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竜達の愛娘  作者: ao
第一章 ―王都編―
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招待……ひとめぼれ?

評価・ブックマークをして下さった方ありがとうございます。また、それ以外にこの小説を読んでいただいた方々に心からの感謝を♪お暇なときにでも、感想やレビューを頂けると、泣いて喜びます…(笑


本日、2000PV達成しました…。これも読んで下さっている皆様のおかげです。ありがとうございます!!!

 /シュベル


 3杯目の紅茶を飲み干した頃漸く皇城からの使者と呼ばれる文官1名と数名の護衛と思しき男たちが来た。タイミングが悪い!! 疲れて、ウトウトしていたウィリアを抱き上げ寝かせようとしたタイミングで使者が来たのだ、これは怒っていいと思う!

 そんな事情などしらない使者役の文官は眼鏡を掛けたきつい目をした男だ。見るからに、融通の利かなそうな堅物に思えた。席を譲った隊長に変わりその場に座ると、早速話し始める。


「お待たせして申し訳ありません。私は、アルシッドク皇国宰相補佐をしております。ウルス・ベン・フォードと申します。どうぞよろしくお願いします」


「あぁ、シュベル・クリム・ハーナスだ。よろしく頼む」


 15度程頭を下げたウルスは注意深い視線を向けながら口を開く。


「この度、陛下より貴方方の皇宮へ滞在に関する任を受けました。これより、貴方方を皇宮へとご案内いたします」


 眼鏡を右手中指ですっと持ち上げた。なにやらいけ好かない男だ……。


「いや、気持ちはありがたいのだが、こちらとしては皇宮へ滞在するつもりは無いのだが? こちらとしては、皇都の宿に寝泊りできるよう既に予約を済ませてある」


 ウィリアとの親子散策(デート)の為、断る気満々で言うシュベルにウルスは、大振りに手を広げる、まるでどこぞの神官のようなアクションを交え反論する。


「それは困ります! 陛下より貴方方を皇宮へ招き、謁見のその日まで快適にお過ごし頂けるようにと言い付かっております!」


 何故困るのだ……? 宿屋に泊まるだけで、お前や皇王に迷惑をかけるつもりはないのだが? つい沿う考え、反論してしまう。


「いや、しかしだな……」


「どうぞ、皇宮で御緩りとお寛ぎいただきたい!!」


 ゴリ押しにも近い、彼の言葉に私は、大きな溜息をつき了承を伝える。


「はぁ~。わかった。ただし、皇都の街中で買い物などをしたい。それについてはこちらに譲っていただく!」


「かしこまりました。できうる限りご配慮いたします」


 先に折れたのは、シュベルの方だった。この国と今揉める事は得策ではないと考えたのだ。ウルスは弧を描いた様な笑顔を向け「では、参りましょう」と立ち上がり部屋を後にする。それに続き詰所を後にした。ウルスの乗る馬車の後ろに付いて、馬車を走らせる。


「シュベル様、良かったのですか?」


 何がとは言わず問いかけるベルンに、私は答える。


「ここで揉めるつもりはないのでな」


 揉めるつもりはないとは、言ったものの……、奴の態度に腑に落ちないものがあるのも事実だ。我らの会話などを盗み聴きする者もおるかもしれんな……! 


 そう確か南に念話という物があったはず!! 着く前に魔法を試しておくか、会話ができるようになる魔法か――魔法:万物知識創造

 声に出さずに直接相手に自分の思念を伝える。聞こえる必要がある物だけを相手に送れるもの……毎度、相手を1から思い出さずとも同じように使えるもの――よし、これだな!

 魔法:思念伝達(バーツトランス)ものは、試しに送ってみるか! まずは、ジオールに……!


《聞こえるか? ジオール……》


 御者台から、ジオールの「うわっ!!」と慌てた声が聞こえた。

 無事、魔法は成功したようだ……。


《慌てるな! 魔法:思念伝達を使い、話しかけている》


《……》


 むっ……? 魔法がわからず、返事ができないのか!!


《ジオール、この魔法は、言葉を伝えたい相手を思い浮かべ、言葉を頭で話せば使えるはず、そして、1度話した相手には、相手を思わずとも話しかけられるようになる! やってみよ》


 そう言うと、頭の中でジオールの声がした……


《シュベル様? 聞こえますかな?》


《あぁ、大丈夫だ!》


《それはよかったの……!突然声が聞こえた時には、心臓が止まるかと思ったわい!》


 他のメンバーもこの中に加えられないか試してみよう……カシ・ベルン・ジオールを同時に思い浮かべる。慣れないせいかこれが中々難しい……


《3人とも聞こえるか?》


 目の前に座るベルンが、「!」驚いた顔をして私をみていた。無事聞こえたようだ。先程、ジオールにもした説明を、残り2人に説明し他のメンバーも入れてみろと説明を追加した。


《シュベル様、聞こえました》


《私もです……》


《聞こえておりまずぞ!》


《ならば問題ないな、他の2名の声も各々聞こえているか?》


《問題ございません》


《私も》


《わしもじゃ》


《ならば問題なかろう、この魔法は我ら北の竜とウィリア以外に教えるつもりはないが、場合により南のデイハには伝えるつもりだ。女竜たちを追加する。お前達も思い浮かべよ》


《かしこまりました》


《《はっ》》


 返事を確認し、この会話に入っていない女竜たちを会話に追加する。


《聞こえるか? アルミス・ルリア》


 ビクッと肩を揺らして、2人が私を凝視する。魔法:思念伝達について説明し参加させる事に成功した。


《して、シュベル様、何故このような魔法を御創りになったのですかな?》


 ジオールに聞かれ、ウルスの行動がどうにも腑に落ちない事を説明する。と皆も、何か企まれている感じがするとの返答があった。


《それで、この魔法を創られたのですね。流石シュベル様ですわ》


 褒めるアルミス……、だが……口の周りにクリーム付けたまま言われても……。

 そう、何故アルミスがクリームを口の周りにつけているかと言えば、女竜たちにこの魔法の説明をしている最中に、ウィリアがおやつ食べましょうと言いだし、シュークリームと言う菓子を皆に配ったからだ。


 折角、ウィリアが創ってくれたのだ、残すわけが無い! と言うわけでもちろん、私も美味しく頂いているとも……まぁ、それは置いておくとして


《とにかくだ、今回我らに接触を図るものに関しては注意しておいてくれ。いざと言うときは、竜体に戻りウィリアを連れて皇城を出る事覚えておいてくれ》


《はっ!》と皆の返事を貰い、満足し会話を終わらせ、残りのシュークリームを食べる。この菓子は、香ばしくフワッとした生地の中に、甘いクリームがたっぷりと詰まっている。


 全て美味しく食べ終わり、可愛い私のウィリアを甘やかすことにする。


「うん、ウィリアのお菓子は何を食べても美味しい! 流石、私の自慢の娘だ!」


「本当ですか? シュベルお父様!」


 作った物を褒めると、本当に嬉しそうに笑う……。可愛いウィリアらしい反応だ。


「あぁ、本当だとも! ウィリアは何をさせても上手だよ!」


「そんな事ありませんっ、私だって苦手なものはあるんですよ!」


 そう言って、照れたように頬を紅潮させる。


「苦手なものかぁ、例えばどんなもの?」


「えっと、お魚捌いたりとか……」


 何それ可愛い!! おっとイカン!! つい素が顔をだしてしまった……


「そうか!! それでも、努力しているのを知っているし、苦手にするほど下手ではないから問題はないよ! それに、多少骨が残っていようと、ウィリアが作ってくれたものなら、どんなものでも美味しい!」


「もぅ、シュベルお父様ったら!!」


 そう言って、少し俯き両手を頬にあてたウィリアの頭を、心ゆくまで撫でていると馬車がゆっくりと停止した。


 馬車の扉をカシが開ける、ベルン・アルミス・ルリア・シュベルの順で降り、最後に降りるウィリアに、手を出し降ろす。


「お姫様になった気分です! シュベルお父様」


 ニッコリ笑顔でそう言うと、私の腕に腕を絡めた。その様子を、皆が見やりニコニコ笑ったが、ジオールだけが舌打ちしていたような気がした。

 役得ですよ! ふはははははははっ と頭の中で高笑いしていると、ウルスが声を掛けてきた。


「これより、お部屋へご案内いたします。従者の皆様もそれぞれお部屋をご用意しておりますのでどうぞ、こちらへ」


 歩き出した、ウルスの後について歩く。私達の後ろから、普段は場内を警備しているであろう、騎士がついてくる。


 暫く歩き、庭園にさしかかる渡り廊下で、煌びやかなドレスを着た女達がテーブルを囲み茶を飲んでいるのが見えた。テーブルを囲む女性のうち1人の女性(と言うには幼そうだが……)がこちらに気付き、こちらに向かってくる。その女性は、薄桃色のふんわりしたドレスを身にまとい、スレンダーな見た目をし、焦げ茶色の髪に茶色の瞳をしていた。ウルス曰く美しい佇まい? をしているらしい。私にはよく判らなかった。


 その女性は、私達の前までくると、優雅に淑女の礼と言うものをしてくれた。我々が軽く会釈をすませると、ウルスがその相手を褒めちぎる……


「これはこれは、皇女殿下。本日も麗しく、可憐で、花の様な殿下にお似合いのお召し物でございますね!」



「まぁ、ありがとう。ウルス」


 片手を上げて口元にあてると、微笑み礼を言った。


「事実でございますれば……」


 うふふ、と笑いこちらへと視線をむけたあと、軽く首をかしげ、ウルスをみやる。


「ところで、この方々は?」


「陛下のお客人でございます」


「そう、お名前をお聞きしたいわ」


 シュベルから視線を動かすことなく皇女は、紹介するよう促した。


「シュベル・クリム・ハーナスだ」


 特段私は、意識して格好つけたわけでもないのだが? この皇女は、両の掌を合わせ、1オクターブ上げた声音で


「まぁ、シュベル・クリム・ハーナス様とおっしゃるのね! シュベル様とお呼びしても? それと、よろしければお茶をご一緒しませんか? できればぁ、2人で(はーと)」


「呼び方など好きにすればよい。すまんが、茶を共にする気はない」


「そう……、ですわよね! 今日はお疲れですものね。無理を言って申し訳ありません、明日でもいいのですがいかがですか?」


「街に散策に出る予定だ。その時間が惜しいからな……」


「でしたら、時間の取れるときでかまいませんわ! 2人で庭園の散歩などいかがでしょう?」


「興味が無い!」


 ウルスや周りの騎士の視線が非常に痛いのだが……

 一瞬目を見開き、悲しそうな皇女を気にする様子も無いシュベルに、周りの騎士達の纏う空気が怒り変わったのを感じた。ウルスを見れば、彼も同じように怒りを纏っている。


 その姿を見ていた、ルリアが思念伝達でぼそっと、あざといと言ったのは、聞かなかった事にした。ウルスに先を急ぐように催促する。


「案内はまだか? 我らは旅で疲れているのだが?」


《私は、何かまずいことを言ったのか?》


 そう問いかければジオール始め皆が、軽く首をひねった。

 実際、王への謁見をする為にここへ来たのだ、皇女にかまう暇などない。ましてや、興味のかけらも無いのだ! 何故、ウィリアとの時間を削ってまで皇女の相手をしなければいけないのか……?


 反応のないウルスに再度声をかけるが反応がない。仕方なく引き返そうと皆に声をかけた。


「案内する気がないのなら、宿にいくか」


「そうですね」


「そうじゃの、ここに居らねばならぬ道理はないしの」


 ベルン・ジオールの同意の声を聞き、他の皆が頷いたことで、踵を返し移動を開始していると、ハッとしたように、ウルスが「お待ち下さい」と言う。


「それでは、皇女殿下我々は、これにて失礼いたします」


 ウルスは軽く皇女に会釈をすると、私たちへ案内を再開した。そうして漸く……! 部屋へ到着する。

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