いじめやんといて 7
おかん、ただいまぁ〜!
翔子さん、戻りました。
翔太!また、おかんて!
へへぇ。
章吾くんと話し合いの結果、普段通りでいくことになりましたぁ。
はぁ?
ムリせんと、普通でええやん。
俺も、章吾くんでええでって…
あ〜あ、うちのイメージ今日1日でボロボロやん。
あれ?おかん、今日仕事?
いいや、休みやで。
なんでや?
いや、なんか化粧も服も気合い入ってるから……
なに言うてんの。
普段着やん。寝間着に毛がはえた程度やん。
ほほぉ〜!
まあ、そういう事にしとこか♪
な、章吾くん。
やっぱり、化粧したら翔子さん若うて、きれいやなぁ。
あら、素っぴんはあかんの?
いや、す、素っぴんもええけど、また一段と………
はは、ムリせんでもええよ。
ほら、おかんそれ食べたら行くで。
何処に?
約束やん。
ボクの服買うてくれるんやろ。
ああ、それ。
章吾くんも、一緒に見てくれるって♪
はあ?
そやから、おかんでは今日びの若者のファッションわからんやろ。
わかるわ!
あかん、あかん。
どうも、おかんのセンスはヤンキー路線に片寄っとる。
そら、大阪のオバチャンやもん、しゃあないわ。
はぁ〜、自分で認めよった。
な、章吾くん。ひとつ頼むわ。
ええんかなぁ。
俺もついていっても。
あっ!それはかまへんけど。
せっかくバイト休みやのに。
こんな親子に1日付き合うても、ええのん?
うん。どうせ家帰ってもすることないし。
それやったら、嬉しいけど……
ほな、決まりやな♪
ほんでな、今日の晩御飯はおかんのカレーにして欲しいねんけどなぁ。
えっ?
どっかで食べるんと違うん。
うん。
章吾くん、一人者やから家庭の味言うやつを頼むわ。
はあ?
あんたら、えらい仲良うなってんなぁ。
章吾くん、おかんのカレーだけは絶品やで!
だけって、なんやのん。
他にも、色々作れますぅ。
まあ、まあ、今日はカレーと言う事で。
カレーやったら間違いないし。
なんか、ひっかかるけど翔太がええんやったら、ええけど。
うん!ヤッタァ。
すんません。翔子さん。
章吾くんが謝らんでええやん。
ほんでも…
雪の中、お見舞いに来てくれたお礼や。
それほどの物でもないけどな♪
翔太!!
なんか、初めてやなぁ。うちと翔太ともう一人言うのん。
うちら三人、人から見たら何に見えるんやろ?
兄弟?う〜ん、それはちょっとムリあるかなぁ。
親子?微妙やなぁ…
やっぱり、章吾くんはセンスあるわぁ。
やっとこれで、今日びの若者のファッションができるわ。
すんませんなぁ、センスのうて。
お金払うたんおかんやし。大丈夫や。
そこかい!
章吾くん、ゴメンなぁ。
この親子と一緒に歩くん、恥ずかしかったやろ。
ううん。ぜんぜん!
なんや、メッチャ楽しかったわ。
俺、親おらんし。
ちっちゃい時から、身の回りにおるんは、こないだの二人だけやったし。
こないだの?
うん。明良兄ちゃんと謙一や。
三人共、施設で育ってん。
そうなんや。
そや!そやから翔太、お前はお母ちゃんがおるだけ幸せや。
うん。わかっとる。
これで、もうちょっとボクに優しかったら言うことなしやねんけどなぁ。
あら、そう!ふ〜ん‥
あっ!まずい。
あ〜あ、章吾くんが帰ったらお仕置きやぁ〜〜。
人聞き悪い事、言わんといて。
さあ、カレーできたで!
よっしゃ!!
章吾くん、食べるで。
「「いただきまぁ〜す」」