5話
「次はスキルと施設の増加だな」
スキルの罠解除は必須だろう。
罠の種類も罠解除のスキルで解かるらしい。
ただ、間違える可能性もあるから過信は出来ないようだ。
この罠解除のスキルを買う。
怪我をした時に服に血が付いた事を思い出す。
血は既に乾いていてバリバリになっているが、血が付着していたと思ったら気分がいい物ではない。
そうなると洗濯の為にも風呂辺りの施設が必要になるだろう。
無限箱に石鹸を見つける。
簡易風呂と石鹸の無限箱を購入する。
石鹸が毎日出ても困るが、最小で1日1個出現らしい。
食事関連は、パンが6時間で1/2斤、肉は6時間で100g発生する状態だ。
特に変更する必要はないだろう。
一応肉には牛肉と表記されているが、本当に牛なのかは解からない。
気にしてもストレスが貯まるだけだろうから信用しておく。
肉の種類には、牛、豚、鶏以外にも熊やトカゲまであって驚いた。
調理する環境も知識も無いので牛肉で十分だったが。
「後100ポイントか……」
100ポイントだと野菜か調味料のどれか1種類しか取れない。折角だから胡椒を選んだ。
肉を食べる際に塩だけだと味気ない。これで全てのポイントを使い切った。
「さて、飯でも食うか。ネクも食べるよな?」
俺が聞くとネクは頷いた。無限箱を確認するとパンは1斤、肉は200gほどある。
どうやら気が付かない間に半日過ぎていたらしい。
迷宮の内部は時計はないので、時間の経過がわかり難い。
拠点も太陽が出ていれば解かると思うが、残念ながらそんなものは見えない。
肉に塩と胡椒をかけて下味を付け窯へ放り込む。
パンを半分にしそれをネクに渡した。
スケルトンってどうやって食事をするのだろうか。
ネクはパンを千切り、どうやって食べれば良いのか悩んでいる。
スケルトンになって食事なんてした事は無いのだろう。
パンを口元へ近づけると顔にくっ付く寸前でパンが粒子となって消えた。
「え? 食べたのか?」
俺が聞くとネクが頷く。口に直接入れなくても振りをすると吸収されるらしい。
食べるというより、精気を吸収するとかそういう方向なのだろうか。
「あ、味はどうだった?」
俺は少しどもりながら聞くと、ネクは首をかしげ、悩むような仕草をした。
これが女の子なら可愛い仕草なのかも知れないが、生憎骨なので可愛気はない。
どうやらイマイチだったらしい。
そうしている間に肉が焼けた。半分食べ、半分をネクに渡す。
味はそんなに良くはない。質の悪い肉に塩と胡椒を振っただけの味付けである。
ネクは先程と同様に顔に近づけると肉が消滅する。すると納得したように頷いていた。
もしかしたら肉の方が好みなのだろうか。
スケルトンでも味の違いが解かるというのは面白い。
しかし、肉を食べる骨ってどんな光景だよ……。
食後、風呂を作った事を思い出すと風呂場へ向かってみた。
最低の風呂を設置したから砂風呂とか五右衛門風呂あたりを想像していたが、普通のユニットバスだった。
ただ、築4、50年くらい経って老化している感じだろうか。
はっきり言ってしまうと汚い。専門業者を呼んで一気に掃除しないと綺麗にはならなそうである。
俺はないよりはマシだと思い、石鹸を使ってどうにか洗うと湯船にお湯を張る。
風呂場は脱衣所まであったので、思ったより広い。
曲がりなりにも400ポイント相当の価値はあるらしい。
着ていた服をそのまま風呂場へ持って行き血と汚れを落とす。
石鹸で無理やり洗っているので服は傷むかもしれないが、汚れたまま着ているよりはマシだろう。
遠くない内に服を作れるようにしないとボロを着て探索する羽目になりそうだ。
といっても、裁縫の仕方なんて解からないので、使い魔任せになりそうではある。
一緒に体を洗い、湯船に入ると温まる。
拠点が基本的に肌寒い為、冷えた体の芯まで暖まる。
十分温まったら服を絞り脱衣所に戻る。そこで思い出した。
「あ、着る服がない……」
着の身着のままでこの部屋に閉じ込められたのだ。当然だろう。
下着すら洗ってしまった為、肌に直接皮の鎧を着込み大部屋に戻る。
ネクがこちらを訝しげな目で見てくる。
そういえば、ネクって女なんだっけか。骨だからすっかり忘れていた。
とはいえ、性的な興奮がある訳でもないので気にしても仕方ないだろう。
すると、俺と入れ替わりネクが風呂場へ向かう。
「え? ネクも風呂にはいるのか?」
俺が聞くとネクが頷く。骨が風呂に入るとか良い出汁が取れそうだ。
人骨から取った出汁を飲みたくは無いが。
「いってらっしゃい」
俺はそれを見送るとネクが満足そうに頷く。
そしてそのまま風呂場へと消えた。白い骨を更に綺麗に磨くつもりなのだろうか。
それは本人だけが知る事である。俺もさすがにスケルトンの入浴を覗きたいとは思わない。
「先に寝るか。この格好は変に露出が高いから恥ずかしいし」
俺は独り言を呟くと、服を予備の剣に掛けて伸ばして干すとベッドへ入った。
掛け布団代わりの薄い布に包まり目を閉じる。
以前より慣れたとは言え、疲れていることには変わりない。すぐに睡魔はやってきた。
「ふぁぁぁぁぁぁ」
翌日、目を覚まして欠伸をする。上半身を起こし、背伸びをして周りを見る。隣に女(骨)が寝ていた。
思わず声をあげそうになる。目が覚めたら女が隣に寝ていたというシチュエーションなら良いのだが、相手が骨とかトラウマモノである。
ホラーは嫌いでは無いが、現実では勘弁願いたい。
大声を出さなかった俺を褒めてあげたい。
俺は起こさないようにこっそりベッドから抜け出すと、この思いを誰かと共有したいと思い、掲示板を立ち上げた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
雑談スレ part 7
877 名前:名無しさん
やっぱり鎚だよな!!
878 名前:名無しさん
鎚とかマイナーすぎるだろ
弱くは無いんだろうけどさ
879 名前:名無しさん
実際使うと初心者向けでいいぞ
まぁ、ここの場合スキルがあるから他の武器でも十分いけるが
880 名前:名無しさん
なんてこったい
スキル、許すまじ・・・
881 名前:名無しさん
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『朝起きたら、隣に骨が眠っていた。』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
882 名前:名無しさん
朝チュンおめ
883 名前:名無しさん
骨に手をだすとかすげーな
884 名前:名無しさん
よし、ここに881の墓を立てよう
一緒に眠ってやれ
885 名前:名無しさん
実際、ベッドで寝ないと回復しないのだから
ベッドが1つしかなければ一緒に寝るのはどうしようもないがな
886 名前:名無しさん
そういやそうだな
でも朝起きて骨が隣に寝ているとかホラーじゃねーか
887 名前:名無しさん
夜中に目を覚まさなくて良かったな
常に部屋は明るいが
888 名前:名無しさん
881が一緒に寝るように言ったんじゃね?
勝手に使い魔がベッドに入るなんてないぞ
889 名前:名無しさん
やっぱり、881の趣味か
890 名前:名無しさん
ちょ・・・ちが・・・
891 名前:名無しさん
恥じるなよ
後ろを見てみろよ
愛すべき骨がいるだろ?
892 名前:名無しさん
その後、881を見た者はいなかった・・・
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
俺は思わず後ろを振り向いてしまう。
そこにはネクがいつもの様に直立不動で立っていた。
その表情からは何を考えているのかは解からない。
だが、今回もまたニヤリと笑った様な気がした。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
雑談 part8
114 名前:名無しさん
お前らに聞きたいんだけど
お勧めの家具とか生産スキルってある?
115 名前:名無しさん
風呂とキッチンだな
風呂は入らないと臭くなるぞ
キッチンは料理するなら必須
116 名前:名無しさん
あー風呂はないと辛いよな
裁縫と無限箱で布があれば衣類を作れるぞ
117 名前:名無しさん
やべ、俺そのままだ
これって臭っているのかな
118 名前:名無しさん
骨と犬ではそこまで気にしてこないんだよな
骨は嗅覚ないし、犬は臭いのは結構大丈夫だし
119 名前:名無しさん
妖精とかその先の使い魔を加える事を考えると必須だよな
風呂と衣類は絶対用意しないとやばい
120 名前:名無しさん
でも俺裁縫とかできないんだけど
121 名前:名無しさん
スキルを取ればある程度出来るようにはなるぞ
後はセンスだ
こればかりはスキルではどうしようもない
122 名前:名無しさん
奇抜な服を着た集団が迷宮を闊歩しているとか
ある意味面白いけど、他に誰か見ている訳でもないんだよな
123 名前:名無しさん
あースクリーンショットを撮る機能が欲しい
カメラとかないんだっけ?
124 名前:名無しさん
デジカメと印刷機はあるぞ
嗜好品扱いだから、かなり高いな
125 名前:名無しさん
デジカメを接続する所がある訳でもないし
ここに投稿は出来そうにないよな
126 名前:名無しさん
確かに
でも、記録として残すのは良いのかもしれないな
俺たちが何年この迷宮に居るのか解からないけど
いつかは良い思い出に変わるのかもしれない
127 名前:名無しさん
クリアしたらどうなるんだろうな
当分先なんだろうけどさ
128 名前:名無しさん
それは俺たちをここに連れ込んだ奴に聞いてくれ
といってもずっとアクションないよな
黙々と迷宮攻略をしろって事なんだろうか
129 名前:名無しさん
せめて何かの説明は欲しいな
前の所に居た時より充実した生活と言えばそうだけどさ
130 名前:名無しさん
どうなんだろうな
この生活が楽しいと思える様になるんだろうか
131 名前:名無しさん
女の使い魔を仲間にしたり、嗜好品を揃えればそう思えるんじゃないか?
今は辛い生活だからそう思ってしまうだけで
132 名前:名無しさん
そうだな
とりあえずは攻略か
頑張ろう