9話 あと1日
次の日。
今日は土曜日だから朝から練習ができるね!
「朝から練習?」
「うん、ダンスをもっとしたいの!!」
「そう行ってらっしゃい」
お母さんは笑顔で見送ってくれた。
「ツイ!来たわね」
レシアの世界に行くと、ステージだけじゃなく周りも雲が浮かんでいたり、動物が飛んだりしている。
「動物の妖精も手伝ってくれているの」
「色んな妖精さんがいるんだね。」
「えぇ、みんな楽しみにしているのよ。あなたのパフォーマンスをね」
そんなこと言われたら、がんばらなきゃって思える。
そういえば出会いに感謝っていう言葉を使うなら。
このみんなにも感謝だね。
よし!みんなに最高のパフォーマンスをみせるんだ。そして、この想いを伝えるんだ。
「ねぇ、ツイ。これをみて。」
そういうと、後ろから羽が生えた人がはずかしそうに何かを持っていた。
「これ……がんばってね」
「これ?」
受け取って、広げてみるときれいでかわいいドレスが入っていた。
「かわいい。」
「あの、わたし達が作ったの。あなたをみてつくろうって。着てみて」
後ろの妖精さんも嬉しそうに飛んでいる。
わたしのためのドレス。
宝石みたいな石がちりばめられていて、青と白の混じった夜空みたいなドレス。
「これどうやってきたらいいんだろ?」
「手伝ってあげるわ」
レシアはそのドレスを本に入れるようにすると吸い込まれていく。
「えっ!」
「大丈夫。こうやって」
レシアと一緒に、本を開くと1枚のカードがあった。そして、手を添えると私はドレスをまとっていた。
こうやるんだ。
「本当は専用のゲートを創りたいんだけど時間がなくて……しばらくはこれかしらね。サイズはどう?」
わたしは少し動いてみた。うん、サイズぴったりだ!
飛ぶたびに宝石がゆれて、キラキラしたかがやきが落ちていく。
「ありがとう。このドレス大好き」
「よかった……」
そう言うと、彼女はニコッと笑い光りになった。
「えっ、この光っているみんなが作ったの」
「うん」
「ツイ、がんばれ」
「彼女達は恥ずかしがりやなの。姿を変えることはできるんだけど、あまり見せてくれないのよ。」
そういうと、光りはレシアの後ろに隠れた。
「ありがとう、あしたがんばるね」
このドレスと一緒に最後のレッスンを始めた。特別な服でおどるといつもより特別に感じる。
色んな人の想いがこの世界にはあって、妖精達が私を応援してくれている。
この想い無駄にしたくない。明日絶対に成功させるんだ。
『楽しんでいきましょう。緊張しないで、その雰囲気を感じて笑顔を伝えるの』
『うん。楽しむ。』
わたしとレシアは笑い合って眠った。
きっと明日はいいステージになる。