2−2 猫の誘い
遊覧船を降りた後もずっと星空の元にいた。
宇宙と、セレスティア。似て非なる音だが、どこか似ている。
「この街の音……何より技術は、本当に人間のものなのかな」
そうノクターに語りかけた時、僕は黒ずくめの男たちに囲まれた。
「貴様、今何と言った。」
彼らからは、怒りに近い何かを感じた。
「何って、僕とノクターの会話に何か問題でも?」
ノクター、という単語を発した瞬間に黒ずくめの男たちの表情が変わった。
「お前……まさか……」
唖然としている男たちの足元をすり抜け、暗い路地裏に逃げ込んだ。
「ノクター、どうすればいい?」
そう問いかけても、ノクターは身動き一つせずどこか遠くを見つめていた。
ノクターと意思疎通することは諦めて壁に背を預ける。
零音は星空の音に耳を傾けながら自らの過去を思い出そうとしていた。
そんな時に、ノクターが顔をぺしぺしと叩いた。
「どうしたの?ノクター」
零音が目を見た途端にノクターは走り出してしまった。
必死に追いかけると、行き着いた先は、街に溢れかえる音に近いものが響き渡る小さな洞窟だった。
零音がその音に耳を傾けていた時、またもノクターが走り出した。
一人と一匹は、月明かりの下を駆け抜けていった。
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