7話 次の目標
その日の放課後
わたしは周りを確認して本を開いた。
『ひらけ、夢のかけら!!』
本は光りだしてわたしをつつみこむ。
気づけば、レシアのいる世界だ。
「レシア!!」
「はーい、いるわ」
レシアはヒカリを放つ妖精達と一緒に何かしているみたい。
なにしていたんだろう?
「なにしているの?」
「ちょっと……良いことの話し合い。まだ秘密よ。」
「えー」
そんなこと言われたら気になっちゃうじゃん。
「はい、じゃあ、今日はダンスのレッスンよ。」
「はーい」
気になるけど、また分かるか。
よし練習開始!
レシアがパンと手を叩くと、音が流れてきた。
「じゃあ、ここの動きはどんなダンスがいいかしら。」
「えっ。もしかして全部考えるの?」
それってすごく時間かかりそう。
楽しそうだけど。
「そうじゃないわ。ある程度、昔にみんながしていたダンスを取り入れるのはする予定だけど」
そう言うと、わたしの肩に手を置いてグッとポーズをした。
「あなたの歌なんだから、あなたがしたい動きを入れたいの」
そっか。
わたしの歌だから、自分の想いをこめたダンスをするんだ。
「じゃあ、こういうのはどう?」
わたしは一回転回って手を叩いた。
「すっごくいいわ。じゃあ、ここはこうして。で、次は逆回りしない?」
レシアはわたしのマネをして、次は反対を回って手を叩いた。
「すっごくいい!」
「ありがとう」
なんか、レシアと話し合うのってワクワクする。
レシアはわたしの言うことを、うなずいてくれて良い方向へと教えてくれる。
だから、もっと色んなアイデアを出したい。
「ここでジャンプ!とか」
「いいわね!!」
こうして、わたしのダンスはなんとか決まった。
「じゃあ、音といっしょに全部やってみましょう」
「うん!」
ステップ、横にジャンプ、一回転して手を叩く、反対も、そしてジャンプ!!
「いいわね!もっと全身を使ってあなたの想いを表すのよ!」
「大きく!!」
運動会の時にダンスをした時は、はずかしくてできなかったんだ。
でも、今はもっと大きく、自分の気持ちを表したいってわたしが言っている。
はずかしくなんてない。
楽しい!!
「うん! すっごく良いダンスよツイ!!」
「ありがとう」
わたしは水筒の水を飲み干した。
運動するって疲れるけど、このがんばったっていう感じがすごく満足する。
「ねぇ、ツイ。あと三日したら一回発表してみない?」
「は、発表?どこに」
「それはね。」
レシアは立ち上がって手を大きく広げた。
「夢を持っている、あなたのせかいのみんなによ」
「そうなことできるの?どうやって?」
だってここには、だれもいない。
他の人をみたこともない。
すると、レシアは大きく頷いた。
「ここにはね。かがやきを伝える力がある。夢やかがやきを持つ人、そして、かがやきたいと願う人がこの世界をみることができる。」
「そうなの?」
「例えば、スマホの画面、テレビ、水槽、鏡……なんでも心を持てば見れるようになるの。夢の中でもね」
「そんなことができるなんて」
それがこの世界の力なんだ。
みんなにみてもらえるのは嬉しいけど、あと三日なんて。
「まだ、心のじゅんびができない?」
「うん。でも、レシアがいるからきっと上手くいくと思う。」
ここまでがんばってきたんだ。
歌っておどって形になっている。
きっと、これからの三日間もっと練習したらもっとよくなる。ここのかがやきを増やしてみたい。
「もしかしたら、ここに人が来るかも知れない。あなたみたいに」
「じゃあ、もっとにぎやかになるんだ。」
レシアはうなずいた。
「がんばってみる?」
「もちろん!!」
「ふふっ、ツイはサイコーのエクスメーカーになれるわ」
エクスメーカー。
夢を作る人。
まだまだかもしれないけど、
「うん、なってみせる!」
『ワンツー、ワンツー、タンタンタン!』
ご飯をたべたあとに、レシアと練習をした。
家でもダンス。なんかいつもの場所なのに新鮮。
もっとうまくなりたい。
『いいわね。ツイはすっごくかがやいてる!!』
「ありがとう、レシア!」
「こら、ひとりでコソコソ言っていないで。もう寝ないとダメよ。」
お母さんが独り言を聞いていたのか、心配そうにドアに入ってきた。でま、わたしがおどる姿をみてクスっと笑う。
「楽しいものはほどほどにね。あと、怪我はしないようにね。」
「うん。おやすみお母さん」
お母さんに挨拶をして、わたしは枕元に本を置いた。
『そうね……怪我をしたらだめよ。無理しないようにね。おやすみツイ』
「うん。大丈夫だよ。おやすみ。」