押していないボタン
結構古い団地に住んでいる、15階に住んでいるのだが、エレベーターに当然乗る。
誰も乗っていないのに必ず八階のボタンが光っている、一階から乗る時も、かごは動いていないのに、八階が光っている。
ある日の夜中、突然甘いものが食べたくなって、コンビニに行くことにした。
エレベーターはまた八階が光っている。
八階に何かあるのかと、好奇心で八階まで覗いてみた。
十五階、十四階と数えていると、八階に差し掛かる頃、血にまみれた足と濡れたコンクリートが見えた。
一瞬のことで驚いてしまったが、何かを見たいと期待しすぎたせいだろうと、そのままコンビニに向かった。
道路を歩いていると、そう遠くない距離から、ぺたぺた、ぺたぺた。
と足音がついてくる、なにかに濡れた足の音。
コンビニまでずっとついてきたが、絶対に振り返ってはいけないと、本能が叫んでいた。
我慢しながら買い物をする、店内でもぺたぺた、ぺたぺた。
とずっと後をついてくる、振り返りたい気持ちと戦いながら、もうどうでも良くなったスイーツをかごに入れ、セルフレジに向かう。
店内には誰もいない、足音も止まっている。
会計を済ませて後ろを振り返らないように、棚を迂回して店を出る。
ぺたぺた、ぺたぺた。
そのまま団地に着いた、エレベーターは八階が光っていない。
ぞっとして振り返りそうになったが、ぐっと我慢をして八階と、十五階を押した。
真後ろに生臭い呼気が聴こえる。
はあーっ、はあーっ。
左の隅に体を移動させる、エレベーターが八階で止まった。
足音が遠ざかる。
ぺたぺた、ぺたぺた。
無事に十五階に着いた。
家に入ると起きていた母親に、
「この団地誰かが八階で死んだとか、飛び降りたとかそういうのないの?」
と聞くと「ここに住んで大分経つけど、そんな話聞いたことないよ」
と言われた。
さっき起こった話をすると、案の定
「気のせいじゃないの?」
と言われただけだった。
次の日八階で降りてみた。
通路を進んでいき左側の真ん中まで進んだ時、突然外を見たくなった。
胸より高い位置にある柵から身を乗り出して下を見る。
しばらくすると、どごおおおおおん!!!
という音と共に意識が消えた。
最後に耳元で「ふたああり」
ふふふふふふふ。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
よろしければ♡やコメントで応援していただけると励みになります。
良かったら他の作品もお読みください。




