いじめやんといて 42
やっと見つけたわ。
あっ、翔子さん!
なんで?
おかしいと思ててん。
木曜にお父ちゃんとこ来たら、いっつも花が新しいなってるから。
看護婦さんに聞いても、知らん言うし。
部屋の人らも知らんて。
俺が、頼んだから……
ほんまにな!
やってくれるわ。
ゴメン……
なんで謝まんの?
謝るのは、うちのほうや。
長い事気付かんと。
いつからやのん?
ちょっと前。
ちょっと前と、ちゃうやろ。
ほら、俺の配役発表の日に市民病院に入院してるて。
あの後から。
ええ〜っ!!そんな前から。
翔子さん、声大きい。
病院やし………
なんでやのん?
なんで内緒にしてたん。
見つかったら、怒られるかな、と。
なんで、怒るのん?
いや、まあ………
俺のバイト先の二軒隣が花屋でな。
日曜に仕入れた残りを、月曜に安うでわけてくれるねん。
俺、あんまりお金ないし、高い花は買われへん。
うん。
なんか、残りもんの花やし、申し訳ないし。
ほんで、内緒でな‥
毎週かいな!?
うん。稽古場行くまえにな。
ホンマに。
ホンマに、章吾だけは…
アホ!章吾のアホ!
ええっ!翔子さん泣かんといてや。
ゴメンなさい。ホンマごめんなさい。
俺、今お金ないからこんな事くらいしか……
なんにも、してやられへん。
ごめんなさい。
翔子さん、ホンマにごめんなさい。
なに謝ってんの?
だって、翔子さん、涙…
違う!そんなん違う。
章吾の、そののんきな顔見てたら泣けてくるの。
のんきな顔て……
アハハ、ごめん。
ごめん、章吾。
翔子さん………
そんなん言うて、謝らんといて。
あかん、また涙出てきたわ。
憎まれ口もここまでや。
これからも、持ってきてええか?
当たり前やん。
ほんでも、もうすぐ舞台始まるねんやろ。
うん、そやなぁ。
ムリせんといてなぁ。
章吾がムリしても、うちはちっとも嬉しない。
章吾は、今のままでええから。
俺は、俺はもっと、な…
わかってる。
章吾の気持ちは、うちかてようわかってる。
そやから、舞台始まったら舞台の事だけ考えて。
わかった‥
章吾の夢は、もう章吾だけの夢と違うねんで。
うちも、翔太も、みんなの夢やねんから。
絶対成功させんと、承知せえへんで。
うん!ありがとう。
俺、頑張るから。
絶対、頑張って見せるからな!!




