プロローグ 神々のドクトリン
天上の神々の中に、一際美しい女神がいる。
名を――フレイヤ。
北欧神話における、愛と美と戦争を司る女神。
彼女は黄金の台座に立ち、神々へ向けて声を放った
「ユミルの首は告げた。
神々すら避けられぬ――ラグナロクを」
「小人の作った最強の武具を持ってしても、
予言は揺るがない」
「ならば、《《最高の戦略と戦術》》を手に入れれば
……どうなると思う?」
神々のざわめきが止む。
フレイヤはその唇をわずかに吊り上げた。
「死者の戦士たちを指揮官候補として選び、
様々な世界で競わせ、争わせる」
「そして――作るのだ。
神々のドクトリンを!」
「ラグナロクの予言など、我らは受け入れない!」
神殿を包む拍手喝采。
その熱狂に、人間の都合など一片もない。
▼
銃撃が聞こえる。
上に飛び交うのはドローンであり
主戦場である大阪市街を飛び回っていた。
政治的な間隙を突かれて
大阪はC国からの奇襲上陸を受けていた。
奪還任務が出るまでに10日かかり
その間に敵は防衛隊体制を
固めてしまった。
「中谷3曹!!!!!おい!中谷……!!クソ!」
隣では同じ部隊の
自衛官がくたばっている。
何年も一緒に暮らした先輩が
ただそこにいただけの話で死んでしまう。
実力とかは関係ない。
こんなのは運だ。
空気の振動を感じる。
また爆撃らしい。
度重なる銃撃と敵からの爆撃で
耳はとっくの昔にバカになっている。
ーーーーちくしょう、ちくしょう
もっとまともに戦わせてくれれば
こんな事には!!
思っても仕方がない事だが
その思いがオレの胸に反芻する。
世論に振りまされて
有効な作戦が取れず
無茶な作戦が繰り返され
その度にオレの仲間が死んでいく。
上官も死にすぎて
次々と変わり、誰が直属の
上司なのかもオレには
よく分からなかった。
オレが悪かったのか?
いいや、違うね。
国が悪い。
もっと言うと、その政治家を
選んだ国民が悪い。憎い。
こんな国、滅んじまえという気持ちと
大事な人間を守りたい気持ちとが半々だ。
ーーーーバン
オレの胸に何かが当たった
熱いとも何ともいい難い
感覚が胸に広がる。
みれば血が噴き出ている。
ーーーーはッ
不思議と笑みが零れた。
悲しさとやっと自分の苦しい戦場が終わる
安堵とが入り混じっていた。
「やってやるよ!」
最後の力を振り絞り
今まで隠れていた壁から飛び出し
敵にありったけの銃弾をくれてやる。
「ウォォオオオオオオ!!!!!!」
ついでに敵の潜伏していそうな
場所に手榴弾をぶん投げてやる。
何人かの敵兵は殺す事が出来たようだ。
「ザマァ見やがれ。」
敵に向けて中指を立てる。
やられた味方を見る。
これで彼女の魂は救われただろうか?
気が抜けたからか膝がガクリと
倒れ込む。
まだ、戦闘は続いてるみたいだが
勘弁しろよ。
最近、寝てないんだ。
おまけに胸に穴まで開いた。
もう日本の為に戦うのは御免だね。
既得権益にしがみつくバカばっかりだ。
一度命を失うまで戦ったら
もう十分だろ?
次に生まれ変わる時には、
金持ちで…イケメンで…天才に…うまれて…
それからさ………
美女に………囲まれて……
………楽しい人生が……いいな。
母さん……
父さん…
ごめんね………
意識が、闇に沈んでいく。
『ふふふ♡
アナタの願い、叶えましょう」
誰かの声が聞こえた気がした。
▼
誰かがオレをゆすりおこしている。
花のようなフルーツのような甘い香りが
オレの鼻腔をくすぐる。
実にいい匂いだ。
「……陛下……ザムザ陛下」
オレは渋々、目をこすり動かす
その手はオレの手にしては小さい
様に感じる。
てか、体自体が小さく感じる。
目を開けると目の前にはデカデカとした
メロンのような胸があり
オレを起こしているのは
メイドさんだった。
「ザムザ陛下おようございます」
「ああ…おはよう」
「皆玉座に集まっています。
会議があるようですので
準備が終わりましたらお声がけ下さい」
「ああ、分かった」
状況は全く分からん、
が、これは巷によく聞く転生という
奴ではなかろうか?
みれば16歳くらいの身体だ。
目覚める前の身体とは全く違う。
細いが体つきは悪くない。
それにしても、陛下…陛下か
身なりは相当、裕福だし
部屋のまわりも金の調度品が
並んでるようだ。
さぞ、高貴な身分なのだろう。
さっきのメイドさんも可愛かった。
「っつっしゃああああああ!
勝ったな!!!」
オレは人生の勝利を確信した。
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