3−2 新たな出会い
先程までは満天の星空のようだった結晶が奥に行くにつれて大きくなり、それに伴って光が弱くなっていた。
先を行く謎の人物にそのわけを尋ねると、
「この結晶は核が光っているんだ。そして、大きくなると核の光が外側に漏れにくくなって光が弱くなる。」
と答えた。
見た目によらず親切だな、と思った。
「自己紹介が遅れたが、私はアルディス。この洞窟の案内人だ。」
そう言いながらどんどん進んでいく。
手のひらくらいの結晶が現れ始めたころ、ノクターが鳴いた。
どうやら疲れてしまったみたいだ。
零音はノクターをそっと抱きかかえ、早足で歩き出した。
「この先にリーダーが居る。」
とだけ言ってアルディスが洞窟の壁を押した。
何もない壁に隙間が開いて光が漏れた。
ノクターの瞳孔が細くなり、光が反射する。
「リーダー、彼をお連れしました。」
アルディスが恭しく礼をし、つられて頭を下げた。
アルディスがリーダーと呼ぶ女性は驚いたように目を見開き、そしてにこりと微笑んだ。
「ここまで礼儀正しい人間は今となっては珍しいものよ、気に入った」
彼女はそっと歩み寄り、少しかがんで目線を合わせ、こう言った。
「私はセリア、セレスティアの方針に反対する者。そして以前のあなたを知る者。」
記憶の片隅に、彼女の香水と同じ香りがあった。
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遅くなってしまいすみませんでした。