いじめやんといて 3
あっ!!
あんた、さっきの…
え〜と、章吾くんやん。
どないしたん!?
だいじょうぶなん?
あっ‥‥ああ…
え〜〜と‥誰やったっけ。どっかで…
翔子。レイニータウンの翔子です!
ホンマに!!さっきまで一緒におったやん。
ああ、ややこし‥の。
アホ。うわっ!頭、血がでてるやん。
どないしたん。
ちょっとな。
ちょっとやないって!
頭は恐いねんで。
救急車呼んだるから、待っといて。
あかん、やめてくれ。
余計なお世話や。
家で寝たら治る。
寝たら治るわけないやん。
アホが益々アホになるわ。
なんやて!
ははっ♪
気に触ったらカンニンや。
なんで救急車あかんの?
病院も、警察も嫌いや。
ほ、保険もないし。
う〜ん、困ったなぁ。
困る事ないし。
ほっといてんか。
それでもええねんけどなぁ。
一応は、うちのお客さんやからなぁ。
おっ!翔子ちゃん、どないしたんや?
ああ、吉田のおっちゃん。
この子がなんや怪我しとってなぁ。
救急車呼ぶ言うたら、イヤや言うねん。
そしたら、うちの部屋で手当てしたるか。
消毒薬も包帯もあるで。
うちの部屋って!
ラブホの部屋かいな。
そや、翔子ちゃんやったら半額にしといたるわ。
ちょっとおっちゃん、お金取る気かいな!?
ウソやがな。
今日はヒマやから、部屋いっぱい空いてるし好きなように使い。
そやなぁ。
ほな、甘えよか。
行くで、章吾くん。
俺は子供か!
まあ、似たようなもんや。
イヤや言うてもあかんで。
怪我したお客さんほっといたら、翔子ちゃんの名がすたる言うやっちゃ。
自分で、ちゃん言うかぁ。
ごちゃごちゃ言うてんと、はよおいで!
ちょっと染みるけど、我慢しいや。
ツッ!ツウゥ!!
はい、はい。
ほら、できたで。
お姉さん、えらい手慣れてるなぁ。
ああ、うちのダンナもなぁ、やんちゃしよったからなぁ。
こんな怪我くらい朝飯前や。
なんや、ダンナおるんかい。
ああ、おったで…
やけどな。
バツイチかいな?
いいや。死んでまいよった。
あっ!
こら、ゴメン……
気にせんでもええよ。
もう10年も前の話や。
えっ!?
翔子さん、いま幾つなん?
うちは、永遠の二十歳や!
あんたこそ、いくつなん。
俺は24や。
やっぱり、五つも年下やん。
あっ!歳バレた?
若いなぁ〜!
29には見えんで。
同い年位かと思とった。
あはは♪
ムリせんでもええて。
そんなん言うても、なんも出えへんで。
ホンマやて!
はいはい、ありがとう。
章吾くん‥やったっけ、あんたしばらくここで寝かしといてもらい。
おっちゃんには、うちから頼んどくから。
分かった。そうさしてもらうわ。
なんや、まだちょっとフラフラするし。
ほんなら、うち帰るわな。
あっ、ああ……
そや!翔子さん、また店行ってもええかなぁ?
バイトの給料入ったら。
ええよ♪
でも、カウンターにしときや。
いらんお金使わんでもええからな。
分かった。
今日はありがとう。
おやすみ。
おやすみ‥‥
まあ、捨て犬にしては可愛いやん。
ちょっとヤンチャそうな目は、なんかダンナ思い出したわ♪