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女は美し、私は笑い  作者: 直野
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嘘つき

辛くて冷たい嘘で良かった

『嘘』


彼女は嘘を吐くのが下手なようだ

それまでの態度と僕に使った言葉を見ていれば考えなくても答えはでる

それなのに気を遣うんだから笑ってしまう

いっそのこと本音で僕を傷つけて欲しい

僕の赤い心を青く染めて欲しい

ありとあらゆる暴力を試してほしい

それなのに謝ってくるんだから泣いてしまう

それなのに泣いてくれるんだから笑ってしまう

いや本音を語れる相手じゃなかっただけか



『仲』


嫌われていた君とやり直せていたと思っていた

少し前まで目さえ合わせてくれなかった君が自ら僕に話しかけてくれた

何を言っても変わらなかった顔があの頃の笑顔になっていた

突然のことだった

声を掛けると顔を背け

君から話しかけることは無くなり

うっとりするほどの笑顔はあの頃よりもひどい顔になっていた

嫌われていた君とやり直せたと思っていた



『しあわせ』


可愛いとも思えない女が付きまとってくる顔面がある

リレーではやりたくもないアンカーを任せられる身体能力がある

何もかもを親のおかげにされるほどの親がいる

普通に遊びたい友達がせがんでくるお金がある

そんな彼は幸せ者だ



『偽物』


この世界はきっと偽物なんだ

僕が主役でみんな決められた役を演じている


きっとそうだ

君が見せた怒った顔も 辛い言葉も もう戻せない過去も

全部 全部 全部

嘘で シナリオで 偽物だ


だけどそうだ

君が見せた笑った顔も 優しい言葉も 変わり続ける現状も

全部 全部 全部

嘘で シナリオで 偽物になってしまう


あぁ 辛い辛い過去と

あぁ 幸福な未来が

あぁ 混ざりあっている


そうだそうだ


これだけが本物だ


優しくて暖かい嘘ならすぐにでも首をつっていた

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