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02 最強の人間

 神家系のクォーターであるミスターSと、宇宙生命体である『何か』。彼らは今、命の賭けようがない戦いをしていた。なぜなら、ミスターSは高速再生ができ、また、何かもそのような能力を有しているからである。

 二人の手が止まっている――否。速すぎて、止まっているかのように見えるのだ。


 その殴り合いは、優に一日を過ぎていた。

 がしかし、


「なっ……!?」


 突然、膝を崩すミスターS。その直後、一万を超える乱打が、彼を吹き飛ばした。体力、と言うには人類との差がありすぎる。強いて言うならば、自らの持つすべてを出し尽くした、といったところであろう。

 太ももを膨らまし、ミスターSへと飛びかかろうと、構えを取る何か――すでになし。


 ミスターSは、目を閉じていた。だが、殺されると思い死を覚悟していたわけではない。

 何せ、狂気じみた表情で口角を上げているのだから。

 

「グゲ……ゴ!?」

「誰が、一人で殺ると言った?」


 縦に裂かれた、何かの腕。その最奥には、藍色に輝く剣があった。


「うえーい、危なかったっすね」

「いや、全然」

「嘘はだめっすよ」

「いや、マジで」


 ミスターSの目の前に現れたのは、サードトリプルソードマスター武乃。最強の地球人であり、剣士である。何かは自分の右腕を見て、発狂した。

 刹那、何かの左腕が武乃の顔面を捉えようとする。

 だが、武乃はすでに剣を抜き、その左腕までもを縦に切り裂いた。

 その秒数は、一秒を切る。

 

 運動神経、反射神経、頭脳。どれも最高クラスの持ち主である武乃は、まさに究極の人類であった。

 だがしかし、例え人並外れた能力を持っていても、何かの拳を止めることはまず不可能。その限界を武乃が超えられたのは、二つ訳がある。


 一つ目は、パーフェクト・ヴィジョン。見た者の動きを観察する事ですぐに、どう攻撃が来るのか。また、さらに先の予測ができるようになる能力である。しかし、何かの動きはよほど癖があるようで、一日かかったようだ。

 そして二つ目。それは――剣である。まだ腰に二つあるが、今持っているのは神の超越剣『ゴッド・ディザスター』。


 その力は、潜在的な身体能力を最大にまで高める。


「グゲ……ェェェェアアアアアア!!」


(くぅ、一発一発の破壊力が半端ないねぇ)


 時には受け流し、時には受け止める。藍色の刀身は高めの音で鳴り響き、悲鳴を上げる。

 力ではかなりの差があるであろう。防御をする度に腕の筋肉や細胞は破壊され、超越剣の能力で高速再生される。しかし、このままでは人間である武乃の方が、先に限界へと達する。


 残りの二つを抜かない限りは、だが。


「あ――」


 武乃の左肩に、何かの腕が掠った。途端、時間差で鮮血が噴き出し、吹き飛ばされてしまう。

 すぐさま立ち上がる武乃。すると持っていた超越剣を口に加え、残りの二本を鞘から抜いた。


「本気で行っか」


 そう言うと、目付きが変わった。

 何かに向かって、走り出す――


「オ、ワ、リ、ダ」


 何かは、自ら武乃の前に現れた。

 武乃は守りを固めず、左手で持っている剛剣『エクスタシー・カリバー』を何かの胸部へと突き刺す。

 しかし、その腕を一瞬で切断されてしまった。


(さらば左腕、初めまして斬撃。……ってところか)


 武乃は思い切りに首を振った。超越剣を、もう片方の胸へと投げたのである。

 両胸から流れ出る血に、怒りが沸き上がる何か。我を忘れ、武乃に止めを刺そうと、殴ろうとするが、


「ナ、ニ?」


 持ち上がらない。というより、手に感触がない。そう思った何かは、今になって感じ取る――この者は命だけではなく、魂をも賭け、戦っているのだと。

 

「俺の全力、受けてくれるよなァ……!?」


 最後の剣――究極剣『テイク』を武乃は、振りかざそうとしていた。

こんな感じです。

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