7 岩の中の人2
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チシャはあわてて、林の中に駆け戻った。
さっき見つけた、スカ瓜の茂み。
スカ瓜は、繊維が多くて食べられない瓜だけど、熟して乾いたものは、中がスカスカな空洞になる。
それを五、六個集めて水場に駆け戻り、水に入れてぎゅっと押しつぶすと。
水を吸って、ぱん、と膨らむのだ。
岩の隙間から、力なく伸ばされていた手に、それを一つのせる。
「はい、水だよ!
これ、絞って飲んで!」
・・・・・・・・・・・・
何度も、何度も。
差し出される手に水の滴る瓜を乗せ、どれくらい繰り返したか。
ふっ、と手が出てこなくなった。
「も、もういいの?
大丈夫?」
「・・・・・・・・・」
だ、大丈夫かな・・・
そういえば、すっごく喉が渇いた家畜にいきなりいっぱい水を飲ませると、死んじゃうって聞いたことがあったような・・・
や、やっぱり人を呼んで・・・
・・・
・・・もう手が出てないのに、岩の中に人がいるなんて、誰がチシャのいう事を信じてくれるだろう・・・
ちらばったスカ瓜と水の跡がなければ、チシャだって夢を見ていたんじゃないかと思う・・・
そんなことを考えて、呆然としていると。
いきなり、凄い音がして、崖の一部が崩れた。
「ひゃあーっ!!」