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I-VII developmen change

5月23日午後8時20分


「どこに行った」


新井は公園から出て、人影のない道を走っていた。周りには普通の家が並んでいる。


「くそ。見失った。何処に行きやがった」


新井は公園のほうに戻っていった。そのとき、前から3人の男が歩いてきた。


「・・・・・・・」


前から歩いて来る男たちは何も喋らない。瞳は新井だけを見ている。


「あいつは・・・」


3人の男の真ん中には、殺された小波高校の生徒がいた。


「・・・・・・・」


後ろからも同じように、3人の男たちがやって来た。


「おいおい、今日戦ったばっかじゃねぇか」


後ろから来た男たちは、今日襲ってきたヤンキー達だった。


「・・・・・・・」


男達は新井に向かって走り出した。そして、20メートルもの差を一瞬にして詰めた。


「っっ・・」


新井は両脇から来る拳を避け、ヤンキーの1人に蹴りをいれてから空いた道を男達から離れるように走った。新井はまた20メートルぐらい距離を開けると、後ろのポケットから革製の手袋を取り出した。


「さて、やるか」


新井は手袋をはめた。手袋の色は黒色で、手のひらには十字に白いラインが入っている。この手袋は新井専用の『お札』だ。そして、前にいる男達は霊にとり憑かれている。


【しかし、妙だな。死んだ人間に霊がとり憑くなんて】


男達は新井に向かって走り出し、さっきのように20メートルの差を一瞬にして詰めた。男達が来た瞬間、新井は1人の男の腹部にパンチした。男は3メートル弱飛んでいった。


「おらよ」


新井は男達の攻撃を避け、次々にパンチをきめていく。しかし、男達は全くダメージをくらった様子はなく、次々に立ち上がる。


「手強いなぁ。全員倒せるかな」


新井が喋り終わった途端男達が走ってきた。今度は4人が先に走ってきて、その後ろに残りの2人の男が走ってきた。


「またゾロゾロと、ゾンビみたいに来やがって。逃げるのは無理か」


20メートルの差を一瞬にして詰める相手に、背を向けたら自分から殺してくださいと言っているようなものだ。


「がぁあああああああああああああ」


男達は、そう叫ぶと新井に殴りかかってきた。


バキッ


その音が誰もいない道に響く。




5月23日午後8時25分


高森と木乃は公園のベンチに座っていた。たこ焼きは当の昔に食べ終えたようだ。


「神田は良いとして、くまのやつは何所に行ったんだよ」


「探しに行ったほうが良いんじゃないですか。ついでに捜索をしましょう。あれ、委員長。何所見ているんですか。私の話ちゃんと聞いてますか」


「おい、木乃。あ、あれって・・・・」


「何ですか?あっ。あれは石橋」


「隣に何人かいるな」


高森たちの視線の先には、屋台の射的ゲームをしている石橋の姿があった。その隣には村雨と、途中であった小波高校2年6組、飯田美羽いいだみう、同じく2年6組、塩祖流斗しおそるとがいた。


「何やってんの石橋。遊んでないで仕事しろ仕事」


「ま、まて。あと一回。あと一回だけやらせてくれ。もう少しであのウサギの人形が落とせそうなんだ」


「石橋のやつ、まだやるきだぜ。もう3000円持ってかれてるのに・・」


「えぇぇ、そんなにやってるの」


「ああ。俺と会ったすぐ後に射的やりだしたんだ」


「そして私達が射的をやっている石橋君達を見つけたわけ」


「てか、サボってたのか。これは罰則だな」


「えぇ。委員長、それは無いぜ」


「サボってたあんたが悪い。てか、射的なんてあんたには無理よ」


「なんだと木乃。じゃあやってみろよ。出来なかったらここで土下座な」


「石橋君。そんな事までさせなくても良いんじゃないかな」


「いや。ぜっっっっっっっったいにやってもらう」


塩祖の提案は石橋によってバッサリと切り捨てられた。


「いいわ。やってあげようじゃないの」


「ちょっと木乃ちゃん」


「おい木乃、大丈夫なのか」


「心配しないで、美羽ちゃん、委員長。じゃあアンタが負けたら一週間私の家来な」


「の、望むところだ」


「何でも良いから早くしてくれないかな。もうそろそろ屋台を解体したいのだが」


店のおじさんがそう言うと、木乃は財布から500円玉を取り出して弾を5発貰った。狙いは、石橋が取れなかったウサギの人形。


「早く5発とも外して土下座しろ」


後ろから石橋の声が聞こえたが、木乃は無視した。狙いを定めて撃った。


パン、という音が鳴って、弾が人形に向かって一直線に飛んでいった。正確に言うと、人形を垂直としたときの45度あたりのところに飛んでいき、45度あたりのところに当てた。人形は一回空を跳び、後ろの壁に当たって下に引いてあるネットの上に着地した。


「はいお譲ちゃん。よく捕ったね」


そう言って屋台のおじさんはウサギの人形を木乃に手渡した。つまり賭けは木乃の勝ちで、石橋は一週間家来として木乃の命令を聞かなければならない。


「う、うそだぁ。そんなに簡単に取れるはずがない」


「よく考えてみなさい。私がいつも除霊で使っている『お札』は何」


「えぇっと、いつも除霊で使っているお札は『拳銃』で・・・・・・ってお前ズリーだろ。今の賭けは無しだ」


「ふざけんなよ。こっちは、この勝負のために500円使ったんだぞ」


「500円くらい何だよ。そんなにお前ん家は貧乏なのかよ」


「石橋。男は約束を守らなくちゃいけないぜ」


村雨が石橋の肩に手を置いて言う。表情は若干笑っているように見える。


「てんめぇ、いつからそっちに寝返った。ってか、飯田も塩祖も委員長も、何でそっち側にいるの。頼む誰か俺側に来てくれ。お願いします、助けてください。あーもう、ヘルプミーーーーー」


叫びも空しく、石橋はさっそくジュースを買いに行かされた。





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