転校生
──だれしもみそかごとをした事があるだろう。みそかごとは秘密のこと、ないしょごとと言う意味である。
空はびっくりするくらい快晴の春だ。この街は人で賑わったきれいな都会だ。
「おはよう蓮!」
俺に幼なじみのふづきが元気に挨拶をした。ふづきの見た目は童顔で目が茶色く、髪はショートヘアーの茶色いくせっ毛だ。俺のことが大好きでちなみに同じ髪型だ。俺の目の色は黒だ。
「おはよう」
「今日、転校生が来るんだって!やさしい人だったらいいな……。」
「たしかにな。やさしい人だったら、友達になりやすいしな」
「学校まで競争だよ蓮!」
ふづきは元気にいきなり走り出した。
しばらくたってから俺は学校の前の小さな石につまずいて転んでしまった。
「あ!」
「蓮、わたしが競争って言ったせいだねごめん!」
ふづきは俺の手を握り、やさしくゆっくりと起こした。
「いいぞ……心配させてごめんな」
「どう……しましたか?」
白い髪で目が赤いやさしそうな顔をした髪がストレートな長髪の女子高校生だ。
「小石につまずいただけだ。みたことない顔だなもしかして、転校生の方か」
ふづきは俺がいきなり初対面の人にいきなりタメ口を使ったため、ふづきは焦った。
「蓮、初めて出会った人にはきちんと敬語でね。話して」
「分かった、分かった。転校生ですか?」
「はい、僕の名前は……白井ゆきです。」
──この人の一人称は僕か男みたいだな。だめだ、俺の悪い
考え方だ。女の人はわたしが当たり前みたいな。この世はジェンダーレスの時代だ。
「俺の名前は黒羽志 蓮だ。」
「わたしの名前は境芙月です。よろしくおねがいします。」
俺の席はドア側だったが学校の教室の窓側に変わっていた。
俺の席は白井の隣だった。俺と反対にふづきも白井の隣だった。ちなみに席の具体的な位置は黒板の前側だ。
「転校生の方、黒板側に来てください。」
白井はゆっくりと黒板側に向かっていった。
「転校生の白井ゆきです……よ……よろしくお願いします……」
「みんなこの子と仲良くしてくださいね」
──やっぱ先生やさしい人だな。
「やっと昼食が食べれる!」
「美術の後の昼飯は生き返るからな」
俺とふづきは白井の席へ向かった。
「白井さん、出会ったばかりだけど一緒に食べよう」
「はい」
俺達は天気がいいので学校のグラウンドで食べることにした。
「白井さんのお弁当美味しそう」
白井の弁当には、唐揚げとウインナーなどが入っている。白井さんのお弁当はよくみる大きさだ。
「誰が作ってくれたの?白井さん」
「お母さんが……いつもお弁当……作ってくれます」
「よかったらおかず交換しましょうか」
「じゃあ、これをあげようか?」
俺は俺おてせいの玉子焼きを箸で持ち上げて白井に見せた。
「卵アレルギーでして……」
「アレルギー持ちか、ごめん。じゃ、この卵をいっさい使っていないハンバーグをあげるぞ」
──友達に玉子焼きあげることができないこと多いな。ふづきは卵が苦手だしな。
焦るように俺は玉子焼きを弁当にもどした。さらに玉子に触れていない箸の持ち手で掴み、玉子に触れていない物を渡した。
「唐揚げ……あげますね」
「卵を使わない唐揚げってあるんだな。初めて食べるよ。父さんも卵アレルギーだから諦めてたけどこれで父さんも食べれるな……」
──白井はアレルギー持ちか、交換するとき気をつけないと
いけないのか。
「境さんも……」
白井は箸で唐揚げを持ち上げ、ふづきに見せた。
「さん付けじゃなくて良いよ。ふづきって呼んで良いからね」
ふづきと白井はウインナー2本と唐揚げ1個を交換した。
「はい、白井さん一応卵を使った料理はこのお弁当には卵使った料理ないから安心してね。」
「いただきます!」
それぞれのタイミングで食事を始めた。
「白井さんの家の唐揚げ美味しい!」
「もう満腹だ……」
「物理楽しかったな、ふづき」
ふづきは白井との話に夢中で、俺の声は聞こえなかった。
「好きな食べ物なに?白井さん」
「えーと……フランクフルトかな」
こころなしか、白井は俺と話すときより元気だ。
「美味しいよね。わたしはね、北海道で食べるジンギスカン」
「北海道……行ったこと僕も……あるよ」
──仲良くなるの早すぎだろ……
「いつかみんなで行きたいな。北海道」
「……」
白井はいきなり元気がなくなり足を止めた。
「帰りにコンビニでも行くか!白井も良いか?」
「うん……僕も行きたいと思っていたよ……」
俺達は帰り道にあるコンビニによった。
「何買おうか……」
俺は商品をしばらく眺めた。
「ガムとフランクフルトでも買って行くか」
俺はガムとフランクフルトが入った袋をもって白井とふづきから少し遅れてコンビニの外に出た。
ふづきはブラックコーヒーを飲んでいた。
「ふづきはそのブラックコーヒーほんと好きだな。見た目には合わないけどな。」
「見た目に合わないはよけい!」
ふづきは、少し怒った。まったく怒った顔には見えなかった。
「ごめんふづき、それくらい童顔だ。という意味だ」
「褒めてない!」
俺はゆっくりと白井の方を向き、やさしく話しかけた。
「白井もフランクフルトか、美味しいよな」
「うん!」
「フランクフルト食べると人と話すときより元気だな」
「そうなの……かな」
「いきなり倒れてどうした!白井」
フランクフルトを食べ終わってから、いきなり白井は倒れてしまった。俺は俺の反射神経でさっと手で優しく白井の身体をおさえた。
「白井さん大丈夫?」
俺は焦った。
──もしかして、フランクフルトに卵含まれているのか?
と俺は父さんがアレルギー持ちだということもあって心配した。
「大丈夫……貧血でたまにめまいがおきるんだよ……」
俺は白井をゆっくりと起こした。
「自分で立てるか?白井」
「大丈夫だよ……」
少し白井は眠たそうにしていた。
「家どっち側にあるんだ?」
「あそこ……だよ」
地下鉄の入口のすぐ隣に白井の家があった。その距離は10メートル前後だった。
「駅近。駅近すぎだろ!」
「気をつけてね」
「明日もよろしくな」
「はい……」
──俺の小さなみそかごとは、大抵のものにケチャップをかけて食べるほど、ケチャップ好きだ。
「今日は蓮の好きな、とり天だよ〜」
「うま!美味すぎだ。肉替えたのか?母さん」
母さんは棒読みで話す不思議な人である。ちなみに髪型は俺の髪が長くなったような感じだ。
「今日は奮発して地鶏を買ったの。」
「いつも母さんが作る料理も美味しいけどな」
俺は一口めはとり天に何もかけずに食べた。最初からケチャップをかけて食べるのは作った母さんにもう仕分けないからだ。
──なんで白井のやつ北海道にいつか行こうっていったらいきなり元気なくなったのかな。もしかしたら海怖いのかな。
俺は夕食を母さんと楽しんだ。