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銀色のアリス〜Ace編〜  作者: ブレイブ
第一部、序章、カルオン島にて
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プロローグ、遭難した少年

初めましてブレイブと言います。

これからよろしくお願いします。

日本


天野宮アリスそれが少女の名前、学校帰り友達と別れたアリスは銀色の毛並みをした猫が信号を渡ろうとしているのを見かけた。


「んん?、ちょっ!」


心優しいアリスは猫が飛び出したのを見て慌てて駆け出す猫にトラックが迫っていたのだ。持ち前の運動神経を活かしトラックから猫を救ったアリスはやった!と笑顔を見せる。そのすぐ後に少女はトラックの横を走っていた車に跳ねられ十六年という短い生涯を終えた。


「・・・優しい子、あなたに祝福を・・・」


一人の天使がアリスの死を嘆き祝福を与えた。祝福を与えられた少女は全ての記憶と知識を失い転生する。とある世界の一人の少女として。


カルオン島


ザザーンと打ち付ける波を眺める少女がいる。少女の名はアリス、白く透き通った肌をしており、髪の色は銀色だ、その銀色の髪の上には猫耳が生えており遠くの音を聞いている為時折ピクピクっと可愛らしく動く、そしてお尻には尻尾と言う猫の特徴を強く持った大まかな分類で言うとキャットヒューマンと言われる獣人の少女だった。


「今日も来てくれないんだね・・・」


このカリオン島にはアリス以外は誰もいない、現在十二歳のアリスは三年前の九歳であった頃目を覚ますとこの島の現在住居としている小屋の中にいた、何故この様な島の小屋の中にいるのか理解出来なかった今より幼いアリスは。涙を流しながら親と誰かいないかと人を探して島を走り回った。しかしどこを探しても人はおらず親もおらず一人で寂しいアリスは夜を通して今座っている場所と同じ砂浜で泣き続けた。


しかし朝になっても親も人も現れずお腹も空いたアリスはドレスに付いた砂を落とすと取り敢えず小屋に戻る。小屋を戻ったアリスはまず部屋を見渡し食料と剣を教わり始めた時に両親からプレゼントとして貰った愛剣と机の上に紙が置いてあった。その紙に書いてある筆跡は文字を教わった時に何度も見た母の物であった。そして机の上の紙にはこう書いてあった。


(ごめんなさい)


と。短すぎる母の別れの手紙を見て悲しくなったアリスはその場に座り込んでまた泣き、泣き疲れたアリスはお腹が空いているのも忘れて眠り始めた。


翌日大きなお腹の音に自分で自分で尻尾の毛を逆立てながら驚き目を覚ましたアリスは取り敢えずパンを食べ腹を満たした。


腹が満ちた事により落ち着いたアリスは更に部屋を見て回る。しかし部屋には母からの短い言葉が書かれた手紙と愛剣しかなかった。


『・・・このままだとご飯無くなっちゃうよね・・・』


幼いながらに賢いアリスは多いとは言えない食料をこのまま食べ続ければすぐに無くなってしまうと考える。ならば食料を自分で調達しなければならないと考え木の実や果物、果てにはキャットヒューマンとしての優れた身体能力と教わった剣術を活かして動物を仕留め、簡単な魔法は使える為火を起こして狩った動物を焼き、三年間に渡るサバイバル生活を始めたのであった。


「はぁ・・・、こんな事思い出しても仕方ないよね、んん?」


過去を思い出し終えたアリスは海から球が流れて来るのを見つけた。ユラユラと揺れながら流れて来る球を見て猫としての本能に負けたアリスはボロボロになったドレスの下から伸びる尻尾を大きく膨らませ球が浜に打ち上がった所で飛び付き遊び始めた。


「にゃっ、!?、私は一体何を・・・!?」


コロコロコロ・・・。


「にゃー!」


一瞬正気に戻ったアリスだが転がって行く球を見てまた本能に負け球に飛び付く。この後三時間ほど正気に戻るのと本能に負けるのを繰り返したアリスは球が転がる前に球を手に取ると森の中に向けて球を放り投げた。そして飛んで行く球を見て猛烈な勢いで追い掛け球が地面に着地する寸前に飛び付き自分で投げた球を自分で回収した。


「はぁぁ・・・、何してるんだろ私・・・、と言うかなんで球が流れてきたんだろ今まで一回も物が流れてきた事なんて・・・、!」


この島で暮らし始めて三年、今までこの島に漂流物などなかった事から少女は気付く。もしかして近くに船が来ているのではないか?と。そう思った少女は球を大切そうに脇に抱えながら円型の島の浜辺を海の方を眺めながら走るが船は無かった、が、船の残骸に見える木片の中に一人の少年が埋もれているのを見つけた。


「人だ!、おーい!?、大丈夫!?」


アリスは少年に駆け寄り揺する、しかし少年は目を覚まさないし体温も冷たい。このままでは少年が死ぬそう思ったアリスは少年をよいしょと背負うと棲み家の小屋に向けて走って行った。




アリスの小屋


綺麗な声でハミングする鼻歌が聞こえる。少年、ナツは目を覚ますと声の主人を探し見つけた。銀色の尻尾を楽しげに揺らしながら剣を使って料理をする一人の少女とその近くに転がる球を。


「お前誰だ?」


ナツは少女にその正体を聞く。少年の声を聞き猫耳をピクリと反応させたアリスは振り返る。


(おお・・・)


髪を揺らしながら振り返るアリスは非常に美しかった。思わず見惚れるナツ。アリスは誰だ?と聞いておきながら黙る少年に首を傾げながら近付く。


「あなたこそ誰?、私はアリス・エルフェルンだよ」


「エルフェルン・・・?、ってあの?」


「そっ、私はエルフェルン王国の第一王女なの、それなのに父様と母様にここに放置されちゃったけど・・・」


少女のアリスは一国の姫であった。エルフェルン王国と言う王国の次期国王として九歳までは城の中で暮らしていたのである。だからこそドレスを着ているし国を守る戦士となる為に剣を教えられていた。


「・・・お前が放置された理由教えてやろうか?」


「知ってるの!?、教えて!」


エルフェルンという名からアリスがこの島に放置された理由を察したナツは放置された理由を教えてやろうと言う。それを聞いたアリスは尻尾をピーン!と立てて少年の手を掴む。美少女に詰め寄られ手も掴まれたお年頃なナツは頬を染めてそっぽを向きながら理由を話す為に口を開く。


「お姫様なら知ってるだろ?、あんたの国は王国と共和国に分かれてていつ戦争が起こってもおかしくないって状況だったのを」


「うん・・・、父様はいつも共和国の人と仲直りしないといけないって言ってた、・・・もしかして?」


「あぁ共和国は龍派の奴等と手を組んでお前の国を武力で支配した」


この世界には三つの派閥がある。一つ目は天使派、天使アイラを信仰の対象とする国家群だ。アリスの国エルフェルン王国とエルフェルン共和国はこの国家群に含まれている。二つ目は魔界派、魔王ニルブスに支配された国家群でアリスの国エルフェルンでは魔の地と呼ばれている場所だ。そして三つ目が龍派、龍王ドラゴルムが支配する地で龍達を頂点に添えた国家群である。


「そ、そんな・・・、なら王様である父様と王妃である母様は・・・?」


「・・・龍派の奴等に捕まってるか、・・・言いにくい事だが言うぜ?、殺されたかだ」


「・・・行かなきゃ」


自分の国が無理矢理に支配されしかも両親は生きているかもしれないし殺されているかもしれないと言った状況だ、アリスはこの事をもっと早く知れればこの島から脱出する為に準備していたとある物をもっと早く完成させたのにと思いながら立ち上がる。


「待てよ、行ってどうすんだ?、王女様であるお前の顔なんか元は同じ国だった共和国の奴等は誰でも知ってる筈だろ?、なら行けば捕まるだけだぞ?、それによ?、お前の両親がお前をここに置いたのは龍派の奴等や共和国を隠す為の筈だ、お前の両親はお前を守る為にお前をここに置いたんだ、ここから出れば両親の想いを踏み躙る事になるぜ?」


「そんなの分かってるよ!、それでも父様と母様は私の大切な人達なの!、生きているかもしれないのなら助けに行きたいって思うのは当然でしょ!!」


「全く・・・お転婆なお姫様だぜ・・・、まっ俺もお前と同じ立場なら助けに行きたいって思った筈だから、お前の考えは間違ってる、とは言わないさ、さっき言った言葉はあくまでも警告って事を理解してくれ」


ナツは言葉を言い終わるとニッと微笑む。


「あなた良い人だね、見ず知らずの私に注意してくれるなんて、ありがとう」


アリスは少年に向けて感謝するとペコリと頭を下げ顔を上げると首を傾げて微笑む。ナツはその笑顔を見てまた頬を赤く染めた。


「そ、それで?どうやって脱出するんだよ?、この島からさ?」


「それは見てからのお楽しみ!、こっちだよ!」


アリスは一年前から作り始めた自信作を少年に見せる為部屋から出ようとする、その時だグーとお少年の腹が鳴る。アリスはその音を聞いてクスッと笑う。


「笑うなよ・・・」


「あはは、ごめんごめん、そう言えばあなた遭難したんだよね?」


「あぁ・・・、突然大きなドラゴンに俺が乗ってた船が襲われてさ、俺が乗ってた船は天使派の船だって事もあって気に入らなかったんだろうな、あのドラゴン、飛んで来たと思ったら次の瞬間にはブレスを吐いて船を吹き飛ばしちまった、俺が覚えてるのはその後海に落ちる所までさ」


「そっか・・・、大変だったんだね・・・」


「死ななかっただけ良かったと思うさ、それよりもさ、飯作ってんだろ?、食べても良いか?」


「うん!良いよ!、兎のお肉のりんごスープ漬けをご賞味あれ!」


アリスは意気揚々と剣で削って自作した木の皿に料理を注ぐと少年の前に置く。少ない材料で作られた簡素な料理だがお腹が空いているナツにはかなり美味しそうな料理に見えた。その為渡された木のフォークを手に取るとガツガツと食べ始めた。


アリスは少年の前に座ると自分も料理を食べ始め同時に久し振りに人と囲める食卓を嬉しく思うのであった。


「そう言えばあなた名前は?」


「ナツだ」


「そっ、よろしくね!、ナツ!」


「おう!、よろしくな!アリス!」



少女と少年の出会い。それは戦いの幕開け。

登場人物紹介


アリス・エルフェルン


年齢、12歳


身長、140センチ


体重、35キロ


髪色、銀


種族、キャットヒューマン


弱点、丸くて転がる物


共和国に制圧される形で滅びたエルフェルン王国の第一王女、龍派と組んだ共和国の軍勢から逃す為に無人の島に逃がされた。


特技は剣技と器用な手先を活かした物作り、小屋の中にはその手先を活かした生活に必要な自作の道具や食器などが置いてある。


そして両親が共和国から娘を隠したのは王女だからと理由だけではなく・・・?。


ナツ・サーフェル


年齢、14歳


身長、159センチ


体重、51キロ


髪色、金


種族、人間


龍派のドラゴンに乗っていた船を襲われ遭難した少年。

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