内に居た、竜たちが忽然と姿を消したと……。そのせいで……グリンヒルデ王国では獣魔の被害が頻発しているようで、竜に戻って貰えないか交渉するため、竜を探しているとグリンヒルデより書簡が届いたのが、7日ほど前です」


 国王の瞳は、嘘をついていない。その書簡に記された内容をそのまま私に伝えたのだろう。だが、竜に戻ってもらえないか交渉するため……とは、我らをどこまで愚弄するのだろうな、あの国は……ふざけ過ぎだ。あまりの言い分に私は右手の拳を強く握る。


「……たわけたことを……そんな……」


 その声は、デイハだ。彼もまた詳細を知る1人であり実際に被害を受けてきた部族の長なのだ、その憤りは、私以上に強いだろう!!


 私の隣で、大人しくしていたウィリアが、デイハの言葉に彼を振り返ると側に駆け寄っていく。デイハを見上げ、硬く握られた拳に両手で包むように触れている。


「デイハ叔父様、ごめんね。ウィリアの種族の人が叔父様たちに酷いことしたの……本当にごめんなさい」


 ウィリアの突然の謝罪に、デイハもまた目を見開くと、その姿を確認するように顔を向ける。瞳に大粒の涙を浮かべ何度もごめんなさいと謝るウィリアに、寂しそうな笑顔を浮かべたデイハは、優しく頭に手を置くと、何度も撫で


「ウィリア様が謝ることではないでしょう? 確かに我らの仲間や家族を殺したグリンヒルデの人族は憎いです。でも、家族であるウィリア様にその思いを向けたりはしません。ですから……どうか、謝らないでください」


 優しく諭すような声音で言い終えると、ウィリアの瞳にたまった雫をそっと指先で拭っていた。


少し表示方法を変えてみました?難しい……。どちらが読みやすいでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ