表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

2話 弟を救えなかったオレが、今度こそ誰かを救う話

ワルイ宰相の斬首から1週間がたった。

オレの評価は国内でもうなぎ登りだ。


オレは自室でくつろいでいた。


まあ、主に軍事関係者ではあるのだが。


内政官達のオレへの心象は最悪らしい。


ガン無視を決め込まれ

あまり協力的ではない。


なーーんでこう、

人間って危機に対して一丸となれないん

だろうか?



『まあ、仮にも大公を斬首しちゃった

わけだからね』



大公……?大公……って何?



『爵位は男爵、子爵、伯爵、侯爵、公爵ってあるけど

大公はその上、ワルイ・ヒレツは大貴族で

独立君主に近い人物だったんだよ』



あら、そんな奴を勢いで殺してたのか


まあいいや、どうせ生かしておいても

ロクな事にならないだろ。



それよりと



「ピノ、ザムザと話せないか?」


『ザムザは君でしょ?』



「違う、この体の持ち主に対してだ。

お前の力ならできるんじゃないか?」


『できるけど、どうにもならないと

思うよ?ほっときなよ

どうするつもり?』



「この体を返す」



『だから、意味ないって

本人が拒絶してるんだから』


「お前の口から聞いただけだ。

本人の口から聞いていない」


「オレは何の罪もない

人間の未来を自分の都合で

奪う様な真似はしたくないし

させたくない」



「その為に戦ってきたんだ!」



『~~~んんんん?

なんでそんなにこだわるの?

う~ん、まあいいか』



『そんじゃ、会わせてあげる。

目をつぶって』



オレはピノに言われた通り

目をつぶる。


次の瞬間


フワっとした浮遊感の後

オレはどこかに着地する。



見ればオレは元の身体に戻っている。

自衛官時代のものだ。



「ここは?」


『ザムザ君の精神世界。

とても傷ついているようだね

とても小さな意思と対比するように

巨大で強固な茨の檻に囲われている』



見れば薄汚れた紫色の巨大な茨のツタが

そこら中に張り巡らされている。



そこに小さな男の子がいる。


鏡で見たザムザの姿と

そっくりだが遥かに幼い

少年だった。



オレは茨を気にせずに

横に座る。


トゲが足に刺さる。


痛みはあるが

気にしない。


それより相手の目線で

話す方が重要だと

思うからだ。



「君がザムザか」



オレはこの体の持ち主

ザムザ・マンネルハイムに

語りかけた。



ザムザは体育座りをして、

うつむき、オレと顔をあわせようとしない。


まあいいさ。

オレは優しく語りかける


「こんにちは、オレはヒメジマ コウヘイ、

日本ってところにいたんだが死んじまってな、

いまは君の身体を借りている。」



「…………」



「今日は話があってきたんだ、

聞いてくれるかな?」



「…………」


「君にこの体を返したいと思っている」



「あの世界に帰るなんて

ぜっっったいに嫌だ!!!!!!」



初めてザムザが意思を示す。

だがそれはとても強固な拒絶だ。



「あ~~~宰相のワルイって奴は、

君を苦しめていたと思うんだけど、

安心しろ、そいつはオレがぶっ殺した」



ザムザの目が驚愕で開かれる。

初めて目が合った。


しかし、すぐにどんよりとしてしまう。


「ダメだよ、それだけじゃ

何も変わらない……」


「どうして?」


「あんたにはわからないよ

自分ではどうしようもない」


「父様は死んで、勝手に国王に

祀り上げられて民衆は勝手に偶像を作って

貴族達は僕を好き勝手に利用して」


「僕の大切な人も僕の名前を使って

殺されていく。

もう嫌なんだよ!!!!!!!!」


ザムザは泣き始めてしまう。


参った、その辛さは正直全く分からん。


「……………」


「なあ、確かにその悲しみはオレには

完全に理解は難しい。

だが、寄り添ってやることは出来る」



「オレは思うんだが…

本人が辛い事は大小じゃない。

辛く感じてるんだったら

やっぱり辛いんだよ」


「世の中には君より辛い思いをしている

なんて説教は

オレからしたら間違ってるんだよなぁ」



「ただ、なあ、世の中の全員が

自分の都合と利益だけで動いていると

思うなよ?」



「少なくともオレは違う」


「世の中の人間全てがそうなら

絶望してしまう。」


「そんなの悲しいじゃねぇか」


まあ、オレの言葉は届かなくてもいい。

無理にとは言わない。

時間がいる事なんだろう。


人は変えられないしなあ。



「ねえ、なんでここまでするのさ

ほとんど関わりがないのに」



「……多分、君と自分の弟を

重ねているんだろう」



「オレの弟は14歳で自殺した。

いじめが原因だった。」


「オレを慕ってくれてカワイイ奴だった。

優しくもあった。

家族に迷惑をかけまいとずっと

隠して黙っていた。」


「辛かっただろう、苦しかっただろう…」


「バカ野郎が……」


ツツツとオレの頬に涙が伝う。


教師はしらばくれ結局何も解決していない。

ただ大事な弟を失ったという事実だけ

オレの胸の中にあった。



「オレは…後悔している」



「なんでもっと話を聞いてやらなかったんだ!!!!

なんでもっと見てやらなかった!!!!!

強引にでも話を聞いておけばよかった!!!!!!」


唇は震え涙が止まらない。


「……ヒメジマさん」


オレの魂の吐露は

少なくともザムザの心を

少しは打った様だった。



「お前の不安は全部ぶっ飛ばしてやる。

魔王も腐敗政治家も

嫌なもの全部だ!」


オレはニコッとザムザに向けて笑う。


「それじゃあ、アナタはまるで

勇者じゃないか」


「そうだな、オレは君にとっての

勇者になろう」



ザムザはクスリと笑った。


「だから約束して欲しい。

今じゃなくてもいい。

もしオレが嫌なもの全部ぶっ飛ばしたら

君の身体を受け取って欲しい」



「君がそう思えるくらい

いい国にして見せる」


オレは親指を立てる。


「ヒメジマさん、

バカでしょ?

全然アナタに得がないじゃん」


「オウ、死んでも直らなかった

大馬鹿野郎だ。」


「だが、たまにはこういう奴がいても

いいだろ?」


「わかった、約束するよ」



「じゃあ、また来るよ」


ピノ、戻してくれ。


『わかった。

目を閉じてね』


オレは元の世界に戻ってきた。



「っっしゃああああああああああ!!!」


とりあえず、気合いを入れ直す。


どんな障害が来ようが関係ない!


全部ぶっ飛ばしてやる!!!



読んでいただいてありがとうございます!

リアクション、レビュー、感想、5☆評価、ブックマークよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んでいただいてありがとうございます! 良ければリアクション、ブックマーク、星5評価、レビューをお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ