精霊剣士の物語 〜Adasutoria〜其の十一
どうも、作者の伊藤睡蓮です。意外と早く復帰できて良かったです。
今回は春香頑張り回です。チーム192は優勝できるのか。それは見てのお楽しみということで。
20,〜舞い起こる風〜
体育館の中央に10組のチームが集まる。
「それでは勝ち残った10組のチームのみなさん、まずはおめでとうございます。」放送委員長の鈴木みなみが前に出てきた。
「それでは午後の組み合わせを決めたいと思いますので、チームの代表の方1人は前に出てくじを引いてもらいます。1から5の数字が書いてあり、同じ番号を引いたチームとの試合になります。ちなみに5を引いたチームはシード権を持ち、決勝戦までいけます。」なるほどな、それはぜひ5を引いておきたい。
「誰がいく?うちのリーダーは今寝てるしな。」夏音は前の試合で魔力を使い果たして少し熱もあったので次の試合には出られなくなってしまった。
すると隣にいた春香が提案した。
「しゅう先輩でいいじゃないんですか?引き運強そうですし。真冬先輩はどうですか?」真冬にも聞いた。
「どこと戦うかなんてどうでもいいわ。好きにすれば。」と答えた。
「それじゃあ行ってくるわ。」
10組のチームの代表が前に出た。全員おそらく3年生、その中に俺がいるのか……。生徒会長の神崎零架先輩もいて、こちらに気づくとにこりと笑ってウィンクをした。
「それでは好きなくじを引いてください。」鈴木みなみ先輩は箱を前に突き出した。箱には10本の棒が入っている。おそらくそれに番号が振ってあるのだろう。
「3番。」,「2番。」,「4番。」あまりの勢いについていけず、どんどんと引いていかれて残りは俺と生徒会長だけとなった。
「生徒会長お先にどうぞ。俺は残ったのでいいですから。」すると生徒会長は
「う〜ん、それじゃあ……これにしよ♪ありがとね秋翔くん。」すごいワクワクしてるのが伝わってきた。
「私は5番でした、なんかごめんね。」生徒会が5番を、引いたか。でも好都合な気がする。
「大丈夫です、決勝で戦えるって事ですよね。」
お互いに向き合って笑った。
「やっぱり秋翔くんは面白いね。あなたたちは何番だったの?」棒の先を生徒会長に見せながら
「4番です。まぁ何番でもいいんですけどね。」
「えー、それでは早速午後の部を始めたいと思うので1番の方以外は控え室に戻ってください。」言われたとうりに控え室に戻ろうとすると、体育館の出口の所で治療室にいた保健の先生がこちらに向かって手招きしていた。
「あなたたち、夏音ちゃん目を覚ましたから、少しくらい顔合わせたらどう?」
「本当ですか、ありがとうございます!春香、真冬も保健室に来るだろ?」
「もちろんです。真冬先輩も行きましょう。」
「なんで私まで?」
「チームで友達だからですよ。真冬先輩。」春香はにこりと笑ってそう言った。
「春香、あんたは少し疑うって事も考えるようにしないとダメよ。まぁ今回はあなたたちに付いてくわ。」呆れたように真冬は言った。
保健室につくと、ベッドに座っている夏音がいた。保健の先生は、
「保健室にモニター付けといたから夏音ちゃんと一緒に見ててもいいからね。」と言って保健室の外へ出て言った。
「ありがとうございます。それじゃあ早速。」モニターをつけた。
「みんな、来てくれてありがとね。少し寝て大分楽になったよ。」
「無理はするなよ、具合悪かったらすぐに言え。」
「そうですよ、無茶はしないで下さいね。」春香は顔を夏音にぐいっと近づけて言った。
「は、はるちゃん。分かったから近い近い。顔が近いよ。」春香が元の体勢に戻ると、
「無茶しないってのはアンタもよ、春香。あたしとの“2つ目の約束”、忘れてないわよね?」
「なんだよ、2つ目って?」
…………。
真冬に聞いたがスルーされた。
「忘れてませんよ、無茶はしませんから大丈夫です。それに真冬先輩がいるなら心強いです。」それを聞いて照れたのか真冬が後ろを向いて、
「そ、それならいいのよ。」と言った。
「さっきから気になってたんだけど、はるちゃんと真冬さんのした約束って何なの?」
「……それは、今はまだ内緒です。でも後でちゃんと話します。だから……その……信じてくれませんか?」春香は戸惑いながら言った。
夏音は少し考えて、クスッと笑った。
「もちろん信じてるよ。仲間で友達だからね♪真冬さんも本当に来てくれてありがとね。」
「だな、仲間を信じないわけがない。」
「仲間……。」真冬は聞こえるか聞こえないかぐらいの小さい声でそう言った気がした。
「ありがとうございます!しゅう先輩、夏音先輩。」
ーーー第2回戦1ブロック目、勝利チーム 66、2ブロック目、勝利チーム189、3ブロック目、勝利チーム 5。そして4ブロック目。
「3人とも、頑張ってね。応援してるから。」夏音は申し訳なさそうに言った。
「心配すんな、さっきの笑顔のまま応援してりゃいいんだよ。」
「そうです、夏音先輩の笑顔見ると元気が湧いて来ますから。」
「病人は素直に休んでいればいいのよ。」
「ま、真冬先輩それは言い過ぎなんじゃないですか⁉︎」
そんな姿を見て、夏音はクスクスと笑った。
「しゅう、はるちゃん、それに真冬さんもありがとね。」
夏音のためにもこの試合、勝たなければ。
「続いての試合は、4ブロック目、チーム192vs12です、192は1人体調を崩されてしまって3人での出場です。一方12は初戦では巧みなチームプレーを見せつけた2年生3人チーム。3年生に遅れをとらないそのプレーに注目です。」
「春香、本当に俺は後ろにいるだけでいいんだよな?」念を入れてもう一度聞いた。
「はい、私と真冬先輩で何とかしますので。」優しい声で言われると安心感があるな。
「魔力のない奴は引っ込んでなさいってことよ。」言葉の棘だな。
「ま、真冬先輩、だから言い過ぎですって。」この2人、確かに相性がいいのかもな、と心の中でそう思った。
「あれ?僕達の相手はもしかして1年生?だったら負ける気がしないね。」横から嫌味が聞こえたので横を向くと相手チームの3人がいた。槍に斧に剣、全員近接戦闘特化か。
「それに1人は初戦では無茶な戦い方してた奴か。魔力は少ししか残ってないだろ?こんな奴らに負ける気がしないね。」言い返そうとした時、
「あなたたちこそ、最初から武器を見せつけてくるなんて対策してと言わんばかりで負ける気がしないんだけど。それに初戦では3年生4人を相手にしてたなら、私も似たような事をすると思うわ。」そう話したのは真冬だった。
「な、なんだよお前。くそっ、おいお前ら、行くぞ。」と背を向けてスタート位置に戻っていった。
「真冬、お前。」
「勘違いしないで。怒りに身を任せて春香と私の邪魔をして欲しくなかったから。本来なら言う必要がなかった反論を言ってあげただけ。」
“本来言う必要がなかった反論”か。
「ありがとな、真冬。」
「さあさあ、4ブロック目始めていきたいと思います!果たしてどちらが勝つのか?それでは試合開始!」
「真冬先輩はしゅう先輩の近くにいて下さい。なるべく1人でやります。無理そうだったら……来て下さい。」
「分かった。」
春香は大きく深呼吸をした。
「それじゃあ早速、初速。」
春香は双剣を構えて魔法?を唱えた。聞き覚えのない魔法だった。足に風を纏い少しスピードが上がった気がした。
「速度上昇の風魔法?聞いた事ないな。しかし、俺たち3人に1人で突っ込むとは馬鹿なことを。」
1人の男は槍で春香の隙を伺っている。残りの2人は剣と斧で春香のバランスを崩しにかかる。
このままだと、
「大丈夫よ、春香は負けない。」真冬はそう言った。
「なぜそんな事が分かるんだ?」
「私が春香とした1つ目の約束、“春香が自分の魔法の能力に気づき、それを使いこなせるようになったら、あなたたちと一緒に戦う事。”」
それってつまり、
「加速。」一気にスピードが倍近く速くなった。
「なんだこのスピードは⁉︎」狙いを定められず、魔法を無駄に撃つことも出来ずに戸惑う3人に背後に回った春香が仕掛ける。
1人の足を蹴って転ばせ残りの2人を双剣で斬り込む。
「くそっ、どうなってんだ!全然見えねぇ。」
「お前ら、あれ使うぞ。俺たちも速度アップだ。高速化。」
「高速化。」
「高速化。」
近接戦闘の3人全員が速度アップの魔法を唱えた。
春香よりわずかにスピードは遅かったが、相手は3人。そこからは春香が少し押されていた。
「さすがに3人相手にするのはまだ慣れませんね。真冬先輩に助けを……ううん。まだ出来る。」
「数で押されてる………。真冬、お前行かなくていいのかよ。」
「私と春香が約束した2つ目の約束、"この精武祭では春香が覚えた5つの技のうち、使用するのは3つまで、それを守れたらあなたたちと今後も共に行動する”。」
「5つ……まだ2つしか使ってない。なんで残りの2つはダメなんだ?」
「単純に魔力を大量に消費して長く持たない事もあるし、速すぎてあの子自身がついていけてないから。」
春香が3人に囲まれた。
「これで終わりだ、1年。」
「終わるのは私じゃありません。」
今度は大きく深呼吸をした。
「……超高速。」春香が動いた。と同時に周りを囲んでいた3人が弾き飛ばされた。凄まじい風が体を襲った。
「なっ⁉︎」全員壁に激突した。
「あれっ⁉︎やり過ぎちゃいました?す、すいません。大丈夫ですか?ど、どうしよう⁉︎」てんぱってる春香の元にてんぱっている俺が慌てて駆け寄った。
「だ、大丈夫だと思うぞ。あの壁は壊れやすくなってるし、それに保健室もあるからな、取り敢えず落ち着け。いや、俺も落ち着こう。」
俺が目の前で見ていた光景は、いや、観覧席にいる誰しもが驚いていた。2年生3人を相手に怯みもせず、立ち向かい、圧倒する1人の風の少女だった。
春香は大きく深呼吸をした。
「はい、落ち着きました。やっぱり真冬先輩のいう通り、深呼吸すると大分楽になりますね。」
「し、試合終了〜!チーム12、戦闘不能により、チーム192勝利で〜す!」歓声が体育館中に響く。
「春香、お前には聞きたい事が色々あるけど取り敢えず次の試合が始まるから、夏音のいる保健室に行くか。」
「はい、そこで話しますよ。真冬先輩との約束も。」
「春香、それならもう話したわ。あなたが勝ちそうだったから。」
「えぇ〜⁉︎そうなんですか。楽しみにとっておいたのに。」こんな感じに楽しく話しながら保健室に付くと、夏音は画面を見て固まっていた。
事情をある程度説明し終わると、ようやく理解できたようで、いつもの夏音に戻った。
「そっかそっか、いきなりあんな姿見せられちゃってびっくりしちゃった。すごいね、はるちゃん。」
「いえ、全部真冬先輩のおかげです。真冬先輩が2週間も私につきっきりで見てくれて、ありがとうございました。これからもよろしくお願いしますね。」春香は笑いながらそう言った。
ーーーこの人たちなら、やっぱりもう一度勇気を出して……。
「あなたたちのチームで活動する事は認める、けどやっぱりあなたたちは好きになれない。」私に関わらないように言ったつもりだった。
「でも嫌いじゃないんだろ?それなら前よりは評価が改善されたみたいで何よりだ。」
この男は本当に好きになれない。一生無理だとも思う。でも、そんな私に何度も何度も話しかけてきたこの人たちは……違う。
私が無視してきただけ。クラスの人からも話しかけられてたのに私が一方的に無視してただけ……。馬鹿なのは私なのかも。そしてそれに気づかせてくれたこのチーム。この人たちになら、私の過去をわかってくれるのかしら。
ーーーなんかより一層真冬が俺に対する視線が厳しくなった気がする。
「取り敢えずみんな、お疲れ様。次の試合で最後だからこの試合が終わったら、しゅうの家でみんなでご飯食べない?真冬さんももちろん一緒に。」また勝手に夏音が言い出した。
「それいいですね、夏音先輩。お久しぶりにしゅう先輩の家に伺ってみたいです。」春香もあっさりOKか。
まぁ確かに最近は春香ともご飯食べれてなかった。
「そうだな、そうするか。だとしたら食材買いに行かないとな。どうする?夏音以外の3人でじゃんけんで負けた奴2人が行くってのはどうだ?」
「なんで私は抜かれてるのよ。私もやるわよ。」
「夏音先輩には無理させられませんよ。夏音先輩はお家でお留守番ですね。」春香がそう言うと夏音は残念そうに下を向いた。
「なんで勝手に私まで行くことになってるのよ。」真冬がぼそっと呟いた。
「いいじゃないですか真冬先輩。」春香が拳を握り締め、腕を前に出す。
「………分かったわ。行くわよ。それに勝てばいいだけでしょ。」真冬も渋々腕を前に出した。
「よし。それじゃあいくぜ、じゃんけん、ポン」
21,〜負けた2人組〜
生徒会の圧勝で1日目の幕を下ろした精武祭。
「やっぱり生徒会が勝ちましたね。流石としか言いようがありません。」春香はそう言った。
「そうね、優勝するには生徒会の人たちに勝つ作戦も考えないとね。」夏音も色々と考えているようだ。
「考えるのもいいけど、またぶっ倒れられても困るから程々にな。」俺がそう言うとニヤニヤとこちらを見てきた。
「なに、心配してくれてるの?それは嬉しいわね。」毎回のごとくからかってくるのでだんだんと慣れてきている自分がいる。
「あ、そんな事話してる間に着いたわね。真冬さん、ここがしゅうの家よ。ご感想は?」
「………普通ね。」なぜか悲しくなった。
「それじゃあ買い出しよろしくね。しゅう、真冬さん。」
まさか俺と真冬が行くことになるとは。言い出した奴が負けるフラグは立っていたが、真冬も真冬で「勝てばいい」とか言ってたことを思い出し、真冬もフラグ立ててたかと思うと少し笑えた。
「何笑ってるんですか?早く行きますよ。」真冬がすたすたと足早に近くのスーパーへ向かう。
「ちょっ、それじゃあ夏音、春香。また後でな。」小走りに真冬を追いかけた。
ようやく真冬に追いついた。
「さて、真冬って好きな食べ物あるのか?」
「嫌いな食べ物はない。嫌いだとしたらあなたかしら。」なんだ、一体俺は真冬に何をした?それに、
「答えになってねぇよ。好きな物を聞いたんだけどな。」
………、話すことがねぇー。2人きりで真冬と話したことなんてねぇから何を話したらいいのかまるでわからん。
そのままスーパーまで着いてしまった。中に入ってまずは野菜コーナーを見る。
「それじゃあ4人だし、夏音が家に来た時と同じくカレーでも作るか。真冬はそれでいいか?」カレーならみんな食べられるという結論に至ったので真冬に聞いてみた。
「お、人参発見。これでいいかな。」適当に人参の束をつかんだ。が、その腕を真冬がつかんだ。
「な、何だよ?人参嫌いか?」
「そうじゃない。これは色がちょっと薄い。それにこの肌触りがざらざらしてる。もっと滑らかな……これがいいかも。」と別の人参の束を手に取った。
「お、おう。そ、それじゃあ次はジャガイモだな。えーっと、これなんかいいんじゃねぇか?」手に取ったジャガイモを真冬が睨むように見て、
「これもダメ、もっと固いものを選ばないと。……これね。それから玉ねぎは………これ。それから……。」どんどんとカレーの食材を見つけてはぽんぽんとカゴに入れていく。
急に真冬の手が止まった。
「あなたが言ってるカレーはご飯?それならうどんが良いと思うけど。この間食べたんでしょ?」
「そ、そうか。その手があったか!いいな、それ。カレーうどんにしようぜ。ナイス真冬。」すると急に真冬が背を向けた。
ーーーついいつもの感じで買い物していた。まさかこんな男に普段の自分の買い物を見せてしまうとは。
「どうしたんだよ?真冬?」
「なんでも、ない。」早足で麺のコーナーに向かった。
普段の生活では、お母さんの帰りが遅い事が多いため、いつも買い物は私がしている。
だから大体のスーパーの場所は把握済みだ。
次の角を曲がったところに麺のコーナーだ。急いで買い物を済ませて帰ろう。
どんっ。
誰かにぶつかってしまった。
「すいません。」顔を上げて見ると、明らかに感じの悪そうな人たちが前にいた。
「なんだお前、ぶつかってんじゃねぇよ。」睨みつけられる。まぁ馴れっこだが。今回は違った。それだけではなかった。
髪の毛を掴まれ地面から足が離れた。
「いたっ、……離して。」
「おいおい、ぶつかっといてそれはねぇだろ。」魔法を使うか。この状況では仕方がない。
力を使おうとする少し前に、
「すいません、うちの連れがご迷惑おかけました。」紅葉 秋翔が男の腕を掴んでいた。
「な、なんだよお前。」大柄の男が驚きながらたずねる。
「だから連れですって。それより、早くその手をこいつから離してくれませんかね?怪我しますよ?あなたたちが。」紅葉 秋翔の左手は男の腕を掴み、右手は拳を握り締めていた。
「君たち、何してるんだね!警察を呼ぶぞ。」店員か店長か分からなかったが数名の人が近づいてくると、
「くそっ。」
大柄の男は逃げるようにそそくさと去っていった。
「君たち、大丈夫だったかい?あいつはたまにこの店に来るんだけどこれまでも何回かこんな事があったから警戒していたところだったんだよ。お嬢さんも、怪我はないかい?」
「大丈夫です…。ありがとうございました。」
「真冬、勝手に歩きまわんのやめてくれ、追いつけん。」助けなんていらなかったのに、この男は。
「助けなんていりませんでした。私の魔法でどうにかなりました。」そう言うと紅葉秋翔は、
「確かに大丈夫だったかもしれないけど、あいつが精霊使いだったかもしれないってお前、気づいてたか?」
え?どう言う事?
「その顔は知らなかったな。全く……。あいつの右の腰のとこにストラップが付いてたからな。ちょっと怪しかったから俺が止めに入ったんだ。」
分からなかった。もし魔法を使うそぶりを見せたらあの場がどうなっていたか分からない。この男がいなかったら。
うどんの袋をいくつか取り、
「それじゃあ買い物も済んだし会計済ませて帰るとするか。」何もなかったかのようにこちらを見て笑っていた。どんなにこちらが突き離しても、彼は必ず私の味方でいてくれる。
「やっぱり、あなたが救ってくれるのね。紅葉秋翔。」電車ジャックの一部始終を見ていた私が考えていたこと、
『貴方なら私を孤独から救ってくれるの?紅葉秋翔。』まぁ最初に救ってくれたのは私より年下の少女だったが、同じチームの仲間に……
救われた。
ーーー家に帰ると夏音がテーブルに伏せて倒れていた。
「おかえり〜、しゅう。お腹すいたよ〜早く作って〜。」全くこいつは。
「わかったから、お前はそこで大人しくしてろよ。真冬、手伝ってくれるか。」
「私が買い物に付き合った。疲れた。休む。」そう言ってソファにダイブした。あれ?真冬ってこんなだったか?
「それならはるちゃんに手伝ってもらったら?お〜い、はるちゃん〜。」
「はいはい、今行きます〜。」と風呂場の方から声がした。嫌な予感がする。
「夏音先輩、何でしょうか。今着替えるとこだったんです……けど……。」リビングに入って来た春香はタオルを巻いた姿だった。
「しゅ、しゅう先輩⁉︎帰ってたんですか!み、見ないでください。」やばい、これは……。
「いや、その……悪かった。」
背後に迫る2人の鬼に気づくのが僅かに遅かった。
「不可抗力だーー!」
その日のカレーうどんは忘れることの出来ないくらいの美味しさで4人の大切な思い出になった。
どうも改めまして、作者の伊藤睡蓮です。春香が初めて魔法を使いました。今後の成長も見ていただきたい。次回も是非見てください。次回の投稿は未定ですが投稿するときはTwitterで報告します。それではまた!




