2−1 謎めいた声
零音と猫が出会ってから数日が経った。
ノクターと名付けられた淡い毛並みの猫は、片時も零音から離れることがなかった。
一人と一匹は、街の様々な場所を巡り歩き耳を傾けた。
遊覧船に乗って星空を眺めていたある時のことだった。
「ミューズの使いよ、星の調べを聞け。君の中には宇宙のリズムが響いている。」
と謎めいた声に囁かれた。
その途端、整合性もなくただ鳴っていた音がパズルのピースがはまるように整って聞こえた。
だがそれと同時に恐怖も覚えた。
宇宙の壮大な音楽の裏に、街で聞こえた音たちが重なっている。それだけなのに何故か悪寒がした。
まるで星の調べが都市の裏側に隠されたほんの少しの違和感を明らかにしようとしているかのようだった。零音は自分が辿るべき道がただ美しい音楽だけでなく、時には不安を抱えることも含まれているのだと理解した。
ノクターは静かに零音の側で座り込んでいた。赤と黄色のオッドアイは深い洞察を秘めているかのように見え、ノクター自身も何かを感じ取っているかのようだった。
「ノクター、これは何だと思う?」零音はノクターに問いかけると、彼は優雅に頭を傾げました。しかし、その瞳は何かを知らせたがっているように零音には見えた。
船が次第に静寂な海を進み、遠くに見える都市の光がキラキラと輝いていた。その美しい光景の裏には、未解明の音楽の断片が残されている。そう感じた。零音は宇宙の調べとこの都市の謎めいた音楽を解き明かす冒険への決意を胸に刻み込んだ。
遊覧船は静かな星空の下を進み続け、零音とノクターの冒険は新たな局面に突入していくのだった。未知の音楽が彼らを導く先には星座が煌めき、宇宙が語りかけるような謎めいた旋律が待ち受けていることだろう。
読んでくださってありがとうございました
楽しんでいただけたら幸いです。
今後ともよろしくお願いします