I-XIII end first episode
5月23日午後9時23分
Щの中では、空のペットボトルをもったΣと倒れている石橋がいた。
「あ〜あ、もう水が無くなっちゃいましたか。ところで、その目はいったい何なんですか。この中でも使えるなんて・・・超霊媒体質の能力じゃないようですね」
石橋は立ち上がり答える。体中ボロボロで、右目からは血の涙が垂れている。
「何でもねーよ。昔に、ちょっと知り合いから貰ったもんだ」
「知り合いですか。よほど親切な人でしょうね、自分の目を渡すなんて」
Σは地面に散らばった水を球体状にして掴んだ。
「そんな厄介な目は、早めに潰しておきましょう」
Σが持っている球体状の水から、石橋に向かって一直線に棘のようなものが弾丸のスピードで伸びていった。
キーン
しかし、石橋はいとも簡単に日本刀で防いだ。
「やっぱり。私の攻撃が見えるんですね。さっきの水弾攻撃も当たったのが10発中4発。本来なら、全弾当たってるはずなんですがね」
「よく言うぜ。これでも1発避けるのに精一杯だったんだぞ。それに、1発の威力だって半端じゃねー」
「しかし、そうなるとどうやって殺そうか迷いますね。・・・・そうだ。下界にはこういう言葉がありましたねぇ。『下手な鉄砲も数打てば当たる』。良い言葉ですねぇ」
Σの周りに散らばっていた水が宙に浮き、1ミリほどの弾になっていく。
「ふざけんなよ、あの野郎」
石橋は苦笑いしながらも日本刀を構える。右目からはまだ血の涙が垂れている。
5月23日午後9時23分
鳴り響いていた銃声が止んだ。
「あぶねぇな。俺がいない間に結構やばい状況になってるじゃねぇか。最悪だ。でも、バッドエンドじゃ終わらせねぇぞ」
「・・・・×様。あいつは・・・」
神田の前には、×が撃った弾丸を弾き飛ばした新井が立っていた。
「ああ、Ω。あいつが俺の言った新井ってやつだ。しっかし、生きていたとしてもここに来るとはなぁ」
「ふざけんな。あんなでっかい結界があれば、誰でもここに来るだろ」
「なるほど」
×は関心したように言った。
「いやー、助かった。正直、さっきの弾は避けれなかった」
「おう。ところで神田、あの結界は何だ」
「何かは知らないが、あの中に委員長達がいることは言える」
「で、あの結界を作っているのがそこにある陣って訳か」
「そうだ。正し、お前らにはこの陣は壊せない」
×が結界を作っている陣のそばまで行き、堕天使の羽を広げていた。
「神田。ここはさっさと陣を破壊した方がいいな」
「同感だ」
神田は賛同すると、金槌を構えた。新井もグローブを付け直している。
「Ω、やるぞ」
×は禁金金武から10発の弾丸を撃った。新井と神田は、右と左にそれぞれ避けた。
「新井、後は任せたぞ」
そう言うと、Ωに突撃し、陣から遠ざけていった。
「あらら、行っちゃった」
神田とΩの方を見て×が呟く。
「よそ見してんじゃねーよ」
新井は×に零砲を撃った。×はそれを飛んで避けた。
「おいおい、避けていいのかよ。陣を壊しちまうぞ」
「心配ご無用」
×は禁金金武を新井に向けて撃った。
「馬鹿か。俺はもう陣の上だぞ。このまま避けて、地面が抉れれば陣が壊れるだろ」
新井は避け、弾は陣に当たり爆発した。しかし、陣には傷一つ付かず、地面も抉れていなかった。
「陣を構成しているところが簡単に破壊されると思うなよ。なあ、もう一度聞くぞ。俺達の仲間にならないか」
「何度も言わせるな。断る」
「そうか。なら、お前もこの言葉を俺に何度も言わせるな。死ねぇぇぇ」
×は新井に向けて5発の弾丸を撃った。
「言ったろ、バットエンドじゃ終わらせねぇってな」
新井は、自分の右側に×へ向かうように弧を描いて高速移動輪を出した。そしてその輪に入ると、あっという間に×の所にまで行った。
「よっ。やっとお前を殴れるぜ」
新井の拳は×の左頬を捉え、そのまま地面に叩きつけるように殴り飛ばした。そして飛ばされた×は近くにあった木にぶつかった。
「うぅぅ、痛いねぇ。まさか殴り飛ばされるとは。だけど、空中じゃ身動きがとれないよなぁ」
×は十字砲を新井に向けて放った。十字砲は新井に直撃した。
「どうだ新井。直に当たると結構痛いもんだろ」
「あぁ、痛ぇ。だけど、やることはやったしな」
新井は落下しながら言った。
「何だと」
新井は神田と戦っているΩに向けて零砲を放った。Ωからは死角で見えていない。
「Ω、後ろだ」
×の言葉に即座に反応し、Ωは両手の口で零砲を喰らった。その隙を付いて、神田は陣へ向けて走った。
「・・・・・・・・・・・」
「やっとか、新井。ちょっと苦戦でもしたかニャ〜」
神田は陣のそばまで行き金槌を振り下ろした。金槌は陣に当たり、陣はパズルの欠片のような物となって消え、それと同時に結界も粉々になったガラスのように消えていった。
「チッ。折角作った陣が跡形もなく壊されちまったか」
「悪いな×。俺は陣ってものの壊し方なんか知らねぇんだ。だから、俺はお前ら二人の足止め役だったってことだ」
新井が神田の所まで歩きながら言う。
「そっ、だから新井に『任せた』って言ったんだニャ〜」
「そういうことか。仕方ない、こんなに時間が経っちまったら特別除霊軍のやつらも来るしな。一旦引くとするか。おいΩ、Σを呼んで来い」
「・・・はい」
Ωは堕天使の翼で飛んでいった。
「と、いうことで、ここら辺でこのゲームは一時停止ということで。じゃあな」
×は新井達に向けて1発撃った。しかし、その弾は途中で大量の煙となった。煙が晴れるころには、×の姿はどこにも無かった。
「くそ、逃がした」
新井の言葉が虚しく響く。
5月23日午後9時26分
「何だこれは。いったいどうしたのだ」
消えていく結界を見ながらΣは呟く。
「はは、神田か誰かがやってくれたな」
「ぐぅぅ、仕方が無い。お前だけでも殺しておくか」
Σは石橋に向けて十字砲を構えた。
「まて」
しかしそこに、木乃と高森が来た。木乃は何発かΣに向けて銃を撃っている。
「またしても邪魔が入るか」
Σは弾を後ろに跳び避けた。そこにΩが来た。
「何ですか、Ω」
「・・・・一時撤退らしい」
「そうですか。まったく、うちのリーダーは我がままですね。ということらしいので、私達は帰らせてもらいます」
ΣとΩは堕天使の翼を広げ飛んでいった。
「大丈夫か、石橋」
木乃が石橋の方に駆け寄ってきた。
「あぁ、大丈夫、大丈夫」
「大丈夫なわけないだろ。委員長、医療班に電話を」
「その必要は無いニャ〜」
新井と神田が噴水広場に戻ってきた。
「医療班には俺が連絡しときましたゼェィ」
「そうか。ところでお前ら、堕天使について詳しく話してくれ」
「あぁ、分かってるって委員長。でも、もう医療班も来たから、また後でということで」
そして、医療班の隊員達が除霊委員に話しかける。
5月23日午後10時
「まったく、×。結局何も収穫は無しだし、完全に無駄骨だったろうが」
「そう言うなよ、Σ」
「そういえば、ヨーロッパの方で堕天使の目撃情報があったとか」
「・・・・誰だそいつは」
「情報によれば、黒髪で左側にメッシュが入っていて、色は白色だとか」
「黒髪か・・・・天使の象徴である白い輪の半分が黒色になったから、左側だけ白色に見えるんだな」
「多分そうでしょうね。で、心当たりはあるんですか」
「あぁ、俺と同じ大天使の第三席、名前はイララム・カッパ・ノイラーだったかな」
「ちなみに、×さんは第何席でしたっけ」
「・・・・・第五席だよ。てか、席の順番は強さに何の関係もないだろ」
「分かってますよ。ふふ・・じゃあ、これからどうします」
「そうだな・・・久しぶりに大天使に会ってくるか。じゃっ、留守番よろしく」
「まったく。分かりました。せいぜい殺されないよう気をつけてくださいね」
「あぁ」
そう言うと、×は堕天使の翼を広げ飛んでいった。
あとがきもどき
いろいろありまして、やっとエピソード1終了です。最後のI-XIIIは、話を詰め込みすぎた感じがします。
まあ、自分的に14で終わるよりは13で終わりたかったのが本音です。
これからもボチボチがんばっていくので、感想や評価のほうもよろしくお願いします。
長い文章を読んだのに、また文章があってすみませんでした。
エピソード2はヨーロッパが舞台か・・・ヨーロッパなんて全然知らん・・・・・・・