10話 本番!
そして、今日は楽しみにしていた本番の日!!
「今日もダンス?」
「うん、行ってきます!!」
それは、私にとってすごく大事な日。
また、新しい一歩を踏み出す日。
失敗してもいいから思いっきりやって、楽しもう。
「開け、夢のかけら!!」
「来たわね!じゅんびはいい?」
「うん!やってみる!!」
わたしは、レシアとうなずきあった。
「さぁ。今日は新しいステージに立つ日よ。いくわよ。せーのっ」
妖精がかがやき、レシアが指をパチッとするとステージの周りにいくつかの人の顔がみえた。
確かに……風景とか家の中とか私の知っている世界だ。
ほんとうにつながってて、私が見えているんだ。
どうしよ。少し緊張してきた。
だめだめ緊張しない!
伝えるんだ。
このわたしの想い。
「み、みなさん。こんにちは。ツイって言います。」
声が少し震えている。
でも、もっと声をだすんだ。
「わたしは、前まで前にでるのがこわくて……でも、ここで色んな人に出会って、前に踏み出して、世界が変わりました。」
みんなはとまどいながらもわたしをみてくれている。
歌ってつたえるんだ。
この想いを。
「皆さんの夢を応援したい、背中を押したい。そんな気持ちでつくりました。聞いてください。ニューステージ!!」
息を吸って目を見開いた。
わたしならできる。
『さあ、ふみだそうよ。』
『最初の一歩!』
『一つ、勇気をもって。』
ここでターン!
みんなの前で歌うのは勇気がいる。でも、わたしはもう止まらない。
一つ一つの声に力をいれて、叫ぶように歌う。
『新しい世界にとびこむ。』
(ハイ!ハイ!)
コール!?
このコール、妖精達とレシアの声だ。
そっか、みんなが応援してくれているんだ!
この空気の中で、もっとおどっていきたい。
楽しい!!
『こわくて、逃げ出したいけど』
みんなのとまどう顔がどんどん変わっていく。
楽しそうな子もいる。
わたしの想い伝わっているんだ。
『新しい私から諦めたくないからがんばるんだよ。』
「――っ」
あっ、ステップ間違えた。
ここで回らないと、手をたたけない。
いや、まだ諦めない。
次の動きに繋げればいいんだから!!
「――!」
(ツイ!動きをアドリブでカバーしているわ。なんて、対応力。これが夢とかがやきを求める力)
『ナイストライ!』
タンタンタンとステップ踏んで、
(弾く声が)
『ジャンプ』
(希望のかけらが)
『想いが、私を励ましてくれた。』
『いつか。いや、今!輝くとき!』
ここで大きくジャンプ!!
『ジャンプ!』
(ステップ)
うまくいった。
なんか、いつもより高く飛べている気がする!
『輝けるから』
(ジャンプ!もう1回!)
伝われ、この想い。
声にわたしの想いを。
みんなに届いて。
前に踏み出す勇気を与えるんだ。
『失敗しても大丈夫!』
(ナイストライ!)
『一歩踏み出してみよう!』
『眩しい未来はすぐそこにあるから。』
『一緒に踏み出そう!』
『君と描くニューステージ』
「――はぁはぁ。あ、ありがとうございました!!」
身体があつい。
こんなに心が熱くなるなんて。
失敗したけど、うまくカバーできたような気がする。
「みてみて」
レシアが指さすと、みんなが笑顔でみていた。
パチパチパチ
大きな手拍子がステージまで鳴り響いた。
そっか。みんなに想いが届いたんだ。
「これが心の音よ。あなたの声が感動を生んだのよ」
「うまくいったんだ」
「えぇ、いいアドリブだったわ」
妖精達も嬉しそうに舞っていた。
「すっごく楽しかった」
「その気持ち、大事よ。あなたの気持ちすっごく伝わったわ」
「えへへ。」
すごく心がみたされる。
これが表現するってことなんだ。
「わたし、エクスメーカーになってもっとたくさんの人の支えなりたい。」
「良い目標ね」
「うん!」
そのとき、誰かの足音が聞こえてきた。




