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出会い1

行きつけのバーでお酒を飲みながら私、山本あずさは恋愛について様々な思考を巡らせていた。


というのも、つい先日、付き合っていた栗田直樹と別れたばかり。


直樹に言われた言葉が、今でも私の中でわだかまりとなって残っている。




「俺はさ、あずさと結婚して温かい家庭を築いていけたら良いなって思ってたよ。でもあずさにはそんな気、全くないだろ?」





そんな事ない。


私だって結婚して温かい家庭を作っていきたいと思っていたよ。





「仕事を優先するばかりで、恋愛や結婚は二の次。出産なんて考えていないだろ?」





確かに仕事は好き。


でも、恋愛や結婚だって考えていたよ。


ちょっとだけね。



直樹との子供も欲しいと思っていたし、いつかはお嫁さんになろうとも考えていた。





「それがあずさの良い所だっていうのは分かっているんだよ。仕事に一生懸命で真っ直ぐな所があずさの長所でもある。だけど、それを恋愛にも向けてくれないと、俺、困っちゃうんだよ・・・」





真っ直ぐ向けていた、つもりだった。


それが、直樹には伝わらなかったのかもしれない。


いや、私が真っ直ぐ向けていた「つもり」だったのなら、


それは真っ直ぐ向けていたことにはならないのか。





私と直樹は、大学時代にサークルを通して出会い、直樹から告白をしてきて付き合っていた。





「あずさの真っ直ぐな所、凄い好きだよ」





そんな事を言ってくれたじゃない。


大学を卒業してから直樹は銀行員として働き始め、


私は大手出版社で働き始めた。


お互いそれなりに安定した給料をもらっていて、


将来、結婚した時のために貯金もしていた。





「真っ直ぐな所、かぁ・・・」





確かに働きはじめてから、私は仕事が楽しくて楽しくて、


寝る間も惜しんでずっと仕事をしていた。





「確かに、働きはじめてからは直樹に構わなくなったけどさ・・・」





言い訳のように並べた言葉ををブツブツと呟きながら、


胃の中にアルコールを流し込んでいく。





仕事をはじめてからは、直樹と会う回数も減っていき、


デートをする機会もなくなっていった。


それでも電話やメールで直樹と連絡は取っていたし、


「仕事が楽しそうで良かった」と直樹が嬉しそうに話してくれていた。


今思えば、そんな直樹の優しさに甘えっぱなしだったのかもしれない。





「私、とことんダメな女じゃん・・・。我が儘すぎる・・・」





自己嫌悪。


この4文字が私の頭の中を過ぎった。





「いやいや!もう今日は飲もう!飲んで帰って寝よう!」





自分で何とか切り替えようとして「マスター、同じのもう1杯!」とお酒をオーダーした。

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