表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

01.隣の席

「「あ」」


 二人同時に声を上げた。その直後、盛大に相手の顔がゆがんで、手に握られた紙切れを確認しやがった。なんつう奴。かくいうあたしもこの結果は非常に気に食わないのでやっぱり同じように確認。しかしその数字は何度見ても変らないし、黒板に書かれた座席表の数字も見間違いなどではなかった。

 結果、あたしは黒沢と隣同士の席になってしまったのだった。


「なんでアンタそれ引いたの」

「俺のセリフだそれは」


 不機嫌そうにしかめられた眉が、少し長めの前髪でちらちらと見え隠れする。

 黒沢が、わりと女の子に人気のあることは友達から聞いていた。入学してまだ二ヶ月半、確かに顔は良いと思う。


「まあ、夏休みまであと一ヶ月だしな。我慢だな我慢」


 ……顔だけは良いと思う。



 入学式の日にひどい出会いを果たした後、黒沢は係の先輩から花束をもらうという役だったらしいと聞いた。そりゃいなくなったら探すだろうなあ。ちなみにあたしは新入生代表挨拶だったので他人事じゃないのだけれど。

 というわけでみっちり説教を食らったあたしたちが向かったのは同じ教室で、入り口のドアのところで再び言い合いになった。おかげで初日にしてクラス中に名前と顔が知れ渡ったんだけれど。



「アンタ、すごい注目浴びてたよ今日」

「え、まじ?」


 ハルの予想外の言葉にあたしの箸がとまった。うん、と返事をするハルはまつげをいかに長く見せるかでマスカラと格闘中。隣に座るノリちゃんに顔を向けると、少し控えめに笑いながらやっぱりうなずいた。

 でも目立つようなことした覚えはない。2限目の時に寝ているアイツの教科書に落書きしてやったくらいだ。ちなみに未だ気づいていない。と思う。


「入学式の喧嘩コンビが隣同士になると嫌でも目立つの。わかる?」

「別に目立ちたくて目立ってるわけじゃないし」

「そりゃそーだろうけど」


 ようやく気に入ったのか、ミラーを閉じたハルちゃんは綺麗に巻いてある髪の毛を手でいじりながらニヤリと笑った。


「ま、いい見世物だからアタシは楽しいけど」

「勘弁してよ」


 くすりとノリちゃんが笑う。笑えないってば! ノリちゃんはおとなしくてあまり喋らない。スカートは膝丈だし、黒髪を二つに結ってある。かわってハルは金髪にピアスに超ミニスカート、化粧しないと部屋から出ない完璧ギャル。

 ハタ目から見たら変なグループなんだろうとは思うけれど、これでバランスは取れている。あたしたちの中では。


「ヒナちゃん、すっごい嫌そうな顔してたもんね」

「あの時の顔はひどかったよねえ。アタシ笑っちゃった」


 ほんと、勘弁して! クラスの端で固めた机の上で、あたしは頭を抱えた。

 夏休みが来るのが、いろんな意味で非常に楽しみになったのだった。





****


あまり進まない……。次は話が進むようにします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ