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導入-1「主人公が死ななきゃ物語は始まらない」

 モゾモゾと、布団の中から顔を出す。


 外からカーテンを透かして入り込んでいる光を見るに、どうやらお昼を回っているようだった。


 道理でお腹も空いている訳だ。さっきからキューキューと鳴って煩い。

 一応これでも乙女なのだから、グーグー鳴られるよりかはマシなのだけど、この空腹には耐えられそうも無い。


 致し方ないので、私を包み込む温もりに別れを告げると部屋を出て、階下へと向かう。

 洗面所を経由してリビングへ入ると、ダイニングテーブルにはママが作ってくれた朝食“だった物”がラップに包まれて置かれていた。


 私はそれを、朝食兼お昼として頂く。

 お腹も膨れたところで、ぼんやりと今日の過ごし方を考える。


 あ、一応断っておくと、私は別にニートでも引き篭もりでもないよ?

 至って真面目な高校生。

 今はゴールデンウィーク真っ只中の祝日なので、学校はお休みなのです。

 とはいえ、今年3年生なので、本来であればこの時期は大抵の人が受験勉強で忙しくしているのだろうけど、私は付属の大学に推薦で入る予定なので、そこまで慌てる必要はない。

 必要最低限の予習と復習だけで十分だ。


 さて、本来は祝日の為、両親の仕事もお休みのはずなのだけど、パパはどうしても外せない仕事があるとかで、ママはママで職場に欠員が出たらしく、替わりとして出勤していってしまい、その所為で二人とも不在なのだった。


 ママがいれば、テレビから垂れ流されるニュース風バラエティやワイドショーを一緒に聞き流しつつ時間を潰すという過ごし方もあるのだけど、私にとっては基本雑音でしか無く、一人の時にワザワザ好き好んで見る価値など在りはしないし、何より今は、人類史上初の天体ショーとやらで朝から晩までその話題で持ち切りの為、いい加減食傷気味だったからだ。


 ――取敢えず、撮り溜めしておいた春アニメを消化するとしますか――


 そう今日の方針を決めると、お供を買いに近くのコンビニへと向かう。

 ポテチや紙パックの飲み物を数点見繕ってお会計を済ませ、お店を出たところで、


『ガシャーーーーン』


 という大きな音が鳴り響き、急に周りが騒がしくなった。


 周囲で喚き散らしている野次馬の内容を伺うに、近くの別のコンビニに乗用車が突っ込んだらしい。

 最近よくある、アクセルとブレーキを踏み間違えたというヤツだろうか……。

 しかも、どうやら偶々店から出てきた男の子が巻き込まれたという。

 そんな不幸なラノベ展開が実際にある事に驚きつつも、遭遇したのが自分でなかったことに安堵する。


 あっちのお店にしなくて良かった……、等と胸を撫で下ろしながら、喧騒に巻き込まれると面倒なので、さっさと家に退散することにした。


 部屋に辿り着くと、早速行動を開始する。

 ポテチの袋を観音開きに開け、お皿の代わりとする。紙パックの一つにストローを挿し、こちらも準備完了。


 なるべく洗い物を出さないための知恵である。

 ただし、手が汚れるのは嫌なので、ポテチ用に箸だけは用意する。

 完璧な布陣を敷いたのを確認すると、本丸(アニメ)の攻略に取り掛かる事にした。


 しばらくの間、新作アニメと格闘すること数時間。

 4本ほどだろうか……消化したところで、唐突に猛烈な眠気に襲われる。

 流石にぶっ続けは脳にも負担が掛かっていたのか、抗い難い睡魔に耐える事が出来ず、私は意識を手放してしまったのだった……。




 ――なんだか、外が煩い――


 歓声? いや、これは悲鳴か……。それだけでも非常に耳障りなのに、人の声に混じるように、車のクラクションが幾重にも木霊し、不協和音を奏でている。


 ――煩い、うるさい、ウルサイ。私は今、アニメを消化するという大事な任務を――


 と、そこまで考えたところで、異様な雰囲気に気づき、ハッと目を覚ます。

 外が騒がしい。それも、尋常でない位に……。

 窓から見える空の色に違和感を覚える。慌てて時計を確認すると、夜の9時過ぎ。

 それなのに、何故かほんのりと明るいのだ。

 急いで窓まで駆け寄ると、そこには太陽とは違った赤み掛かった光に映し出される、夜の空と町並み。


 ――明らかに異常である――


 私はそこで漸く事態を認識するべく、ベランダへ飛び出した。

 弾かれる様に空を見上げた視線の先が、巨大な火の玉を捕らえる。


 それが、私――桜川樟葉――が見た最後の光景だった…………。


※作品傾向

 百合です。女性主人公の百合ハーレムとなります。あとチート。

 主人公の周りを彩るメインの登場人物は全員クスハが好きです。

 ハーレム要員がメインキャラとなり、それ以外がサブキャラとなります。


 サブキャラ同士での男女間恋愛描写はあっても、メインキャラが男性を好きになる事は一切ありません。

 言い寄ってくる男性は出てくるかも知れませんが、メインキャラが男性に靡くこともありません。

 どうぞ、ご安心下さい。


 描写は、恋愛面では、ある程度踏み込んだ百合表現があります。

 R.18では無いので一線は越えませんが、それでも恋人としての表現があります。

 そう言った意味では、読者を選ぶかも知れません。


 戦闘面では、多少残虐な表現を含みますが、そこまでクドくならないと思います。

 (ただし、結構な頻度で他人や敵が死にます)


 男性向け、男性主人公ハーレムほのぼのラノベのノリで、

 女の子主人公が百合ハーレムを積極的に作っていく話が読みたくて、

 書き始めたのが切欠です。

 R.15要素の所為で、主人公側以外がほのぼのとしていませんが、そこは御愛嬌という事で一つ……。


 シリアスと言うほど真面目で緊張感のある話でなく、ギャグと言えるような笑い要素も無い、

 そんな平凡な、ゆるい異世界生活+百合ハーレム+冒険ファンタジー となります。

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