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現実と空想
残念ですが
『人間性』
くちゃくちゃ
口を閉じていても聞こえるあなたの咀嚼音
写真の中の存在だと思っていたあなた
同じ世界にいる安心感で嬉しくなって
この世界にいる虚しさで辛くなった
『彼女の声』
彼女声が聞こえたとき
女の子らしい高い声に
運動部らしいはきはきとした声に
彼女の彼女らしい声に
溜息をついてがっかりしていた
彼女には想像でいて欲しかったからだ
『消失』
いなくなれ
願った
いなくなった
悲しんだ
いてほしい
気付いた
いてほしい
願った
そうだったんだ




