食事開始
「静粛に! オルデン公よりお言葉がある!」
大食堂がピタリと静まり返った。
銀の盃を片手にオルデン公が立ち上がる。
「まず諸君等の日頃の働きに感謝している。食事の前だ。暗くはしたく無いが、せめて冷める前に話は終わらせよう。ほとんどの者は噂で知っていると思うが、我らがマルギアス王国とカトラス王国は戦争状態に入る事になった。ネヴェルは直接隣り合っていないが、自分と無関係とは考えないで欲しい。僕からは以上だ。今日の糧に!」
オルデンが盃を掲げると、彩芽を除く全員がピタリと息を合わせて「今日の糧に!」と復唱し、自らの盃を高々と掲げ食事が始まった。
すぐに厨房から暖かい料理が運ばれてくるのが見える。
夕食は何かと彩芽が目で追おうとすると、この時ようやく他の巨人が既に席についている事に気が付き、ついストラディゴスと見比べてしまう。
巨人の一人は女性で、ストラディゴスよりも一回り小さいが、見た目の印象では純朴そうであった。
他に二人の男の巨人は、それぞれストラディゴスよりも少しだけ線が細いが、二人とも兵士か騎士の様で、それぞれに違う迫力がある。
そんな彩芽の視線に気づいたのか、ストラディゴスがいつもの顔に戻って話しかけてくる。
「どうした、何か面白い物でも見つけたのか?」
「ううん、ストラディゴスさん以外の巨人って初めて見たから」
「ああ、あいつらみんな傭兵時代からの付き合いのある連中だからな、アヤメが嫌じゃなければ後で紹介するさ」
「みんな友達なの?」
「幼馴染で、戦友だからな」
その時、エルムが口を挟んできた。
「こいつのダチは、俺と、あいつらぐらいのもんだ」
それを聞いて、彩芽は気になった事を聞く。
「……二人は、どうやって知り合ったの?」




