第一章¦ 新学年
今日は学校の玄関が賑わっている。
そう、新学年だからだ。
中学の一年が終わり、二年生になる雨涙達は自信と期待に満ち溢れていた。
生徒達が自分達の新しいクラスを確認しては、喜んだり、失望したりと様々な感情を抱えながらそれぞれ自分達の教室に入っていった。
「私のクラスは、えーと…」
雨瀬 雨涙が自分のクラスを探している。
「雨涙、私たち一緒のクラスだよ!よかったね!」
そう嬉しそうに言ったのは親友の浦田 亜美だった。
「え?!、やった!私も一緒のクラスだよ!」
そう言ってはしゃいでいたのは同じく雨涙と亜美の親友、浅利 菜月だった。
そう、雨涙と亜美と菜月は同じ小学校に通っていた古くからの仲良し3人組だ。
亜美と菜月は中一の時、同じクラスだったけど雨涙だけ違うクラスだったので、特に嬉しかったのだ。私たちは一緒に新しい教室に行くと、既に沢山のクラスメイト達が居て、ガヤガヤと楽しそうに話していた。
三人は一緒に自分達の席を確認している。
「名簿順だね」と菜月が座席表を見ながら言うと
「あ!私、羽音の後ろの席だ!」
と亜美が嬉しそうに言った。
東坂 羽音は中一の時、亜美と菜月と同じクラスで友達になっていたのだ。
「私、真ん中の一番前だ…」
「あらら、先生に当てられちゃうね…w」
と菜月が少々気まづそうに話していると、1人静かに席に座っている女の子を見つけた。
「ねえ、あの子1人だね」と私が2人に尋ねると
「どうする?話しかける?」と菜月が首を傾げながら言ったので、
「うん、話しかけよ!」と亜美が言った。
そう言って雨涙達は、自分の席に座っていた羽音も連れて1人で座っている女の子に話しかけに行った。
「初めまして~、帆夏ちゃん?」
彼女の名札を見て亜美が言った。
すると、帆夏が優しそうに答えた。
「初めまして、そうだよ。」
すると雨涙達は順番に自己紹介していった。
「初めまして、亜美です!気楽にあみって呼んで!」
「私、菜月!なつきって呼んでね!」
「私、雨涙、これからよろしくね。」
「羽音です!よろしくね!」
そうこう話しているうちに、授業が始まる5分前になったので、彼女達は急いで自分達の席に着いた。
「おはようございます。今日から皆さんの担任になる若谷 勝則です。若谷先生と呼んでください」
そう先生が自己紹介をしてからこう言った。
「えー、皆さん今日は新学年ということでオリエンテーションをしたいと思います」
「まずはですね、体育館に行きましょう。名簿順に廊下に並んでください」
「えー、まじかよ」
「めんどくさー」
「校長先生の話長いんだよなあ」
生徒達はそう口々に言い、気だるげそうに廊下に並んだ。
オリエンテーションと帰りのホームルームが終わり、雨涙たちは教室から一緒に玄関まで歩いていた。
「校長先生の話、長かったね〜」となつきが切り出した。
「ねー、すんごい退屈だった」不服そうに亜美が続いた。
「でも担任の先生、優しそうでよかったね」
となだめるように雨涙が言うと
「うん、よかった!」
菜月がそう言って微笑む。
一方その頃、羽音と帆夏は雨涙たちの少し後ろで別の会話をしていた。羽音は呼び捨てやちゃん付けが苦手で、さん付けで呼ぶことが多かった。
「帆夏さんは、好きなものとかある?」と羽音が尋ねる。
「んー、なんだろう。ジェラピケとかかな?」帆夏は優しく微笑んだ。
「おっ、ジェラピケ!いいね〜!」
微笑ましい会話をしているうちに、あっという間に玄関に着いたので、五人は「また明日ね!」と声を掛け合い、それぞれの家へと帰っていった。




