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竜達の愛娘  作者: ao
第一章 ―王都編―
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家族の絵

評価・ブックマークをして下さった方ありがとうございます。また、それ以外にこの小説を読んでいただいた方々に心からの感謝を♪お暇なときにでも、感想やレビューなどいただければ幸いです♪


竜達の愛娘 ―ものおき―


閑話はこちらに置く事にしました。思いついたものや皆さんのご希望があれば欠かせて頂きます。 https://ncode.syosetu.com/n6489fs/

/シュベル


 竜大公の爵位を得て2週間、舞踏会開始前の控え室で頼んだものを持ってきてくれた宰相と話しをしていた。


「遅くなり申し訳ございません。こちらがゴーチ連邦の地図になります」


 落ちた畳まれた地図を開き確認する。わざわざ私の納める場所を赤のインクで囲ってくれていた。その範囲は竜の塒から、結構な距離にあるように思う。


「気にするな。ところで、こんなに広く我らに与えていいのか?」


 心配になり目の前に座る宰相に確認を取る。彼は頷き


「えぇ、元々ゴーチ連邦の付近は、人族には近づけない森になっているのです。この際その森ごと竜大公となられたシュベル様に管理していただければ私達の方も助かりますので」


「そうか、ならありがたく貰っておくとしよう。我らも南と北が合流した事で狩場が狭く感じるようになっていたのだ」


「でしたら、調度良い采配だったのかもしれません」


「あぁ、そうだな」


 互いに笑い合う。そう言えば、と宰相は前置きする


「魔石の件、皇王様より厚くお礼申し上げるとお伝えするよう申し付かっておりました。我ら一同心よりお礼申し上げます」


 立ち上がり居住まいを立たずと、直角に頭を下げた。


「確かに受け取った。何か相談事が有ればいつでも言って欲しい。我らにできることであれば協力しよう。ただし人族の争いごとには関わらないがな」


 きっちりと釘を刺すことを忘れず、宰相に伝える。


「もちろんでございます」


 私の目を見ると、しっかり頷いた。この男に任せておけば、要らぬ火の粉を被る事は無いだろうと安心する。


 あぁ、そうだったと私は懐から4枚の白い封筒を出すと宰相の目の前のテーブルに置いた。


「招待状だ。3日後と日付が近くて申し訳ないのだが、私の竜大公就任とウィリアの11歳の誕生日の宴会を開く事になっている。宛名は封筒に書いてあるが、皇王・リーシャ宛、宰相宛、西門のガラド宛、セル宛となっている。もし良かったら届けておいてくれ」


「はい、確かに受け取りました。帰ったら直ぐにでも日程調整して必ず参加させていただきます」

 彼は、笑ってそう言うとしっかりと封筒を鞄に入れ、「それでは」と立ち上がり、丁寧に頭を下げると帰って行った。


 私達は、ウィリアに内緒で誕生日の宴の準備をしている。ウィリアを驚かせる為、その事は内緒だ。しっかりとその事は、招待状にもかいてあるのでばれる事はないだろう。宴会の会場となる場所は、屋敷の中に作ったドアから入れる部屋にした。ここならば私達が出入りしても問題ないと考えたのだ。

 

 会場の設営は、女竜達が取り仕切り、食事の材料確保は、男竜達が張り切って行っている。今も、正にその作業中で、女竜達が「花を咲かせてくれ」とか「ここに、光る星をだせ」など色々指示が飛んでる。


 主役のウィリアは何処にいるのか?と言えば、ここ数日塒の子竜達に乞われて文字を教えに行っている。きっと、子竜達の母親がそう仕向けたのだろうが、子竜達の学習には必要なので良しとした。


 私は、その様子を確認すると自室に戻る。以前、ウィリアが欲しいと言っていたカメラなる物の代わりになる魔道具を作る為だ。カメラとはボタンを押すと目を向けた、その場の者や物をそのまま1枚の紙に描くものだと、詳しく聞いたアルミスが教えてくれた。


 できるだけ、それに近いイメージを持ち、魔法を作ったのだが、いざ魔石の魔法を籠めようとすると、魔法の威力が強く、魔石が壊れてしまう。そこで私は、私達と同等の獣魔の魔石ならいけるのではないかと考え、その獣魔を探して7日程旅に出ていた。もちろん、ばれないよう夕方には屋敷に帰った。


 漸く見つけた相手は、ブラックヒュドラだった。黒い硬質な皮を持ち、毒を吐く多頭の蛇だ。ウィリアの為、丸1日かけて殺したヒュドラから得た魔石は、今までより3倍(水晶玉)ほど大きな魔石だった。


 私は、直ぐさま屋敷へ戻り、魔石を加工しようと思っていたのだが…屋敷に付いて直ぐに怪我が見つかってしまい、ウィリアに怒られ治療魔法で治してもらった。彼女は、何度も何故、怪我を負ったのか聞いてきたが、話せるはずも無く……。


「散歩してたら、ブラックヒュドラに出会って、戦いになった」


 誤魔化してしまった。そんな、私にウィリアは


「シュベルお父様が強いとは分っていますけど…散歩に行って戦うなんて……心配です!」


 そう、涙目で訴えられ本気で心配された。胸が、キリキリと痛んだ。


 騙した事への罪悪感が未だに拭えないが、これもウィリアの笑顔を見るためだ! と自身に何度も言い聞かせ昨日は、旅に出た7日分ウィリアを愛で、撫でた。


「よし、やるか」


 そう、独りでに気合を入れ魔石を加工する。そのままでは余りにも大きすぎるのだ。せめて、もう少し小さくしなければウィリアは持つだけで腕が疲れてしまうだろう。慎重に、魔石を削っていく。約2割程周囲を整え削った所で、魔法:投影(プロション)を籠める。魔石は淡い光を放ち、無事に魔法を籠める事ができた。


 できた魔道具は、六角形の形で全体が黒で覆われ、中心だけが白くなっている。試しに、羊皮紙を用意し魔力を流し、魔法を発動してみる。すると、魔道具が淡い光を発し、机の上においた羊皮紙に絵が描き込まれていく。羊皮紙の絵を確認してみると、下を向いた私が描かれていた。

 なるほど、この白い部分を向ければ、それが向けたモノが描き出されるわけか!ウィリアは、喜んでくれるだろう。


 成功を確認し無事プレゼントができた事に安堵した。さっそく、布に丁寧に包み魔法:個人箱(アイテムボックス)を使い専用の空間入れた。


 窓を見れば、日が暮れている事に気付き慌てて、部屋の中を綺麗に片付けるとリビングへと降りていった。



 そして、ついに当日がやってきた。皇王・宰相・リーシャ・第1皇子・ガラド夫妻・セルの家族と皆集まってくれた。全ての準備が整うと子竜達がウィリアを連れてくるのを待っていた。

 

 用意された各テーブルには、中央に花をあしらい、美味しそうな食事と飲み物が用意されていた。室内の様子もここ数日で大きく変わっている。まず入って目にの、アーチ型に作られたガラス張りの天井だ。その天井から見える、色とりどりに光の玉が浮かび煌く空、地上に目をやれば、咲き誇るウィスユリアの花。凛とした佇まいが、美しい。


 招待客達は、口々に会場の様子を褒め、どのように作ってあるのかなど周りの竜達と話しをしていた。そこへ子竜のうち年長の子が「もう来るよ!」と声をかけて来た。皆で固唾を飲んでその瞬間を待つ。


 ゆっくりと、室内へ続く扉が開かれ、ウィリアが最初に入ってくるとその後を子竜達が追うように室内へと入った。驚き、目をこれでもかと見開き、呆然と立ち止まったウィリア。近くに居た、シシルが目の前で手を振り「大丈夫?」と声をかければ、はっと気付いたように周囲を見回し「な…なにこれ?」と、呟いた。


 未だ、動こうとしないウィリアに、ジオールとデイハが彼女を支えるように、中央の主役の席へと連れて行くと、ウィリアの前に騎士のように片膝を付くと、その指先へ口付けを落とし、ニヤリと笑うと離れてた。


 照明が暗くなり。そこへ、ベルンとカシリアが、巨大なケーキをウィリアの前のテーブルへ置く。ケーキには11本の蝋燭が立っている。そして、会場に居る皆が歌いだす。昔、ピアノを弾きウィリアが歌ってくれた、歌だ。誕生日の宴会をしようと決まったとき、皆で歌えるよう練習をした。


 歌が終わると、ウィリアの隣に立つ、カシリアが優しい笑みを浮かべて


「さぁ、願い事を籠めて吹き消して下さい」


 そう言うと、ウィリアは、両の掌を胸の前で指を絡めるように組むと、ひとつの筋を頬に残し瞼を閉じる。暫くの沈黙の後、瞼を開き大きく息を吸い込み、ローソクに向かい吹きかけた。ひと息では足りず2度目で漸く火が消え、皆が「ウィリア(様)おめでとう(ございます)」と言い、拍手や口笛が鳴り響いた。


 ウィリアは、笑い泣きの顔をする。


「皆さん、ほん、ほんどうに、ありがうございます。こんな、素敵なパーティーを開いて貰えて、私は、果報者だと思います」


 そう言うと、頭を深く下げた。そんな彼女に、皆が拍手を送る。


 それぞれが思い思いにウィリアへのプレゼントを渡している。ある者は、自身の鱗で作った耳飾、ある者は、自分が好きな本、更に、刺繍を施したハンカチや鞄……など、貰った本人も苦笑いを浮かべるほど、大量のプレゼントが贈られた。受け取る際、彼女は本当に嬉しそうに1人ひとりにお礼を伝え「大切にする」と約束していた。


 私も、プレゼントを渡すため、ウィリアの側へ移動する。個人箱から、包みを取り出すとウィリアの前に立ち


「11歳、おめでとう、ウィリア。これ、貰ってくれるか?」


 緊張するが顔に出さず、彼女の目の前へプレゼントの包みを差し出した。


「シュベルお父様、ありがとうございます。プレゼントまで……嬉しいです」


 笑って、包みを受け取ってくれた。


「喜んでくれるといいんだが……」


 頭を掻き、そう言えば彼女は、包みを大切そうに持ち


「シュベルお父様が下さるものなら、私は何でも嬉しいです。えっと、今開けてみてもいいですか?」


 ワクワクした瞳で包みと私を交互に見ると、歯見せてニコっと笑った。その笑顔に釣られ私も笑い、了承の意味を籠めて頷くと、ウィリアは包みを開けた。


 中身を見たウィリアは不思議そうな顔をする。私は、クスクスと笑うと、魔道具について説明を始める。


「それは、前にウィリアが欲しいと言っていた、カメラの様なものだ。この色が変わっているところがあるだろう?そこを、写したいモノの方に向けて、魔力を流せばその玉の下にあるモノへ描き写す魔道具だよ」


「使ってみてもいいですか?」


 ワクワクした顔でそう言うと、さっそく、私と彼女の方へ魔道具を設置すると下に白い羊皮紙を置き、少し離れると、私の腕に絡みつくように立つと、笑顔で指を2本立て魔力を流した。すると、魔道具は淡く光り、白い羊皮紙に、私とウィリアが描かれて行く、風景までしっかりと描かれると光は消た。


 直ぐさま、白い羊皮紙を確認すると私の元へ戻り、羊皮紙を見せてくれた。私とウィリアが腕を組み立っている。横にはケーキや、プレゼントなどが描き出されていた。


「本当に、写真だよ!! これで、皆との思い出が残せる」


 そう、呟くとまた涙を浮かべている。そんな、ウィリアの目尻に指を這わせ、拭い取ると頭を撫でてやる。すると彼女は、私に抱きつき思念を飛ばしてきた。


《シュベル様、本当にありがとう。こんなに、素敵な物を!! 本当に嬉しいです。大好きです》


 そして、私から離れると、皆を、主役席の方へ呼び集め、いくつかの、机を退かしてくれるよう頼むと、魔法:万物知識創造を使い、新たな魔法:画布(カンバス)を作り。室内に大きな囲い板に布が張ってある、白い物体を作り出した。


 大きな囲い布の中心に、魔道具の白をこちらにむけ、縦向きに置くと


「皆、顔が映るようにしてね!前の人は座って~。シュベルお父様と皇王様は真ん中で、リーシャはお父様と皇王様の間に入って」


 なとど、指示を出す。皆不思議そうな顔をしているものの、何かがあるのだろうと指示に従う。10分ほど経ち漸く、戻ってきたウィリアは、リーシャと私の間に入ると「皆、笑ってねー!」と叫び、魔道具へ魔力を流した。


 大きな囲い布に、集合し並んだ皆が描き込まれる。出来上がった絵を見た、皆が驚き、喜ぶ。その絵を見ていた、デイハが


「ひとつだけ足りませんな……」

 そう言うと、黒いインクとペンを持ち出し、隅にウィスユリアの花と竜の絵を組み合わせ描いたのだった。


「ウィリア様、何故このような絵を描いたのですか?」


 不思議そうに聞く、リュークにウィリアはふふっと笑い


「家族だからだよ? 家族みんなの集合写真だもん!」

「ウィリア様は、私達の事を仲間ではなく家族とおっしゃっていただけるのですか?」


 感極まった様子のジオールがウィリアに聞く。


「うん。ここに描いてある皆はウィリアの家族なの!」


 満足そうな笑顔で、家族と言い切るウィリアを、号泣したジオールが抱きしめた。中々泣きやまないジオールを苦笑いで慰めるウィリアの様子が可笑しかった。


 その後、宴会は深夜を過ぎても続き、皆が、美味しい食事に舌鼓を打ち、酒を飲み、魔道具を使い 色々な絵を描いていく。腕相撲で力自慢勝負などの余興もあり、いつもは真面目な顔しか見せないものも笑っている。そんな様子を、私はウィリアと2人見詰めていた。


 宴会の後、あの大きな絵は、豪奢な額縁を付け、その額縁には家族写真と言う題名を彫られて、ダイニングの壁に飾られている。ウィリアたっての希望だったからだ。最初は、照れくさそうに絵を見ていた竜達も、今では、そこに有るのが当たり前のように過ごしている。


 他にも、宴会で描いたものは全て、屋敷中のいたるところに飾られている。


 私の部屋にも1枚だけ飾った。

 誰にも見られない、ベットの天井に……愛しいあの子と私の描き込まれた絵を……。

ここで、第1部完結になります。お付き合い頂きました皆様ありがとうございます。

第2部は、学園編となります。お楽しみに~♪


また、本日22:00 ものおきの方に、閑話 追憶を掲載させていただきました。ウィリアの過去のお話です。少しシリアスなお話になりますが、宜しければお読み下さい。

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