海辺
サージュは今アルカ村に滞在していた。
アルカ村はサージュにとって心のふるさとであって、必ず冒険から帰って来たくなるところだった。
今日は陽光がきらめいていた。
「さて、今度の冒険から帰ってきたときのために、畑でも耕しますかね」
サージュは作業服に着替えると、スキを持って畑へと出かけた。
畑は南側に面しているため、太陽の光を存分に味わえた。
サージュはスキで地面を耕していく。
畑作業は結構重労働で、サージュは冒険者として培った体力があった。
畑の土にスキを叩きつけて柔らかくほぐしていく。
土はしだいに柔らかさを増していった。
フォルトゥナは村で唯一の祭官だった。
わざわざ畑など作らなくとも、祭官としての収入でやっていける。
フォルトゥナは宗教的な生き方を選んだ。
それがフォルトゥナにとって天職だったからに他ならない。
フォルトゥナはその一方で畑仕事やガーデニングにも興味を持っていた。
花の種は村の女の子たちにおすそ分けしてアルカ村を花でいっぱいにするという「野心」をフォルトゥナは持っていた。
畑に植えられるのは主にジャガイモ、玉ねぎ、ニラなどであった。
主にスープの材料とするものである。
サージュは午前中いっぱい、畑を耕すことにした。
種はフォルトゥナが植えるだろうから。
それからサージュは海の前に行った。
海からは波の音が聞こえてくる。
波が押してはよしては消えていく。
空には海鳥が飛んでいった。
空は青く雲は白かった。
サージュはひたすら海を見ていた。
サージュは思う。
自分は何者なのか?
どこから来たのか?
自分の生まれは?
自分のルーツは何か?
「……やっぱり、この問題をこのままにはしておけないな」
「サージュ、こんなところにいたの?」
「イーシャ……」
「サージュがいつもここに来るときは悩んでいるときよね? それも一人で?」
「よくわかったな」
「何年、サージュの幼なじみをしていると思っているの? それくらいサージュの顔と行動を見ればわかるわよ」
サージュはため息をつく。
「まったく、イーシャにはウソがつけないな。俺は自分の生まれのことを考えていたんだ」
「サージュの生まれ? 確かサージュは……」
「ああ、そうだ。かごの中に入れられて海から漂着した。でもそれだけだ。これは俺にとって根源的なことなんだ。俺は自分のルーツを知りたい。そのために俺は旅立たねばならない。新しい冒険の旅に」
「わかったわ。もちろん、わたしもいっしょよね? 一人で出て行ったら、絶対許さないわよ?」
「わかっている。俺もイーシャと旅がしたい。ただ、今回は自分のルーツを探す旅だ。どこかに冒険すればいいってわけじゃない。情報が必要だ。自分の生まれを探し、見つける旅なんだから……俺はどこからアルカ村に来たのかそれを知りたいんだ。ん? あれは……!」
サージュは海岸線に船団を発見した。
帆には白い地に金色の刺繡が縫ってあった。
サージュはかつて自分が入っていたかごを見たことがある。
その時服は白い色で金色の刺繍がしてあった。
「あれは……マリーノ(Marino)王国の船団だ……マリーノか……海の王国マリーノ……そこに行けば何か分かるかもしれない……」
サージュの中で確信に満ちた勘が働き始めた。




