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36話 誰も信じてくれなかった世界で

夜、トガリは

森を走っていた。


目の前の視界はぐらついており

その荒い息は深い疲労が宿っていた。


ザムザとの追いかけっこは

もう二日も続いていた。


最初の一日目でトガリは

ザムザを追いかけるのは

諦めた。


いくらこちらが

有効射程に捕らえようとしても

その前に逃げてしまう。


トガリは自分の

得意な土俵で戦わせて

貰えなかった。


しかし、定期的に

挑発するように風の矢が

自分に向けって放たれる。


「クソ……クソッ」


目を凝らしても

ザムザの姿は見えず。


概念武装を使わないと

攻撃を防御できない為

睡眠をとる訳にも行かなかった。


トガリが食事や睡眠を取ろうとすると

嫌がらせの様に風の矢がとんでくる。


それらの攻撃が少しづつ

トガリの心を蝕んでいく。



「なんなんだよ!!!!

最強の能力を与えてくれるんじゃ

なかったのかよ!!!!」


絶対の自信を持っていた能力が

全く通用しない。


対応しようにもどうしていいのかわからない。


わからない。


わからない。


わからない。


何に対しても対応してくる相手に

勝手に最悪を想像して

勝てるイメージが湧かないのだ。


トガリは自我が崩壊していくのを

感じていた。


「反則じゃないか!!!

こんなの!!!」


トガリは半べそになりながら

過去を思い出していた。


トガリは転生者だった。


生前の自分はどうしようもない

引きこもりだった。


高校の頃にイジメが原因で

引きこもった。


運動も出来ず、頭も良くない

顔も良くない

ヒエラルキーの最低辺。


趣味は小説を書く事で

初めて書いたネットの小説が

賞を取った。


嬉しくて周りに報告した。


しかし、いくら証拠を見せても

嘘つき呼ばわりをされて

信じてくれる人はいなかった。


お前なんかが……


その言葉が胸に突き刺さった。


例え、自分がこの先どんなに

努力しても成功しても

誰も認めてくれないのでは

ないか……


目に見えないカーストがこの世の中にはあり

それに抗おうとする人間は認められない

そんな気がした。


自分の人生そのものを覆うかのような

絶望だった。


その事が遠因となり

自殺した。



能力がないなら

優れていないなら。


生きていても仕方がないのだから。



死後のトガリは

白い世界に誘われた。


そこには


陽光のように輝く美しい金髪

そして見る者全てを魅了するような

輝きを纏った女神がいた。


「ああ、来たわね

命を無駄にした愚か者が」



女神は美しいが意地の悪さを

含んだ声音でつぶやいた。


女神は自らをフレイヤだと

名乗った。


「フレイヤ………

北欧神話の豊穣の女神……」


「あら、よく知ってるのねぇ」


女神はフィっと指を上にあげると

画面が表示された。


そこに映し出されたのは生前に

作り上げた小説の世界だった。


「……これは?」


「あなたが作り上げた世界よ。

ワタクシは今、様々な世界を創造しているの。

けど、一から全部作るのは面倒だから

アナタの小説をお借りしたってわけ」


「何の為に?」


「ヴァルハラはご存知かしら?」


ヴァルハラ…確か北欧神話の戦士の館だ。


ヴァルキリ―達が選んだ戦士の魂を常に争い合わせ

来るべきラグナロクに向けて

訓練させるという。


「従来のやり方では戦士は育つけど

指揮者は育たない。

戦略や戦術もね」



「だから、ワタクシ達は複数の世界を創造し

指揮官候補を争わせ最高のドクトリンを

作る事にしたの」



「失礼、アナタには関係のない話ね」


フレイヤはニコリと笑った。


「自覚はないでしょうけど

世界の創造を手伝ってくれた訳だから

アナタに褒美を与えましょう

何がいい?」


「その世界、ボクも行けるのか?」


「そうねぇ、その世界の住人になり替わる形で

あればいけるわねぇ」



「それなら、勇者がいい」



勇者トガリ、この小説の主人公。


元々は現実逃避の為に作った小説。

彼の様に何も気にせず暴れてみたかった。


自分の思う通りに。

誰にも気にする事なく。



「けど、勇者は最初弱い。

だから、最強の能力をつけてくれ!!」



「分かったわ、最強の能力を与えてあげる」


「けど、気をつけてね」


「最強を望む者ほど、最も脆いのよ。

覚えておきなさい――あなたの“創った世界”でね」



今度こそ最高の人生を

送るんだ。



もうボクを誰にもバカにできない。

最強の能力があるんだから!!!




最強の能力が…

そのはずだったんだ…





トガリの意識が

走馬灯の様にが混濁する。



どうやら歩きながら

夢を見ていたらしい。



トガリは限界を向かえていた。



常に概念武装を纏う事が

出来なくなり

攻撃されたときのみ

発動するようにする。



追い立てられるようにして

どこにいけばいいのかも

わからず夜の森を彷徨い



そして向かうその先には

反魔法陣がひかれていた。


読んでいただいてありがとうございます!

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