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第九章¦壊れ始める友情

私は、自分を変えたかった。

良かれと思ってやり始めた行動が後々、今ある友情を壊し始めたのだ…。


引っ込み思案で、話せるのはいつも特定の話しやすい人だけ。極度のコミュ障で人見知り、常に他人の顔色を伺ってばかりいた。自分には特別な才能も意見もない。「The陰キャ」のようなそんな自分に、私は長年うんざりしていた。


ある日、インターネットで見つけた「瞑想(めいそう)」という言葉が気になり、内容を調べるうちに心を掴まれた。「瞑想をすると変わります」「瞑想の力は凄い」――その言葉に強く惹かれ、瞑想とマインドフルネスの世界に足を踏み入れた。


変化はすぐに現れ始めた。私は以前より落ち着き、些細なことで動揺しなくなった。自分の意見を少しずつ言えるようになり、表情も穏やかになった。

苦手だった発表や、クラスのまとめ役。以前までの私がそれをこなす姿は、誰も想像すらできなかっただろう。今まで避けてきたことを突然やるようになった彼女に対し、周囲の対応も徐々に変わり始めた。

私は、今まであまり関わりのなかったクラスの中心的なグループとも交流するようになっていった。すべてが順調に進んでいる、そう思っていた。あの時までは……。


当時、私と仲が良かった亜美たちは、そんな私の急な変化に少々戸惑いつつも、以前と変わらず日々を過ごしていた。

しかし──ある時を境に、彼女たちとの関係に限界が訪れる。亜美たちは雨涙から徐々に距離を置くようになったのだ。仲の良かった5人グループの均衡が崩れ始めたきっかけは、些細な会話だった。

掃除の時間が終わり、休み時間に入ったので、雨涙たちは窓際で、こんな会話を交わした。

「雨涙、最近どうしたの? なんか変わったよね」と菜月が問いかける。

「んー、なんか瞑想っていうもの始めたんだよね」

すると亜美が黙り込んだ。「……………」

「え…瞑想、?」心配そうに菜月が言うと、

「……、めいそうって、迷うに走るって書いて、『迷走』、??」と困惑しながら羽音が尋ねた。

「めいそう」という言葉の漢字の違いを上手く理解していなかった私は、「そんなに驚くことかな?」と疑問に思いながら「そうだよ」と答えた。

お互いに言葉の意味を勘違いしていたのだ。そのせいで、羽音からはまるで怖いものでも見るような目で見られた。

その日から、亜美は私を軽蔑するようになり、菜月と羽音は動揺を隠せないでいた。残る帆夏だけは、何も感じていないようだった。もともと私とはあまり会話をしていなかったからだ。特に不仲という訳でもないのだが……。


距離を置くようになってから、二ヶ月ほど経ったある日のこと。

私は亜美たちともう一度友達に戻りたくて、瞑想をやめ、以前の自分に戻る決意をした。その後、五人は話し合いの場を持ち、和解した。また友達に戻れたのだと、私は心から信じていた……。


それから一週間後──


「雨涙、どうしちゃったの? 最近変だって話してたんだよね。ほんとに何があったの、あの頃」


掃除が終わり、教室の壁に寄りかかりながら廊下で会話をしていたのは、菜月と雨涙だった。


「ね、自分でもよく分からないんだよね。でも、嫌な気持ちにさせていたって気づいてさ……、ほんとにごめん」


そこへ亜美たちとも合流した時、突然、亜美が口を開いた。


「雨涙、明日話がある」


私は「なんだろう?」と疑問に思いながらも、その日は一日を終えた。

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