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「お邪魔しまーす」
「なにもないけれどどうぞ。」
ほんとうになにもなかった。
物がないとか、そういう次元じゃなくて、そもそも生活感がなかった。
「本当にここにすんでるの?」
「うふふ、まぁ、神様だからねぇ、僕は。」
やっぱり答えになってなかった。
この神様は、答えを教えるつもりはないようだ。
まぁ、いいけど。
「まぁ、ここは勝手に使ってくれて構わないよ。」
「それはうれしいけれど神様?僕ここまで帰ってこれる自信ないよ。」
「うふ、うふふ、君は方向音痴なんだねぇ。大丈夫だよ。神様って呼んでくれたら迎えに行くからね。」
「方向音痴ってか、、ここまでどうやって来たかもわかんないよ!」
そう、、この神様は「僕の家に住まわせてあげるよ」と言った後、指をぱちんと鳴らした。ならしたらここにいた。
瞬きしたらここにいた。驚く間もなくここにいた。
「ねぇ、神様。」
「んー?なんだい?」
「僕は、いつまで彼女と一緒にいられるのかな」
「うふふ、彼女とはまだ挨拶しかしてないだろう?」
やっぱり神様は答えてくれなかった。