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竜達の愛娘  作者: ao
第一章 ―王都編―
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家出?……誘拐②

②です。評価・ブックマークありがとうございます。お時間ある時で構いません、感想などいただけると嬉しいです。

/シュベル


 2人は、私達の前まで来ると、ガバっと直角に腰を折ると同時に


「申し訳ありません」


 嫌な予感がする……リビング一帯を緊迫した空気が包み込んだ。


「何があった?」


「ウィリア様を見失いました…途中までは気配を追えていたのですが、突然ぷつりと切れ……」


「なっ!!」


 あまりの出来事に、言葉を失う。どう言う事だ? 何故気配が消えた?そう考えている間にも、デイハ・ジオールをが他の竜達を取り仕切り、捜索する者達を選び出し、2人に見失った場所を聞きだす。


「場所は、ここより王都中心地へ向かい南よりの商店が並ぶ辺りです」


 アルティが顔を歪め嫌なものを思い出したように口を開く


「そこって、確かスラムが近いよな?? やばくねーか?」


 その言葉に、皆の顔色が変わるのが見て取れた。かく言う私もその1人だろう……。


 思念で何度もウィリアに声をかける。ウィリア? 答えてくれ!! 嫌って居てもいい、これからさき口を利いてくれなくてもいいから、どうか答えてくれ……。


《ウィリア? ウィリア?》


 だが、まったく反応が無い……。


「反応は無い。探すしかないようだ! ともかく、ジオール・デイハはそれぞれ、アルミス・ルリアを連れ、ウィリアの気配が切れた辺りの人族に特徴を話し見ていないか聞いてくれ! それから、ベルンお前は王城に行き、宰相にこの事を知らせ協力を仰げ!」


「はっ!」


 それぞれが短く返事を返すと直ぐに、ベルンは王城へ空魔法を使い移動し、アルミス・ルリアは捜索する者達を連れ空魔法で移動した。


 大丈夫だ!! きっと無事に見つかる。あの子はこんな所で死んだりしない! ウィリアが好んで座る出窓に座り、願うように空を見上げた…鉛色の雲からチラチラと雪が舞っていた……


「どうか!! ウィリアが無事に見つかりますように……」そう独り呟いた。


 その祈りが届いたのかは不明だが……、次々入る思念での報告の中に、ウィリアを乗せたと思わしき馬車がある事が判った。そのときの様子を聞く限り、馬車から降りた仕立ての良さそうな服をきた男性が、ウィリアと思しき少女に声をかけた所を住人が目撃していた。


 その後、馬車は、市場の方へ向かって行ったらしい、馬車の家紋(エンブレム)は、見当たらなかったそうだ。


《直ぐにその馬車を探せ!!! 私も出る》


 ウィリアが戻ってくるかもしれないと思い、屋敷にいたが、馬車に乗ったのであればここは他のものに任せても問題ないだろうと判断した、近くに居たものに指示を出すと直ぐに屋敷を飛び出した。

 鳥ほどの大きさの竜体になると、馬車が向かったと思しき場所へ飛び立つ……。夜でも夜目が効くため飛ぶ事に問題は無い。


 見落としが無いよう出来うる限り急ぎつつ、眼下を見渡す…。沢山の馬車が走っているわけではないが……、馬車の見分けがつけ難い!! 1台、1台虱潰し(しらみつぶし)に見るしかないか、そう考え近くに居る者を呼ぶ。


《近くに居るものは、鳥ほどの大きさになり空に上がれ!》


 返事をするよりも早く、次々と仲間たちが集まってきた。私の隣にデイハが飛んでいる。


《いかがしますか?》


《これだけの馬車だ、見分け付き難い……! 2体1組となり、1台ずつ潰していく》


 そう告げると、集まった竜達は2体1組となり、馬車へと近づき横を通り抜けざま、中を覗き居ないとわかると、また違う馬車へと飛んで次々、調べを進めていく。私もデイハと共に市場の周りを潰していく事にした。


 人族には見えない速さで飛ぶ竜をもってしても、ウィリアの乗る馬車は見つけられなかった。万策尽きたと、言わざるをえない……。


 項垂れる私に、諦めるのはまだ早いと、ジオールが活を入れてくれる。


《シュベル様! まだじゃ! この調子で全て探してみよう。 たかが王都の1区画を探したに過ぎん!》


《そうだな、これより、王都全ての捜索に切り替える! なんとしてもウィリアを見つけ出せ! 屋敷には、数名残ればいい! ベルンお前に屋敷を任せる。他の者は鳥ほどの竜体になり四方を探せ……》


 沢山の竜達の返事を聞き、私は、恵まれていたのだな……と感傷に浸りかけ己を律すると気合を入れなおし、四方に分かれ、ウィリアの痕跡を探す。


 それから直ぐに、ウィリアの乗ったと思われる馬車が見つかったと報告を受け急いで向かった。場所は、市街地から南西に離れた所にある、高い塀のあるそれなりの大きさを持つ屋敷だった。そこには、沢山の希薄な気配を感じた。馬車も10台以上停まっている。


 私、デイハ他数名が屋敷から、少し離れ場所で魔法;擬人化で人化し様子を伺った…他に屋敷の中が判るようにと、屋根に止まり様子を伺う者を数名配置した。


《ここはどういうところなのでしょうか?》


《わからん。だがここに居る可能性があるのなら行くしかあるまい!》


 そんな話しをしていると、屋根に止まった竜から思念が入り、ここが奴隷商の経営している娼館である事が判った。


 その報告を受けた、私はデイハ・ジオール・カシを連れ門へと向かって歩を進めた。門の前には2人の厳つい男が立っている。シュベル達が足を止めたのを見ると上から下まで観察し口を開いた。


「なんのようだ?」


「ここの主に用がある。取り次げ」


 そう返すと、男たちはフンと鼻を鳴らすだけで一向に動く気配を見せない。


「聞こえないのか? 取り次げといったのだ…」


 怒りを乗せ告げると、男たちはビクっと大きな身体を揺らし、慌てたように1人が中へと入って行った。

 残った門番へデイハが鋭い視線を向け


「ここは、誰の屋敷だ?」


 厳しい口調で問いはじめる。


「ここは、奴隷を扱う商いをしている。ゴールドマン様の娼館だ」


 報告に間違いが無い事がこれで裏付けられた。


「つい先程、来た馬車について教えろ!」


 デイハの怒気に当てられ、死の恐怖に駆られた門番は腰を抜かし、ワナワナ足を震わせながら答える。


「それなら、グリュンデリッヒ伯爵家の当主とその息子だ。賭博で抱えた莫大な借金を持ってる。借金で首が回らなくなってるから、道すがら拾った少女を度々売りにくるんだ」


 なるほど、その貴族が私の娘に手をだしたのか!! この国では、奴隷制度は基本は禁止されているが、貴族の中にはやはりと言うか、金に飽かし奴隷を自身のステータスとしてみるものも多いそうだ。だからこそなくならないと皇王が思念で教えてくれた。


 戻る気配のない、もう1人を元から待つつもりの無いシュベル達は、ある程度の話を聞くと門番の制止を無視して鋼で出来た門を掴み広げると中へ入る。玄関まではかなり入り組んだ様に植木が並んでいる……。真っ直ぐ走るのは難しそうだと思い。


《アルティ・リューク1割ほどの威力で真っ直ぐブレスを吐け》


《ぇ? いいのかよ?》


《よろしいのですか?》


《屋敷が壊れなければいい》


《判った》


《かしこまりました》


 2人は返事を返すと竜体になり、真っ直ぐにブレスを発射した。凄まじい閃光が辺り一帯を包んだ。

 ブレスの閃光が消えると、入り組んだ植木が全て灰になり玄関の馬車止めが見える。そのまま空魔法で玄関に移動すると屋根の上で様子を見ていた者達・周りを囲んでいる者達に『逃げ出す者がいたら気絶させるよう』伝えた。ドアをジオールが豪快に蹴り飛ばす……。


ドォーン!!!


 突然の轟音に驚き悲鳴をあげる女達。その中の1人を、アルミスがちょうどいいとばかりに片手で掴み持ち上げると


「グリュンデリッヒと言う貴族はどこ?嘘偽りを言えばこの場でお前を殺す」


 いつもの穏やかな口調も忘れ、残忍な視線を向け問いかける。女は、「ひっ!!」と悲鳴をあげ、ガタガタと振るえながら1階右奥の大きな扉を指出した。それを見届け、アルミスが手を離すと、ドサリと言う重い音をさせ女は床に落ちた。


 女が指した扉へと歩を進める、扉を開くとそこに4人の男がソファーに座っていた。


「何ものだ!」


 男の1人が、焦ったように声を出す。それには答えず辺りを見回すとシュベルから見た正面のソファーの奥に、少女の拘束された足が見えた。少女の姿を目に捉えたシュベルはアルミスに視線で促すとアルミスは顔を確認するため近づいていった。


 ソファーの後ろに倒れていた少女を確認したアルミスが、痛ましそうな顔をし頷いた。私は急いでそこへ足を進めた。確認する為視線を向けると、


 倒れていた少女は間違いなく、ウィリアだった。

 酷く殴られたのか顔が腫れている。泣いたのだろう幾筋も頬に跡を残し、口に布で口枷を嵌められている。美しく纏められていた髪は無残に散、装飾品は全て外され、ドレスは所々破れている。そして首には…有ってはならない枷が嵌められていた……。

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