18 代役
18
「羆さんは働けないよっ!
人の言う事なんかきかないよっ!」
「じゃがお前の命令はきくじゃろ。
だからお前も一緒じゃ」
「私も?」
(かあさんは、奉公に出ろって・・・)
「ああ、あの商人がお前を雇った。
お前込みで、このうすのろを運んでくださるのだ。
支度金は既に払ってあるぞ。半分は酒でな。
もう手ぇつけてしまっているだろうが」
お前に返せるか?と言われて、チシャは怯んだ。
かあさんに酒なんか渡したらどうなるか、よくわかっててやったんだ。こいつら。
「ずるいっ!ひきょうだっ!ひきょうものっ!」
「おい、村長さんになんて口を利く!」
村長の取り巻きの一人が、チシャを突き飛ばした。
突き飛ばされた小さな身体は、後ろからぽすん、と受け止められる。
「う・・・うわっ!」
チシャの頭越しに頭二つ分も大きな男に見返されて、取り巻きは青くなった。
「ええい、村長の決定だ!
いちいち文句をつけるな!」
うるさいガキだと、村長は手を振ってチシャを追い払おうとする。
林業で成り立っているこの村の、働き手は今ぎりぎりの数だ。
ベテランの木こりたちを、賦役だと引き抜かれてはやっていけん。
この得体の知れんでかぶつと、子供一人で代わりになるなら御の字じゃ。
あの商人と役人が、何かこそこそ話しておった。
賦役人足以外に、なんか使い道があるんだろうが。
もう儂の知った事じゃないわい。
今回の賦役達成済みの札を握って、うまくやったと村長は嘯くのだった。




