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13話 拳で閉じた反乱、口づけで開いた未来

オレとユリシアは王宮にたどり着いた。

この教会で愛を誓えばすべてが終わる――はずだった。


しかし、祭壇の前には一人の男が立っていた。

その顔を見た瞬間、ユリシアに渡された名簿が脳裏をよぎる。


「ディヴィス枢機卿……」


「とうとう、貴様が直接出てくるとは」

ユリシアの声は冷たい。


「貴族ども、よほど追い詰められているようだな」


枢機卿は眉を釣り上げ、怒気をあらわにする。

「ユリシア様、正気ですか。まさか、我らの情報を国王に渡すとは――!」


「自分が散々やってきたことを、ワタシがやると悪いのか?」


ユリシアの一言に、男は一瞬言葉を失う。


分かりやすい首謀者だ。ホント。


「国王ザムザ!」


枢機卿はオレを睨みつけた。


「貴様は暴虐の王だ。何の罪もないワルイ・ヒレツを惨殺し、

 その令嬢を手篭めにした!」


――できるわけねえだろ。

こんな気の強い女を。


「さらに極悪非道の犯罪者たちを、独断で野に放った!

 これは許されざる暴挙だ! 証拠はここにある! 正義は我らに――」


目の前に書類を突きつけてきたその瞬間、


オレは風の魔法をひと振り。

紙片は灰となって空中に舞った。


「……証拠は、いま塵になったみたいだな」


「なっ、この暴挙こそ不正を――」


「うるせぇ!」


我慢の限界だった。

オレは一歩踏み込み、枢機卿の顎に拳を叩き込む。


「ぐっ!」


鈍い音とともに、男は床へ崩れ落ちた。

どうせロクなことは言わない。


後でゆっくり締め上げればいい。


ユリシアが小さく笑う。

「神父を殴り倒すとは。誰に誓うつもりなのだ?」


「仕方ねぇだろ。

 せっかく首謀者を捕まえたんだ。民衆の前に引きずり出して

 反乱が終わったことを知らせるさ」


「そしてそのまま愛を誓う、と? 面白い趣向だ」

「いいだろう」


オレは反乱の首謀者を拘束したと民衆に告げ、

そのまま宣誓の言葉を口にする。

――儀礼なんて知るか。自分の言葉でいい。


「オレ、ザムザ・マンネルハイムは、

 ユリシア・ヒレツを永遠に愛することを誓う!」」


ユリシアもまっすぐにオレを見て言った。

「ワタシ、ユリシア・ヒレツは、ザムザ・マンネルハイムを

 永遠に愛することを誓う」


二人の唇が重なった瞬間、

王宮の大地が震えるほどの歓声がわき起こる。



『こんな儀式で“愛”が証明されるのかしら。

  誰も真実の愛なんてわからないくせにね……』


耳の奥で、ピノの声が冷ややかに笑った。




民衆の歓声が

王都の外までも響き渡った。


大気を震わせ、地面をも揺らすほどの熱。


王都から少し離れた丘の上――

アンナ元帥率いる部隊が静かに待機していた。


「……無用な策だったようだな、ユリシアよ」


万一、敵が王都を制圧しようとすれば、

この部隊が即座に反乱軍へ奇襲をかける手はずだった。


どう転んでも反乱は失敗する――

ユリシアが仕組んだ布陣である。


「アンナ元帥! 首謀者、拘束完了との報!」


報告に続き、王都からは大量の武器が押収されたとの知らせ。

一万に迫る不穏分子――


その数に、さすがの兵も息を呑む。


「……分かった。これで反乱は終わりだ。

 もう心配はいらない」


副官が怪訝な顔で問いかける。


「おや、珍しいですね。元帥、お酒など?」


「ん? 今日くらいはいいだろう」

アンナは盃を傾け、遠く王都を見つめた。


「民衆の声を聞いたはずだ。

 国王ザムザは、民に受け入れられた。

 これで国は一つとなり、魔王軍に立ち向かえる」


彼女は声を張り上げる。


「喜べ、兵たちよ!

 今ここに、民衆の心を掴み、我ら兵士の心も掴んだ

 “真の王”が誕生した!」


「我らが愛すべき国王ザムザに――乾杯!!!」


兵士たちは一斉に杯を掲げ、歓声を轟かせた。


長き戦いと苦難の果てにようやく見えた、一筋の希望。


その希望が今、目に見える形となり光を放っている。


それは国王であると同時に、

この国そのものの未来であった。


神々しく輝くその姿――

人々を魅了し、離さない。


(最高の気分だ……コンラッド)


(お前が守った男は今、国の光となった)


(その男を命懸けで守ったお前を――

 私は誇らしく思う)


アンナは亡き夫を思い、

ゆっくりと天を仰いだ。


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