いじめやんといて 23
翔子さん!
すんません!!
どないしたん、いきなり……
明良さん、そんな土下座なんか‥
お願いやから手えあげて、立ち上がってよ。
あかんねん。
俺は、俺は…………
訳言うてくれんと、わからへん。
明良兄ちゃん!どないしたんや?
翔子さんのダンナさんが亡くなったん、10年前の2月10日と違いますか?
そうやけど……
やっぱり!!
すんません、翔子さんのダンナさんが亡くなったん俺のせいやねん。
なんで、なんで明良さんのせいなん?
あの頃、俺ら毎晩六甲山にバイクで走りにいっとったんです。
ほんで、パールホワイトのゼファーに乗ったダンナさんと知り合うて。
それがなんで、翔平が死んだ事と関わりが?
あの夜も、俺ら走りに行っとって。
こんな月夜の綺麗な夜は、突然道が凍結するから気いつけや、て。
ダンナさんに言われとったのに……
帰らんと、いつものスピードで裏六甲走っとってん。
明良兄ちゃんがイケイケの頃やもんなぁ。
そうや、命知らずと命懸けは違うて教えてくれたんも、あの人やった。
命が惜しいと思たら、こんな峠でこんなスピードで走られへん。
そやけど、命かけて走ったらあかん。
それを決めるんは自分や。
ホンマに命が危ない時は、格好気にせんと逃げ出せて。
なんか、翔平が言いそうな事やわ。
ほんで………
下りのカーブ曲がったら道が凍結しとって。
こけた俺めがけて、暴走族の車がスリップしてきて……
もうあかん!と思た時、目の前をパールホワイトのゼファーが走り抜けて
族の車の方向変えるようにぶつかって……………
そのまま、谷底へ………
俺、そのまま気い失うて。
気がついたら、病院のベッドの上やった。
そうやったん。
大変やったねぇ。
えっ!!
翔子さん、怒らへんのですか。
俺が、ダンナさん殺したも同然やのに。
なんで、うちが明良さんに怒らなあかんの?
ほんでも……
うちが怒って翔平が生き返るんやったら、なんぼでも怒るけど。
翔平は、明良さんを助けたかったんやろ。
ほんで、明良さんは助かった。
翔平は、たまたま運が悪うて谷底に落ちた。
いや!それは……
良かったぁ!
事故が翔平のせいやなくて。
まあ、やり方はちょっとアホやけどな。
うっ……くっ‥‥‥
し、しょう‥‥こ ‥‥さん………
泣いたらあかんやん。
笑ろとかな。章吾も謙一くんも心配するやろ。
ほな、これだけでも受け取って下さい。
なんなん、これ?
権利書です。店の。
もう、譲渡手続きは途中まで終わってます。
明良兄ちゃん!!
銀行融資のためやって…
ああ、あれはウソや。
なんで!?
お前らが、いらん気いまわさんようにな。
そんなん、いりません!
それでは、俺の気持ちが……
うちの気持ちも考えてえなぁ。
そんなんもろたら、それこそ翔平に怒られるわ。
俺の命、金に換えたんかてな。
そやし、うちが死んでから翔平に文句言えんようになるやん。
翔子さん、受け取ったってもらえませんか?
明良は、今日あんたにこれを渡すために今まで頑張ったんですわ。
そろそろ、こいつの肩の荷物下ろさせたって下さいな。
園長さん……
ほな、こうしましょ。
その権利書のお店繁盛させて、もうかったお金の一部を施設に。
明良さん、約束。
そうして下さい。
わかりました。
こんなええ人ばっかり育てるとこやもん、絶対お願いしますね。
さあ、もうこの話しはおしまい。
うち、なんや眠たなってきたわ。
翔太も待ってるやろし、今日は帰りましょ。
そやな、明菜ちゃんタクシー三台呼んでちょうだい。
はぁ〜〜い、ママ。




