6話 ナイストライ!
そして次の日がきた。
今からまさに体育の時間が始まる。
ボールを嬉しそうに持って目がキラキラしてた。サッカーをしているから、活躍するのがきっと楽しみなんだろうな。
「サッカーやったことある?」
「ない!」
「じゃあ、教えてあげる」
ヒカリちゃんはわたしにサッカーのけり方を教えてくれた。
「こうやって……」
ポーン
「おお!」
「次はスパッと」
パン!
「おー!」
なんか、ける位置で上に浮かせたり、まっすぐ飛んだりするみたい。まるでボールが生きてるみたいでなんか面白い。
「じゃあ、やってみよ」
「うん」
上手くいかないけど、少しずつ蹴り方法がわかってきた。強く蹴るだけじゃだめなんて難しいけど、上手くなってる気がする。
2人で練習していると、体育の先生がやってきたのでみんなでパスの練習を始めた。
ヒカリちゃんは上手くて、わたしのもとにボールが帰ってくるけど、わたしがすると変な方向に飛んでいってしまう。
さっきは上手くいったのに。
「あーごめん」
「おっ、ツイ! 良いけりだね。ヒカリも上手くボールをコントロールしているね。」
体育の先生はそう褒めると、飛んでいったボールを取ってきてくれた。
「最初はいっぱい失敗するものよ。でも、良い感じに上手くなっているわ」
「そうだよツイちゃん!」
先生とヒカリちゃんにほめられて、わたしはてれてしまった。
えへへ。
「失敗いっぱいしていこう!! ナイストライ!」
あれ。
その言葉、レシアも言っていた言葉だ。
「ナイストライ!!ってなんか良い言葉だね。」
「そうよ。この言葉をみんなで言い合えあえば、みんな楽しいし失敗してもがんばれるでしょ」
この先生もレシアみたい、だって元気がでてくるんだから。
もっといける気がする!がんばろう!
失敗してもいい。
その後の試合も、みんな挑戦して失敗したり成功したり。
とっても良い時間だったな。
わたしも一点決めちゃった。
「ナイス、ツイ!!」
「ありがとうヒカリちゃん」
『ふふふ。楽しそうねツイ。』
なんだ。声がしないなって思っていたけど、ちゃんと見ていたんだ。
『これがサッカー。楽しそうね。それにツイのクラスも皆楽しそう』
『うん、みんな楽しんでいるよ』
体育の先生のおかげで、体育がもっと好きになった。
こんな空気初めてだったし、すごく良い時間になった。
『みんなに感謝しないとね。』
『感謝か。』
『そう、一人一人の出会いに感謝するの。かかわる人に感謝して良いところをみると、もっとツイの生活は楽しくなるわ。』
周りの人に感謝か。
教えてくれたサッカーが上手いヒカリちゃんと励ましてくれた先生、そして一緒に試合しているみんな。
一人一人に感謝すると、支えてくれているって心が温かくなる。
わたしは一人じゃないんだなって心強いなって思える。
「うん!」