3話 風の王、戦場に舞う
私、ピノはヒメジマの様子を精神世界から
眺めていた。
私の仕事は輝きを持つ戦士の魂を
集める事。
かつてはカエサル
ハンニバル・バルカ
ナポレオン・ボナパルト
エルヴィン・ロンメル
山本五十六など
多くの英雄の魂を導いてきた。
私は苦悩して、苦悩して
もがいてもがいて
苦しんで苦しんで
光輝いている魂が好きだ。
ヒメジマは
戦場でとてもいい魂の輝き方を
していた。
そういう男は、任務とはまた別に
飼いたくなる。
そう!私は彼を愛でているのだ!
だって他にあげるのは
勿体ないじゃない。
私だけが知っていて
私だけのものにしておきたいの
特に彼の魂には還るところがない
だって、国民の為に戦ったのに
国民自体がその存在を否定しちゃったん
だから
せめて私くらい救ってあげても
いいでしょ?
ふふっ
ふふふふふふふふふ
もっともっと苦しませて
死んだとき以上の輝きを
見せて貰わないと。
死は誉れなんだから
私は視点を変える。
マンネルヘイムの5重の城壁の近くに
魔王軍の軍団が集結している。
オークやゴブリンが大半とはいえ
今の疲弊した人類側の軍隊では
守り切れないだろう。
こちらの10倍はいるのだから。
あああぁあぁあぁぁぁああああああぁあ♡
想像するだけで素晴らしい。
多くの死が生まれるだろう。
魔王側の破壊が勝つのか
それともヒメジマの
意思が勝つのか。
▼
数日が立ちオレは
王国の情報を集めていた。
特に気になったのは前線の状況だ。
部下からの報告だけでは歪曲して伝えられる
可能性がある。
本当はどのような戦況なのか
それを直接自分の目で判断する必要性を
感じていた。
事前に行くと伝えると
何か不都合なものが隠される可能性もある。
オレが自衛隊だった時は上官が視察に来るさいに
慌ただしく準備するのは日常茶飯事だった。
現場の兵士できれば負担かけたくない
出来ればお忍びで行きたいところだな。
オレはピノに前線までどのくらいで
いけるかを聞いた。
『魔王軍との最前線までは遠いよ。
馬で10日かかる。』
試しに魔法を使ってみれば?』
「魔法?」
『まあ~君は剣とか使ってるみたいなんだけど、
本当は君の身体って魔法向きなんだよね。』
ほう、そうか。
魔法か。メッチャ肉体派だったから
考えていなかった。
ファンタジーの醍醐味ではないか。
まあ、リアルに言うと、
小銃や手榴弾のような
武器が欲しい。
慣れているしな。
遠、中、近の攻撃手段が
整えば戦闘の幅がかなり
広がる。
『うん、君の身体が一番
得意としてるのが風の魔法。
空を飛んでいけば1時間くらいでつくよ。』
『んじゃあ、集中してみて。
体の周辺に力があるような
感覚でそれを風に変換してみて。』
……何を訳の分からない事をと
思っていたが
やってみると意外なくらい簡単に
出来た。
自分の身体に風が集まって集まって
くるのを感じる。
次の瞬間、オレは空へと
飛び立っていた。
まあ勢いあまって城の天井は壊して
しまったが多めに見てほしい。
悲鳴が聞こえる。
悪い事したなぁ。
風の魔法を使い、
空中に舞い上がる。
▼
前線まで200~300キロ。
オレはいろいろと魔法を試しながら
数時間の空の旅を楽しみ
前線に到着した。
ひどい状況だった。
どうやら物資が届いていないようだ。
武器は欠けは鎧は傷だらけ。
食糧もあまり届いていないようだった。
これで命を懸けろというのだから
たまったものではない
「陛下!?」
突然、後ろから声をかけられる。
そこにいたのはアンナ元帥だった。
周りからも動揺が走っている
様だった。
アンナ元帥は物凄い形相で
オレに詰め寄った。
「陛下!!
来られるなら事前に
言って下さい!
兵達が動揺します!」
ああ、怒られてしまった。
まあ、そうだよね。
「すまない、
前線のありのままを見たいと
思ったんだが、早計だった。」
「お気持ちは、わかりますが
準備というものがありますから」
「最近、陛下は無茶ばかりされるように
なりました、まあ我々にとっては好ましくは
あるのですが…」
「それより、物資は足りているか?」
「10日前にヒレツ家から押収した金で
武器や食料を前線に届けるように
手配したはずだが……」
アンナは疲れ様に首を横に振る。
「着いていないのか?」
「遅れているだけかもしれませんが
恐らくは…」
「横流しか?」
こくりとアンナは首を縦に振る。
どうやらこの国の腐敗は
本当に深刻の様だ。
その時だった。
突然、オレ達の元に大急ぎの伝令兵が
現れた。
「報告------!!!!!!!」
「敵、魔王軍大規模侵攻を確認!!!」
「偵察に出ていた部隊は壊滅!!!!
兵数は我々のおよそ10倍!!!!」
「急ぎ、防御戦闘の準備を!!!!」
「なっ……」
アンナは驚愕に目を見開く。
オレは風の魔法を使い
上空へと飛ぶ。
城壁の向こう側には
魔物、魔物、魔物
大地を埋め尽くさんばかりの
大軍が迫っていた。
『ふふふふふふふ♡
始まったね』
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