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3話 にじ色の本

 私はニヤニヤしながら、家に帰ってお母さんを見つけた。


「ただいまー」

「おかえり、ツイ。今日は遅かったわね。」


「えへへ。実は、うーんと本をひろったらね。ふしぎな人と出会ってね。」

「えっ」


 お母さんは顔が怖くなった。

「変な物を拾って……人に会ったの?だめよ? 今、すっごく危ない事件がたくさんあるんだから」

「はい。気をつけます」

 でも……あんな世界があえたのは本のおかげだよね。



「でも、なんか嬉しそうね。」

「レシアって友達とね、歌を歌ったの。楽しかったな。」


「あら友達なのね。お母さん、心配していたのよ。やっぱり、転校してよかったかもしれないわね。」

「うん!」

 わたしが転校したのは、お父さんの仕事をする場所が変わったからなんだ。


 あの時は、新しい学校なんて怖かったけど、今はここにこれてよかったって思う。

 だって、みんな色んなことにがんばって、取り組んでいるし。レシアとも出会えたんだから。




 ごはんを食べ終わったし、明日の用意をしなきゃ。


 わたしはそう思って、ランドセルをひっくり返すと、

「あれ?」


 虹色の本が入っている。


 そう言えば、この本を開けたからあの世界に行けたんだよね。

『そうよ』

「へっ!!」

 わたしはびっくりして、本を投げてしまった。

『ごめんなさい。ちゃんと言っておけば良かったわ。』


 そう言うと、本はまたわたしの元に戻ってくる。

『これはかがやきのかけら。人によって姿を変えるの。あなたは、新しい世界がつまっている本になったのね。』


「えーっと。レシア?」

『そうよ』



 ――コンコン


「ツイ、明日学校に持って行く紙を書いたわよ」

『この声があなたのお母さんね』


「しー」

 わたしはあわてて、口にひとさし指をあてた。


『大丈夫よ。わたしの声はあなたの心の中でしか聞こえていないから。』

 そうなの?


 すぐにとびらを開けて紙をとった。

『やさしそうなお母さんね』

『見えるの?』

『えぇ。はっきりと。』


 え!

 レシアはわたしの心の声が聞こえているだけじゃなくてこっちの世界の景色もみえるんだ。


「おーい、ツイ? 大丈夫? 口がポカンとなっているわよ?」

 気づくと。お母さんが心配そうな顔をしていた。


「大丈夫。ありがとうお母さん」

「うん、じゃあおやすみなさい。夜更かしはしないでよ」

「うん、おやすみ。」


 ふぅ。

 それにしても、レシアの声がきこえるなんて。

 びっくりしちゃった。


『その本を通してみているのよ。そして、声もね。勇気を出したい時はその本を出してみて。』

「うん! わかった」

 これなら学校でもだれにもバレずに会話できる。

 すっごく心強いかも。


『これはなに?』

「これは教科書っていってね。これを使って勉強するの。」

『へー、それは面白いわね』


「そうかな? これはね国語っていって……」

 レシアと一緒に明日のじゅんびをした。


 明日はダンスとかやってみるんだって。

 少し怖いけど、はやく明日にならないかぁ。


『もう、暗いわよ。そろそろ寝ないとね。』

「本当だ。」


 友達と話すような感じであっというまに時間がすぎたみたい。


「じゃあ、おやすみ。また明日ね」

『えぇおやすみ、ツイ』


 今日はぐっすり眠れそう。

 疲れたけど、一番楽しかったかも。

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