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34話 敵にして友、友にして敵

ヒットアンドアウェイ。


一撃離脱戦法の事だ。


戦闘機などでも使われる戦術だが

ベトナムなどのゲリラ戦術でも使われた。



「それでは逆に敵が使ってくるであろう

戦術は?」


魔王の問いかけにオレが答える。


「サーチ アンド デストロイだ」


「とれる対策がそれしかないからな。

そして、その対応策をした場合は

罠にかかる可能性が高くなる。」


魔王が答える。


「私が罠を張り

お前が遠距離から

定期的に狙撃を続け

罠に追い込む」


オレが答える。


「どれだけ強力な能力を持っていようが

昼夜問わずに攻撃を続けられれば

睡眠や食事もまともに取れなくなり

ストレスを与え続ける事が出来る」


かつての自衛官時代自分達が経験した事だ。

とてつもなくキツイ為、恐らく奴は

耐えきれないだろう。


ましてや、奴は自分の性格上、孤立して

仲間すらいないのだ。


そうなれば疲弊させるだけなら

簡単である。


「判断能力がなくなったところで

反魔法陣に追い込めれば我々の勝ちだ」



なるほど、これなら勝算がありそうだった。

イレギュラーが起きなければ

確保はそう難しくはなさそうだ。


魔王が味方の時は

こんなにも頼もしいとは思わなかった。


「なあ、一つ聞きたいんだが……」


「なんだ…?」


「なんでオレと組もうと思ったんだ?

この作戦なら別にオレと組まなくても

アンタの子飼いでできただろう?」


そうだ、もう作戦はできているんだ。


いかに勇者が強力でも戦術は未熟なんだ。


先輩はめちゃくちゃ周到に

戦略を組む事が出来るのだから

恐らく魔王軍で対処可能なはずだ…


だとしたら本来であれば実行役は

オレでなくても良かったのに…


なんで…


先輩はオレの問いに少し困った

ような顔するとこう答えた。



「さあな……また一緒にお前と

戦ってみたかったから…が

きっと一番大きな理由かもな」


その答えを聞いて

言葉が出なかった。



嬉しいような、悲しいような

何とも言えない感情だ。



お互い立場が変わってしまったのだから。



「それにな」


「魔王と国王が手を取り合い

共通の敵と戦った事があるという既成事実は

作っておいて損はないなと思ったんだ」


「一年後の戦い、どちらが

勝ったとしても……だ」



そんな……


そんな悲しい事を言うなよ・・・

先輩……



突然、夜空を裂くような音が走った。

村外れの納屋が、音もなく一角だけ“消えて”いた。欠落。

まるで存在そのものが切り取られたかのように。


「やっと見つけたぞ……!」

黒い影――トガリが立っていた。

剣は血ではなく虚無を纏い、周囲の空気すら軋ませている。


ーーーチッ

オレは舌打ちをした。


空を飛んできた為

トガリがオレ達に

もう少し時間がかかると想定していたが

どうやら見込みが甘かったらしい。


この村を巻き込むのは避けたかった。


オレは目線を村人に向けてから

魔王に目線を向ける。


魔王はコクリと頷くと

村人の避難誘導を始めた。


このままでは村人が

犠牲になるが、魔族の避難誘導で

あれば魔王の方が早いだろう。


「おいおいおい、

無視すんなよぉ

悲しいじゃねぇか」


トガリが魔王に向かおうとしている。


このままいけば

また、犠牲が出るだろう。



ーーー悲劇にゃもう飽きたぜ。


だったらオレの出来る事は一つ。


「おい、木偶の坊!」


トガリとオレの視線が交わる。


トガリは自分の事を言われた事に

気が付き怒りを露わにする。


「お前さ……本当に勇者か? さっきの剣筋、

ただ振り回してるだけだったぞ」


トガリ、コイツは

傲慢さと尊大さが同居しているがそれは

周りに自分の強さを見せつける事に

依存している。



「オレ様のやり方に

ケチをつけるんじゃねぇよ!!!」


トガリが激昂して怒鳴りつける。



それ以外自信がないから

周りを威圧する事で自分を保っているのだ。


攻撃的な言動がまさにそれ。


自分の戦闘能力に対しての承認欲求が強い。


そこをこちらが認めなければ

トガリの攻撃対象はこちらに

変わるはずだ。


「あ~はいはい、わかったわかった

それなら、無抵抗の魔族を殺せば

それでお前の承認欲求が満たされるんだろうなぁ」


「面倒臭そうな奴は相手にせずに

せいぜいお山の大将を

気取っていればいい」


「陰では言われるんだろうなぁ

力は持っているのに弱い者しか狙わない

弱い者イジメの勇者だって」



「誰が認めてくれるんだ?

そんな奴?」


周りに誰もいない孤独が

何よりもトガリの本質を突いていた。


「てめっぇええええええ!!!!

ぶっ殺すぞ」


「やってみろやぁあああ!!!!!」


トガリは顔を真っ赤にして怒っている。

元々情緒が不安定なのだ

こうも簡単に挑発に乗るとは。


オレは内心でほくそ笑んだ。

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