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他人からの評価

 滝のほとり、岩場に座る二人。

 彩芽に計画の全貌を説明され、ストラディゴスはショックを受けていた。


 ルイシーがオルデンに自分よりも遥かに信用されていた事。

 オルデンやエルム達、計画に関わるメンバーの一連の行動が演技であった事。

 元カノ四人組が、自分の事を既に許し、今でも好意を持っていた事。

 そして自分が騎士団の副長の地位にありながら、信頼されずに計画の外側に置かれていた事にである。


 自分の行動が全てにおいて空回っていた事実に、愕然とするしかない。


「大丈夫?」


 彩芽の言葉に我に返る。


 彩芽に出会う前の自分が、どんな風に周囲に見られ評価されていたのかを知り、わかっていても吐き気がした。

 しかし、周囲からその様に見られていた事が、今なら十分に理解も納得も出来た。


 自業自得。

 フォローのしようのない自業自得である。


 騎士団副長、元傭兵団団長、金も地位も部下もあり、酒も女も選び放題。

 その全ての上に胡坐をかいて、快楽にふけっていたのが、ほんの少し前の自分なのだ。


 あの夜、彩芽に聞かされた肩書の話を思い出す。

 目の前の女性に出会うまでは、いや、出会ってからも、肩書に踊らさ続けて来たのかもしれない。


「大丈夫だ……」


 全然大丈夫では無いが、受け入れるしかない。


 アイデンティティだった騎士の肩書を捨て、目の前の女性以外に心の拠り所が残されていないストラディゴス。

 それでも、約束を果たさなければならない。


 それが、彩芽に相応しい自分になる為の乗り越えなければならない試練と言うならば。


「アヤメ、フィリシスの言っていた……話なんだが」

「酒場でも言ってたよね……」

「聞いていて気分のいい話じゃ無いんだが、聞いてくれるか?」

「もっと、落ち着いてから聞こうか?」

「いや、アヤメさえ良ければ、今話したい。話して、さっきの」

「さっき?」

「話を聞いた上で、告白の返事が欲しい」



 ストラディゴスは、重々しく口を開き、語り始めた。


 出来れば触れたくないであろう、オブラートに包まれていなければ、面白おかしく盛ってもいない。

 四股事件の事を。

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