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東方恋符の時間軸 (二次創作)  作者: 冷水
プロローグ
3/19

牧瀬紅莉栖の幻想入り:後編

どれだけの時間、経過しただろうか。


唐突に、意識を取り戻す。


私、牧瀬紅莉栖は、世界線の収束に伴い、消失した……そのはずだった。


そこまで考えて、しかし、主観は存在していることを指し示す。




ここは、どこ?


ぼんやりと、周囲を眺めると、そこには見知らぬ風景が広がっている。


森林があり、生い茂る木々は、どれも見たことがなかった。


こころなしか、空気が重いような気がする。


立っているだけで、気分が悪くなってくる。


ここは、どこ?


--私は牧瀬紅莉栖


名前は覚えている。自分が何者であるかも覚えている。


--私はたしか、ラボに向かって、それで・・・・・・


それで、どうしたのだろうか。


岡部倫太郎へ、気持ちを伝えようとした


--それで、私は・・・・


思い出せない。


自分は少なくとも、この場所に立っている。


自らの足で、大地に立っている。


であるからには、そこに移動するまでの「過程」が存在するはず。


--しかし、記憶には存在しない。


ここは、死後の世界なのだろうか。


だとしたら、なんてこの世界は残酷なんだろうか。


私はオカルトなんて信じない。


死後の世界なんて曖昧なもの、信じない。


だけど、見せられたからには、信じるしかないじゃない。


ふと、そんな自問自答を繰り返しながら、牧瀬紅莉栖はただ歩いていた。


その視界に、一軒の建物が見えてきた。


『霧雨魔法店』


漢字でかかれた看板は、


しかしこんな人気(ひとけ)の無い場所で、お店が存在していること、


少なくとも生活をしている誰かがいることを示している。


風を切る音がした。


振り返ると、箒にまたがっている少女が、宙に浮いていた。


ふわり、風を舞い上がらせ、そして地面に降りる。


その少女は、白と黒の魔法使い然とした恰好をしている。


「お客さんか?・・・それにしても、酷い顔してるぜ。とにかく入るか?」


そういって、霧雨魔法店の扉の内へ消えていく。


私は後を追いかける。


「私の名前は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだぜ」


魔法使いとは、あの魔法使いだろうか?


死後の世界だと思っていたが、ファンタジーの世界へ迷い込んでしまったらしい。


「私は牧瀬紅莉栖、・・・・・・科学者よ」


科学者?


その言葉に、首を傾げているが、さして気にした様子はなかった。


気さくに、私のことは魔理沙でいい。紅莉栖って呼んでいいか?と、声をかけてくる。


「紅莉栖はどこから来たんだ?」


「よく、分からない。気づいたらここにいた。逆に聞いていい?ここはどこ?」


その返答に、何か納得のいったような魔理沙。


「紅莉栖は外来人だったんだな」


外来人?


「ここは幻想卿。外界で忘れ去られた存在が生きる場所。妖怪や神、人外にとっての楽園であり、様々な幻想に溢れる場所」


もっとも、人間にとっては厳しい自然や妖怪なんている、生きるには厳しい場所でもあるけどね。と魔理沙はいう。


妖怪、魔法使い、神様、巫女、人間、不老不死、なんでもありの世界。


なるほど、私の状況は、細かい理論は分からないが理解できた。


外界で忘れ去られた(・・・・・・・・)存在が辿り着く場所。


私は世界の収束によって、なかったこと(・・・・・・・・・)になり、それは忘れられた(・・・・・・・)と言えなくもない。


「それより、紅莉栖はなんでさっき、泣いていたんだ?」


え?


問われて、紅莉栖は戸惑ってしまう。






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