マリーノ軍
斥候からの情報によると、海竜王のアジトはこの島、ネットゥーノ(Nettuno)島だと、思われます」
アンドレア提督が発言した。
ここは作戦会議室。
アンドレア提督は一つの島を指さしていた。
「こちらの戦力はどうなっていますか?」
とサージュ。
「こちらは海軍の軍船とグリフォンライダー隊であります。
「問題は海竜王だな……」
ゼイオス王が懸念を示した。
「海竜王をどう抑えるか、ということでありますな?」
「うむ。先の戦闘を見るに、海竜王との戦いはいたずらに戦力を増やしても勝てるとは思えぬ。むしろ数が多いほど、海竜王のブレスでやられるだろう……」
「それは俺も同感です。そこで海竜王を別の場所におびき出してはどうでしょうか?」
「サージュ様、というと?」
「具体的には俺が海竜王の相手をします。海竜王はバトルマニアとの評判です。その海竜王なら一対一の決闘に応じるでしょう」
「!? サージュ様、危険すぎます!」
「ですが、誰かが海竜王を引き付けておけば、大軍を戦場に投入できます」
「しかし!」
「サージュ殿の案は合理的だと私は思う。王族とは危険に身をさらすがゆえに高貴なのだ」
「わかりました。我々海軍は主に海竜との戦いに集中しましょう」
かくして、マリーノの軍隊がネットゥーノ島の前に現れた。
船にはサージュ、イーシャ、リエンテが乗っていた。
「とうとう海竜王のアジトにまでやって来たな。俺とイーシャは海竜王と戦う。リエンテは船に残ってくれ」
「わかっています。その前に投降を呼びかけてもいいですか?」
「ああ、いいぞ」
「海竜王アッティラ! こちらは美竜王リエンテです!」
リエンテは「拡声」で伝えた。
「何だあ!? 美竜王リエンテ? いったいどういうことだあ!?」
「あなた方はマリーノ軍に抑えられています。命が惜しいのなら投降なさい!」
「美竜王リエンテめ! 人間の側についたのか! 竜としての誇りはないのか! ふざけるなあ! そんな要求は拒否する!! マリーノ軍など、この俺様一人で十分よ!!」
「やはり、思っていた通りになりましたね……」
「アンドレア提督、艦隊の指揮は頼む。俺は海竜王のもとに行く」
「わかりました。お気をつけて」
「よし、イーシャ、行こう!」
「ええ、サージュ!」
サージュとイーシャはグリフォンに乗って海竜王のもとに向かった。
わざわざ、二人は迂回するように海竜たちを避けてアッティラのもとに行った。
それを見て、ほくそ笑む男が一人いた。
「フフフ、マリーノ軍と海竜との戦いが始まるな。この私が思っていた通りだ。まあ、どっちが勝とうが私にはどうでもいいことなのだがね……見ものはサージュとアッティラとの戦いか。ククク……サージュ、この私の期待に応えてくれ。美しく、美しく、美しく、戦ってくれ! フフフ……フハハハハハハ!」