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半妖の戦士 第一部    作者: 葉月秋子
6/20

6 岩の中の人


 崖から清水が湧き出して、小さな水場を作っている、夏でも涼しいチシャのお気に入りの休み場所。

 いつもここで水を飲み、一休みしてから山を下りるのだ。


 その大事な水場の、すぐそばの。


 岩から、手が生えてる。



 驚いて腰を抜かしたチシャは、まじまじとそれを見てしまう。


 いや、落ち着け、落ち着け。


 生えてるんじゃない。岩の割れ目から、人の手が出ているんだ。

 だけど、この崖。

 中に隙間があるなんて、初めて知った。


 だいたい、どこから入ったんだ?




 爪が割れて、血だらけ、傷だらけの大きな手。


 あっ、動いた。


 生きてる。



 生きた人間が、岩の中に閉じ込められてて。


 いや、人間か?怪物か?


 どうしよう、人を呼んでこようか。


 でも、秘密の採取場所と気に入りの水場を、他の村人に知られてしまう。



 どど、どうしよう・・・どうしよう・・・


 見てると、また、手が動く。


 埃だらけの、傷ついた指をひきつらせ、チシャの水場の方へ。

 

 あ・・・水・・・



 チシャは思わず声をかける。



「あのっ!だれっ?人なのっ?」



 びくりと手が止まり、しばらくしてから、岩の中から呻くような声。


「・・・み・・・ず・・・」



 チシャは飛び上がった。


 人だ。水って。水・・・



 相手は岩の中だ。

 水場は眼の前なのに手をのばしても届かず。

 いったい、いつからそこにいたの?


 でも、このチシャはコップひとつ持ってないのに。


 そうだ!


「ま、待ってて!わかったから!すぐ戻るから!」


 

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