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海の子供たち   作者: Siberius
竜との邂逅編
7/65

イフリート

サージュとイーシャはヴェノーザを発った。

二人は街道を北に進んだ。

北に進むと大きな河があった。

大河ハーラウ(Haarau)である。

ハーラウ川の岸辺には町があった。

その日は夕暮れになったので、二人は明日、向こう岸にわたることにした。

今日は宿で休んだ。

次の日、二人は定期船で向こう岸に行けると宿の受付で聞いた。

船着き場に来るとちょうど船が停泊していた。

「乗ろうか」

「ええ」

サージュとイーシャは船に乗り込んだ。

少し経つと船は向こう側へと向かって出発した。

「うわあ、いい風!」

イーシャが長い髪を抑えて言った。

「気持ちがいい風だな」

「それに見て! 澄んだ、きれいな河!」

イーシャは甲板の手すりから身を乗り出してハーラウ河を見ていた。

サージュとイーシャは船の甲板にいた。

船は向こう岸へと徐々に近づいていく。

ハーラウ河の向こう岸にも町は広がっていた。

サージュは向こう側の町を見つめた。

どうやら河に沿って町はできているようだった。

「それにしても、リエンテさんってふしぎな人だったわね」

「そうだな。人間と竜の共存について悩んでいたようだけど」

「ずいぶん、難しいことだと思うわ。だって人間と竜ってあんまり接触しないじゃない」

「最近二度も、俺たちは竜にあったよ」

「それが異常なのよ。人間も竜も元来ほとんど接触しなかったのに……」

「むしろ、接触を避けてきたからね」

「どうしてこんなに竜と接触するようになったのかしら?」

「わからないな。リエンテさんは竜の言葉が話せたから、ヴェノーザでは戦いにならなかったけど」

サージュは船の手すりに寄った。

そうしてハーラウ河の流れを見つめる。

二人は船が向こう岸に着くまで黙っていた。

サージュとイーシャは立ってハーラウ河を見ていた。

そうしているうちに船は向こう側に到着した。

船から板が下ろされた。

人々は板を登って船から降りて行った。

「私たちも行きましょうか」

「ああ」

サージュとイーシャは人々に混じって船を降りた。

人々はいろんな方向に拡散していく。

「さて、行くか」

「ええ」

二人が歩み出したその時。

「うわああああああ!?」

「たすけてくれえええええ!?」

「誰かああああああ!?」

先の方から人々の悲鳴が聞こえてきた。

「なんだ!?」

サージュの体に緊張が走った。

「行ってみましょう!」

サージュとイーシャは悲鳴が聞こえたほうへ進んだ。

多くの人々が反対の方向へと逃げてきた。

奥から怪物が出現した。

大きな角を生やした炎の魔獣イフリートだった。

イフリートの近くには襲われた人たちが倒れていた。

サージュとイーシャはイフリートと対峙した。

「こいつは……イフリートか!?」

「なんでこんなところに!?」

イフリートは口から炎を漏らしながらサージュとイーシャを見た。

「戦うしかないな!」

イフリートは口から炎の球をはきだした。

炎の球はサージュに向けられていた。

サージュは剣でそれを防いだ。

炎の球はサージュに当たると爆発した。

サージュは水のバリアを張っていたので無傷だった。

サージュはイフリートに斬りつけた。

イフリートはたじろいだ。

「凍てつく氷よ! 氷結弾!」

イーシャは氷の塊を三つ、イフリートに命中させた。

イフリートは大きくのけぞった。

サージュはその隙に、もう一度剣で斬りつけた。

イフリートは転がってから、体勢を立て直した。

イフリートは跳び上がり、サージュに大きな腕を振り下ろした。

サージュはさっとその場を離れた。

イフリートの豪腕が地面に振り下ろされた。

地面に衝撃が走った。

イフリートは炎の息をはき出した。

「く!?」

サージュは水のバリアでそれをやり過ごした。

イフリートの炎は建物に当たり、炎上させた。

イフリートは口から炎の球を出した。

サージュは左手で水の球を作り、炎の球を迎撃した。

炎と水がぶつかり合い、相殺し合った。

イフリートは突進し、サージュに襲いかかった。

イフリートの腕がサージュを攻撃する。

サージュはそれをよけて、その隙に剣の一撃をイフリートに叩き込んだ。

これはイフリートに大きな打撃を与えた。

「サージュ、離れて!」

サージュは後ろに跳びのいた。

イーシャが氷のつららを出した。

上方からつららが落下する。

凍てつく冷気がイフリートの炎をかき消していく。

イフリートは両手に炎をまとわせた。

イフリートは巨大な炎の波を放った。

「イーシャ!」

サージュはイーシャの前に立ちはだかった。

炎の波が町の通りを貫いて、二人に迫り来る。

逃げ場はなかった。

サージュは水のバリアを最大限展開した。

そうして炎の波をやり過ごす。

「ものすごい炎ね……」

イフリートは炎の息をはいた。

イーシャはそれを水の弾、水泡弾で相殺した。

そしてサージュは水の刃で斬りつけた。

サージュは生まれつき特別な力を持っていた。

それは「海の力」だった。

海の水を操る力だ。

サージュの水の斬撃はイフリートに致命的なダメージを与えた。

イフリートはのけぞり、赤い粒子と化して消滅していった。

「よし、勝ったぞ!」

「ほう、よもやイフリートを倒せる者がいるとはな」

通りの奥から一人の少年が現れた。

彼は黒い服を着て、手に黒い鎌を持っていた。

「フフフ、イフリートを倒せる者がいるとは驚きだ」

少年は妖しげに笑った。

「あなたは誰?」

イーシャが尋ねた。

「私はイシャール(Ishaar)。闇の魔道士だ」

「闇の魔道士?」

サージュはイシャールを見て、いぶかしんだ。

「おまえたちはさながら冒険者といったところか。名は何だ?」

「俺はサージュ」

「私はイーシャ」

「私が放ったイフリートとの戦いはなかなか見事だったぞ」

イシャールは左手の上に鎌を乗せた。

「あなたがイフリートを使役していたの!?」

「おまえがイフリートを操っていたのか! なぜこんなことをする?」

サージュはイシャールを前にして剣を構えた。

「これは闇の理だ。ただそれだけだ。さて、では私とお手合わせしてもらおうか」

イシャールは不敵な笑みを浮かべた。

サージュはけわしい表情をした。

イシャールはサージュに接近すると、鎌で攻撃してきた。

サージュは剣で鎌の攻撃をガードする。

イシャールが鎌で連続攻撃する。

サージュには反撃の隙が見つからなかった。

「くっ!?」

「フフフ、どうした?」

サージュはいったん後方に跳びのくと、再びイシャールに接近して剣を振るった。

イシャールはサージュの剣を軽やかに受け流した。

剣と鎌がぶつかる金属音が響いた。

イシャールは闇の空間を作り出した。

サージュはその中に閉じ込められた。

「うわあああああ!?」

サージュは地面に倒れた。

「サージュ!」

イーシャが叫んだ。

イシャールはイーシャに向かって、闇の衝撃波を鎌から放った。

「きゃああああああ!?」

イーシャは衝撃波を受けて吹き飛ばされた。

地面に横たわる。

「イーシャ!」

イシャールは闇の球を鎌から撃ち出した。

球がサージュに迫った。

サージュは剣で球をはじいた。

「これはどうかな?」

イシャールは鎌を突き付けた。

無数の衝撃弾が形成された。

それらは一斉に撃ちだされた。

サージュは水のバリアを張った。

「くう!?」

しかし、バリアは持ちこたえられずに破壊された。

サージュは衝撃弾を受けて地面に転がった。

「雷よ!」

イーシャはイシャールにイナズマを放った。

イシャールは左手でそれを難なく受け止めた。

「フッ、この程度か」

イシャールはカウンターでイーシャに闇のイナズマを放った。

「あああああああ!?」

イーシャは闇のイナズマを受けて倒れた。

イシャールはサージュに闇の圧力をかけた。

「うっ!?」

サージュは膝をついた。

「……これまでか」

サージュは力を込めて闇の圧力を打ち破った。

「ほう」

そしてサージュは水の槍をイシャールに投げつけた。

イシャールは鎌でそれを防いだ。

イシャールはふと鎌を下ろし。

「お遊びはここまでだな」

イシャールの足元に魔法陣が現れた。

「少しは楽しめた。ではさらばだ」

イシャールはそう言い残して姿を消した。

サージュはイーシャのもとに駆け寄った。

イーシャがゆっくり立ち上がる。

「あいつはどうしたの?」

「消えた……どこの消えたのかはわからない」

「イシャール……何者なの?」

「闇の魔道士か。ものすごい力の持ち主であるのは確かだ」

この後サージュとイーシャは宿へと向かった。

イーシャは水の魔法で、サージュと自身の傷をいやした。

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